「足の皮がむけるから水虫だと思って市販薬を塗っていたが、治らない」。皮膚科で非常によくある経過です。実際に診てみると、水虫ではなく湿疹だったという方が相当数います。そして困ったことに、水虫の薬を塗り続けたことで、かぶれてさらに悪化していることがあります。だから最初に「本当に水虫か」を確かめるのです。
なぜ見た目だけでは決められないのか
足の皮がむける、かゆい、水ぶくれができる——これらは水虫の症状ですが、まったく同じ見た目になる別の病気がいくつもあります。
| 紛らわしい病気 | 似ている点 | 治療がどう違うか |
|---|---|---|
| 汗疱・異汗性湿疹 | 足の裏に小さな水ぶくれができる | 抗真菌薬では治らず、ステロイド外用が中心(関連記事: 汗疱) |
| かぶれ(接触皮膚炎) | 赤くなり皮がむける | 原因を離すことが治療。水虫の薬自体が原因のこともあります(関連記事: かぶれ) |
| 掌蹠膿疱症 | 足の裏に膿をもった小さなブツブツ | まったく別の治療になります(関連記事: 掌蹠膿疱症) |
| 乾燥・角化 | かかとがガサガサして皮がむける | 保湿・角質ケアが中心(関連記事: かかとのひび割れ) |
| 爪の場合 | 爪が白く濁る・厚くなる | 爪の変形や乾癬でも同じ見た目になります(関連記事: 爪の乾癬 / 爪が厚くなる) |
爪については、特に確認する意味が大きくなります。爪水虫の飲み薬は数か月続ける治療なので、そもそも水虫でなかった場合、まったく無意味な内服を長期間することになるためです。
検査で何をしているか
顕微鏡検査(KOH検査と呼ばれます)の流れは次のとおりです。
- ①皮膚や爪をごく少量採る — ピンセットやメスの背で、むけかけた皮や爪の削りかすを取ります。生きている皮膚を切るわけではないので、基本的に痛みはありません
- ②薬品で溶かす — 採ったものをガラス板にのせ、角質を透明にする薬品をたらします。角質が透けると、その中にいる菌が見えるようになるためです
- ③顕微鏡で見る — 白癬菌(水虫のカビ)は、糸のように枝分かれした形で見えます。これが確認できれば水虫と判定します
結果はその日のうちに分かります。培養という別の検査を追加することもありますが、日常の診療ではこの顕微鏡検査で判断がつくことがほとんどです。
ただし、菌が見つからなかった=水虫ではない、と即断できるとは限りません。採った場所に菌がいなかっただけ、ということがあるためです。その場合は、部位を変えて再検査したり、日をあらためたりします。
受診前にやってはいけないこと
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
- 市販の水虫薬を塗ってから受診しない — 薬で菌が減ると、いても見つからなくなります。塗っていた場合は、できれば1〜2週間あけてからの受診が望ましく、難しければ「いつまで何を塗ったか」を必ず伝えてください
- 受診当日に足をゴシゴシ洗わない — 検査で採る対象そのものを洗い流してしまうためです。普通に洗う程度で構いません
- 皮を自分でむいてから行かない — 同じ理由です。むけかけた皮は、検査には好都合な材料です
- 爪を切りそろえてから行かない — 爪水虫を疑う場合、削って調べる部分がなくなってしまいます
これは患者さんを責める話ではありません。「きれいにしていこう」「先に何とかしよう」というのは自然な行動です。ただ、その行動が診断を難しくしてしまうので、知っておいていただきたいのです。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 検査は痛い? | ほとんど痛みはありません | 採るのは、はがれかけた角質や爪の削りかすで、神経のある層ではないためです |
| その日に結果が出る? | 出ます | 顕微鏡で直接見る検査だからです |
| 家族も一緒に調べたほうがいい? | 症状がある人は調べる価値があります | 家庭内でうつることがあり、家族の一人だけ治しても戻ってしまうためです(関連記事: 水虫をうつさない工夫) |
| 薬を塗ってしまったが、すぐ診てほしい | 受診してください。そのうえで塗った期間を伝えてください | 菌が見つからなかったときの解釈が変わるためです。待つべきかどうかは症状の程度で判断します |
| 治ったかどうかも検査で分かる? | 分かります | 見た目がきれいになっても菌が残っていることがあり、そこでやめると再発します。やめ時を決めるための検査でもあります |
受診の目安
- 受診を — 市販の水虫薬を2週間使っても改善しない(別の病気か、かぶれの可能性があります)
- 受診を — 薬を塗ってから赤みやかゆみが強くなった(かぶれが疑われます。いったん中止してください)
- 受診を — 爪が白く濁る・厚くなる(飲み薬を検討する前に、検査で確かめる価値があります)
- 早めに受診を — 足がじくじくして臭う、赤く腫れて痛む、熱がある(細菌の感染が加わっている可能性があります)
- 受診を — 糖尿病がある方の足のトラブル(関連記事: 糖尿病と皮膚のケア)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「白癬」(確認日: 2026-09-18)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-18)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

