「顔の赤みが年々ひどくなって、ファンデーションでも隠しきれない」。診察でよくうかがう悩みです。顔の赤みには、大きく分けて「血管そのものが広がって見えているもの」と「炎症で赤くなっているもの」があり、この2つは対応がまったく違います。まずどちらなのかを見分けるところから始めます。
毛細血管拡張症とは — 血管が広がって「透けて」いる状態
皮膚のすぐ下にある細い血管が、もとの太さに戻らないまま広がってしまった状態です。血管の壁を支える組織がゆるむことで起こると考えられており、いったん広がった血管は自然に細くなりにくいのが特徴です。
頬骨の上、小鼻のわき、あごに出やすく、近くで見ると赤い線が枝分かれして走っているのが分かります。これが「線」として見えるかどうかが、他の赤みとの決定的な違いです。
広がる要因としては、長年の紫外線(皮膚を支える組織が弱くなるため。関連記事: 光老化)、加齢、酒さ(赤ら顔の病気。関連記事: 酒さ)、ステロイド外用薬を顔に長く使い続けたこと、体質などが知られています。冬の寒暖差やお酒で一時的に目立つのも、この血管が反応するためです。
顔の赤みを3つに分けて考える
| 見え方 | 指で押すと | 対応 | |
|---|---|---|---|
| 毛細血管拡張症 | 糸のような赤い線が枝分かれして見える | 一瞬消えてすぐ戻る。線として残る | 消すならレーザー治療 |
| 酒さ(赤ら顔) | 頬・鼻・額が面で赤い。ほてる、小さなブツブツを伴うことがある | 薄くなるが範囲が広い | 保険診療の塗り薬・飲み薬が中心(関連記事: 酒さ) |
| 炎症による赤み | カサつき・かゆみ・ヒリつきを伴う。化粧品を変えてから出た | 赤みが面で引く | まず湿疹・かぶれとして治療(関連記事: 顔が赤い・ヒリヒリする) |
順番が大事です。炎症や酒さがある状態でレーザーだけ当てても、炎症による赤みは残ります。まず炎症を落ち着かせ、それでも残る「線」を治療の対象にする——これが現実的な進め方です。
治療の考え方とセルフケア
広がった血管に対しては、血液中の色(ヘモグロビン)に反応する波長のレーザーを当て、血管そのものを閉じる治療が行われます。周りの皮膚を傷めずに血管だけに作用させる考え方です。1回で消えきらないことも多く、数回に分けて行うのが一般的とされています。
費用と保険の扱いについては、毛細血管拡張症に対する治療として保険で行われる場合と、赤ら顔全体の改善を目的として自由診療になる場合があり、扱いは医療機関ごとに異なります。自由診療の場合、1回あたり1万〜3万円程度が目安とされています。受診時に必ず確認してください。
※自由診療となる場合、費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。主なリスクとして、治療直後の赤み・紫斑(内出血のような色)・腫れ、一時的な色素沈着があります。
セルフケアでできるのは「これ以上広げない」ことです。
- 日焼け対策を一年中続ける — 紫外線は血管を支える組織を弱らせる要因だからです
- 顔をこすらない・熱いお湯で洗わない — 摩擦と熱は血管を広げる刺激になります
- 顔にステロイド外用薬を自己判断で長く使わない — 長期使用で血管が広がることが知られているためです。処方された期間を守ってください(関連記事: ステロイド外用薬は怖い?)
- 急激な温度差を減らす — 冬に暖房の効いた部屋へ入った直後の赤みは、血管の反応です
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 化粧品で治せる? | 広がった血管は戻りません | 血管という構造そのものの変化だからです。ただし乾燥や炎症を抑えることで、赤みの見え方は和らぎます |
| お酒をやめれば消える? | 一時的な赤みは減りますが、線は残ります | お酒は血管を広げる引き金であって、原因そのものではないためです |
| 放置すると広がる? | 年単位で少しずつ目立ってくることが多いです | 紫外線や加齢の影響が積み重なるためです |
| 治療した日にメイクできる? | 翌日以降が無難です | 直後は赤みや軽い腫れが出ることがあり、こする行為も避けたいためです |
| 子どもの頬の赤みも同じ? | 別に考えます | 生まれつきの血管のあざ(関連記事: あざの種類)や、乾燥・湿疹によるものが多いためです |
受診の目安
- 受診を — 赤い線がはっきり見え、何年も消えない
- 受診を — 顔のほてり・小さなブツブツを伴う(酒さとして治療する対象かもしれません)
- 受診を — 化粧品を変えてから赤くなり、ヒリヒリ・カサつきがある
- 受診を — 顔にステロイド外用薬を長く使っていて、赤みが強くなってきた
- 早めに受診を — 赤みの中にしこりができた、出血する、範囲が急に広がった
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-18)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-18)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

