まつげの悩みは、美容の相談として来られる方と、エクステやビューラーでまつげが抜けてしまって来られる方の両方があります。まず整理しておきたいのは、「減った原因」によって、やるべきことが変わるということです。伸ばす前に、抜ける原因を止めるほうが先という場合が少なくありません。
まず「なぜ減ったか」を確かめる
| 原因 | 手がかり | 先にやること |
|---|---|---|
| まつげエクステ・つけまつげ | 装着を始めてから減った。根元が短く切れている | まず休ませます。接着剤によるかぶれを起こしていることもあります(関連記事: まつげエクステのトラブル) |
| ビューラー・強いクレンジング | まつげが途中で切れている | 物理的な力を減らします。こする洗顔をやめてください |
| まぶたの湿疹・かぶれ | まぶたが赤い、カサつく、かゆい | 炎症を治すのが先です(関連記事: まぶたのかゆみ・かぶれ) |
| 抜く癖 | まつげ・眉も一緒に減っている | 癖そのものへの対応が必要です(関連記事: 抜毛症) |
| 加齢・体質 | ゆっくり細く短くなった | 治療の選択肢を検討する段階です |
| 眉の外側も薄い・全身症状がある | だるさ・むくみ・体重変化を伴う | 体の病気が背景にあることがあります(関連記事: 甲状腺の病気と皮膚) |
炎症やかぶれがある状態で薬を足しても、うまくいきません。まぶたは顔の中でも皮膚が薄く、刺激に弱い場所だからです。
「まつげ美容液」と医療用の外用薬は別物
ここが混同されやすい点です。
- 市販のまつげ美容液 — 化粧品または医薬部外品です。まつげと目のまわりの皮膚を保護・保湿することが目的で、毛を生やす医薬品としての効能は認められていません。使うこと自体は問題ありませんが、期待する内容が違います
- 医療用の外用薬 — 睫毛貧毛症に対して国内で承認されている処方薬があります。毛が伸びる期間に働きかける仕組みで、医師の診察のうえで処方されます。健康保険の対象外(自由診療)です
医療用の外用薬を使う場合、次の点を理解しておいてください。
- まぶたの色素沈着 — 薬が付いた部分の皮膚が茶色くなることがあります。塗り方(はみ出さない、量を守る)で減らせます
- 結膜の充血・目のかゆみ
- まぶたのくぼみ — 上まぶたが落ちくぼんで見えることがあると報告されています
- 虹彩(茶目の部分)の色が濃くなる可能性 — 元に戻らないとされており、特に知っておくべき点です
- やめると元に戻る — 使用を中止すると、数週間から数か月かけて元の状態に戻っていきます
費用は自由診療のため医療機関ごとに異なり、1本(数週間〜1か月分)で1万円前後が目安とされています。
※ここで触れた治療は自由診療です。費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。上記の副作用のほか、目の病気で治療中の方や妊娠中の方は使用できない場合があります。
そして、個人輸入や、目的の違う薬の転用は避けてください。まつげ用として国内で承認されているものと、他の用途の薬は濃度も使い方も違います。目の周りに使う薬で、自己判断の余地は小さいと考えてください。
自分でできること
薬を使うかどうかにかかわらず、「今あるまつげを減らさない」ことが土台になります。
- クレンジングでこすらない — まつげは根元が弱く、摩擦で抜けます。落ちにくいマスカラは、専用のものでなじませてから落としてください
- ビューラーは根元を強く挟まない・ゴムを交換する — 劣化したゴムはまつげを切る原因になります
- エクステは定期的に休ませる — 装着の重みと接着剤の負担が、まつげにかかり続けるためです
- まぶたが荒れているときは何も足さない — 炎症がある皮膚に化粧品を重ねると、かぶれが成立しやすくなります
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 抜けたまつげは生えてくる? | 毛根が残っていれば生えてきます | まつげにも生え変わりの周期があり、数か月かけて入れ替わるためです |
| どのくらいで変化が分かる? | 毛の周期の分だけ時間がかかります | いま生えている毛が伸びるのではなく、これから生える毛に働くためです。1〜2週間では判断できません |
| コンタクトレンズをしたまま使える? | 外してから使い、時間をあけてください | 薬液がレンズに吸着することがあるためです |
| 片目だけ使ってもいい? | 勧められません | 色素沈着などの変化が左右で差になって現れるためです |
| 眉毛にも使える? | まつげ以外への使用は承認されていません | 承認されている使い方の範囲外となるためです。眉の薄さは別に相談してください |
受診の目安
- 受診を — まぶたが赤い・かゆい・カサつく(まず炎症の治療が必要です)
- 受診を — エクステや化粧品を使い始めてからまつげが急に減った
- 受診を — まつげだけでなく眉や髪も薄くなってきた
- 早めに受診を — 目の痛み・充血・見えにくさがある(眼科の評価が必要です)
- 受診を — 治療を検討したいが、自分に使えるかどうか分からない
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本眼科医会 目の健康情報(確認日: 2026-09-18)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症」(確認日: 2026-09-18)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

