「子どもの中耳炎の耳だれが出てから、耳の下からほっぺたにかけて赤くかゆくなってきた」「足の傷が治りきらないうちに、傷の周りに湿疹が広がってきた」。汁が触れた場所に沿って湿疹が広がっていくのが特徴です。仕組みと、似ている病気との見分け方、治し方を説明します。
感染性湿疹様皮膚炎とは(仕組み)
耳だれや傷の汁、膿には、細菌や、細菌が出す物質、炎症で生じた成分が含まれています。これが周りの皮膚に繰り返し触れると、皮膚がそれに反応して湿疹(皮膚炎)が起こります。汁で皮膚がふやけてバリア(外からの刺激を防ぐ働き)が弱くなることも、湿疹を起こしやすくします。
よく起こる場面は次のとおりです。
- 中耳炎・外耳炎の耳だれ:耳の穴の周り、耳たぶの下、ほお、首
- 鼻水・鼻づまりが続くとき:鼻の下、口の周り
- じゅくじゅくした傷、やけど、床ずれ:傷の周り
- 膿の出るできもの、手術の傷、ストーマ(人工肛門)の周り
汁が流れた跡や、触れた範囲に沿って湿疹が広がるのが、ほかの湿疹と区別する手がかりになります。
症状と見分け方
汁が触れた範囲に、赤み、小さなブツブツ、じゅくじゅく、かさぶたができ、強いかゆみを伴います。かくことで汁が指について、離れた場所にも広がることがあります。
| 病気 | 特徴 |
|---|---|
| 感染性湿疹様皮膚炎 | 耳だれや傷の汁が触れた範囲に沿って、かゆい湿疹が広がる。元になる汁の出どころがある |
| とびひ(伝染性膿痂疹) | 水ぶくれや、はちみつ色のかさぶたが、あちこちに飛び火する。皮膚そのものの細菌感染 |
| 自家感作性皮膚炎 | 元の湿疹や傷が悪化した後、離れた体のあちこちに小さなかゆいブツブツが一気に出る |
| 塗り薬によるかぶれ | 傷に塗った薬や消毒液、絆創膏の範囲に一致して赤くなる |
実際には、とびひや自家感作性皮膚炎と重なっていることもあります。見た目だけで判断しにくいため、汁が出ている部分から細菌の検査を行うことがあります。
治療・セルフケア
治療は「汁の出どころを止める」と「湿疹を治す」の2本立てです。どちらか一方だけでは、なかなか治りません。
- 出どころの治療:中耳炎や外耳炎は耳鼻科で、傷や床ずれ、できものはその治療を行います。耳鼻科と皮膚科の両方にかかる場合は、それぞれの医師に、もう一方で治療中であることを伝えてください。
- 湿疹の治療:炎症とかゆみを抑えるステロイドの塗り薬を使います。細菌の感染が強い場合は、抗菌薬の塗り薬や飲み薬を組み合わせます。
- かゆみ止めの飲み薬:かきこわしを防ぐために使うことがあります。
家でできるケアとしては、汁が出たらこまめにやさしく拭き取り、皮膚を清潔に保つことが基本です。ぬるま湯で洗い流したり、濡らしたガーゼでそっと押さえるように拭いたりしてください。そのうえで、汁が触れやすい部分にワセリンを薄く塗っておくと、汁が直接皮膚に触れにくくなり、湿疹の予防になります。ゴシゴシこする、アルコールの入ったもので拭くなどは、刺激で悪化させることがあるので避けてください。
診察室でよく聞かれる質問
Q. ほかの人にうつりますか?
A. 湿疹そのものがうつるわけではありません。ただ、汁や膿に含まれる細菌がうつることはあるので、タオルの共用は避け、患部を触った後は手を洗ってください。とびひを合併している場合は、うつる可能性が高くなります。
Q. 子どもが耳をかいてしまいます。どうすればいいですか?
A. 爪を短く切り、かゆみが強いときは保冷剤をタオルで包んで冷やしてください。寝ている間にかいてしまう場合は、塗り薬を寝る前に塗るとかゆみが和らぎやすくなります。耳だれが続いている場合は、まず耳鼻科での治療を優先します。
Q. 市販の湿疹の薬を塗ってもいいですか?
A. 汁の出どころが残っていると、市販薬だけでは治りにくいことが多いです。抗菌成分の入った市販薬でかぶれることもあるため、数日塗っても広がる場合は受診してください。
受診の目安
- 耳だれや傷の周りの湿疹が、数日たっても治まらない、広がっている
- 黄色いかさぶたや水ぶくれが、あちこちに増えてきた
- 体の離れた場所にも、かゆいブツブツが出てきた
- 赤く腫れて熱をもつ、強く痛む、発熱がある
- 耳だれがまだ続いている(耳鼻科での治療も必要です)
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A とびひ(確認日: 2026-10-27)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

