「ニキビは治ったのに、赤い跡がずっと消えない」「メイクで隠しきれない赤みが気になる」——ニキビの治療中や治療後に、とてもよく聞かれる悩みです。赤い跡は凹んだ跡(クレーター)とは違い、皮膚の形そのものが変わっているわけではないので、時間をかけて落ち着いていくことが多いタイプの跡です。
ただ、ニキビが次々にできている状態では、古い赤みが消える前に新しい赤みが加わるため、「ずっと消えない」と感じやすくなります。この記事では、赤い跡の正体と、薄くするために優先すべきことを順に説明します。
赤い跡の正体(仕組み)
ニキビで炎症が起きると、皮膚はその部分を治すために血流を増やし、細い血管を新しく作ります。炎症がおさまったあとも、この血管や血流の多い状態がしばらく残るため、平らになっても赤く見えます。医学的には「炎症後紅斑」と呼ばれることがあります。
この赤みは、体が傷を治している途中の色です。治る過程で血管は少しずつ減っていくため、多くは数か月から1年ほどかけて薄くなっていくとされています。ただし、炎症が強かった場所や、くり返しニキビができた場所ほど長引きやすくなります。
赤い跡・茶色い跡・凹んだ跡の見分け
ニキビ跡にはいくつかのタイプがあり、それぞれ治療の考え方が違います。まずは自分の跡がどれかを確かめてください。
| タイプ | 見た目 | 原因 | 経過・治療の考え方 |
|---|---|---|---|
| 赤い跡 | 平らで赤い。押すと一時的に色が薄くなることが多い | 炎症のあとに残った細い血管 | 時間とともに薄くなることが多い。長引く場合は光・レーザー治療を検討 |
| 茶色い跡 | 平らで茶色い。押しても色は変わらない | 炎症のあとにメラニンが残った色素沈着 | 紫外線対策をしながら数か月〜で薄くなることが多い |
| 凹んだ跡 | 皮膚がへこんでいる | 炎症で真皮のコラーゲンが壊れた | 自然には戻りにくい。ダーマペン・フラクショナルレーザーなど |
| 盛り上がった跡 | 硬く盛り上がる(あご・胸・背中に多い) | 傷を治す組織が作られすぎた | 貼り薬・注射などの治療を検討 |
赤い跡は、放っておくと茶色い跡に移ることがあります。とくに紫外線を浴びると色素沈着が起こりやすくなるため、赤いうちから紫外線対策をしておくことが大切です。
皮膚科での治療(優先順位)
赤い跡に対して、まず取り組むべきなのはニキビの治療です。新しいニキビを止めない限り、赤い跡は増え続けます。保険診療では、毛穴の詰まりを防ぐアダパレンや過酸化ベンゾイルなどの塗り薬、炎症が強い時期の抗菌薬などを組み合わせ、ニキビが出にくい状態を保ちます。
ニキビが落ち着いても赤みが長く残り気になる場合は、赤い色に反応する光やレーザーを使う治療が選択肢になります。代表的なものは色素レーザー(Vビーム)や光治療(IPL)で、血管に働きかけて赤みを目立ちにくくします。いずれもニキビ跡の赤みに対しては自由診療になるのが一般的です。
※ニキビ跡の赤みに対する光・レーザー治療は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。主なリスクとして、一時的な赤み・腫れ・内出血・色素沈着などがあります。
自分でできるケア
- 触らない・潰さない — 触ったり潰したりすると炎症が長引き、赤みも長く残ります。凹んだ跡になる原因にもなります
- 紫外線対策を毎日続ける — 赤い跡が茶色い色素沈着に変わるのを防ぐためです。肌に合う日焼け止めを、曇りの日も使ってください
- こすらない洗顔と保湿 — 摩擦は炎症を長引かせます。泡で包むように洗い、タオルは押さえるように拭きます
- 刺激の強いスキンケアを重ねない — ピーリング剤や高濃度の成分を重ねると、赤みがかえって強くなることがあります
受診の目安
- 新しいニキビが続いていて、赤い跡が増えている
- 半年以上たっても赤みが薄くならない
- 赤い跡が盛り上がってきた、硬くなってきた
- 赤みが頬全体に広がる、ほてりやヒリヒリ感がある(酒さや脂漏性皮膚炎など、ニキビ以外の原因のことがあります)
よくある質問
赤い跡はメイクで隠してもいいですか?
隠してかまいません。ニキビができにくいことを確かめた(ノンコメドジェニックテストを行った)化粧品を選び、夜はしっかり、でもこすらずに落とすことが大切です。赤みを打ち消す緑系のコントロールカラーを使うと、厚塗りせずに目立ちにくくできます。
赤みに効く市販薬はありますか?
赤い跡そのものを短期間で消す市販薬はありません。市販のニキビ用の薬は「いまあるニキビ」に対するもので、跡の赤みには時間経過と紫外線対策が基本です。気になる場合は、まずニキビの治療から皮膚科で相談してください。
ビタミンCの化粧品は効果がありますか?
ビタミンC誘導体には皮脂を抑えたり、色素沈着を目立ちにくくしたりする働きが期待されていますが、赤みを確実に消すものではありません。肌に合えば、紫外線対策と並行して使う選択肢の一つと考えてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび」(確認日: 2026-10-30)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

