「シミに効くサプリはありますか」「コラーゲンは飲んだほうがいいですか」。よく聞かれますが、答えづらい質問でもあります。期待されているのは「これを飲めば肌がきれいになる」という答えで、そういうものは存在しないからです。ただし、飲むものがまったく無意味かというとそうではありません。整理して、何に意味があって何に無いのかを書きます。
サプリメントと医薬品は、制度上まったく別のもの
| サプリメント | 医薬品(処方薬・市販薬) | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 食品 | 医薬品 |
| 目的 | 栄養を補うこと | 病気や症状の治療 |
| 効能の表示 | 「〇〇が治る」と表示することはできません | 承認された効能の範囲で表示されます |
| 量 | 製品ごとにばらつきがあります | 成分量が決まっています |
| 使いどころ | 食事で足りない分を補う | 症状に対して、医師・薬剤師の判断で使う |
ここを混同すると、お金と時間の使い方を間違えます。「シミに効く」とうたう広告が目に入りますが、食品である以上、そう表示することはできません。そういう表現を見かけたら、まずそこを疑ってよいと考えています。
栄養が皮膚に関係する、というのは本当
ただし、栄養と皮膚が無関係なわけではありません。実際に不足しているときには、皮膚に症状が出ます。
- 鉄 — 不足すると、抜け毛・爪がもろくなる・口角が切れる、といった症状が出ることがあります(関連記事: 爪がもろい / 口角炎)
- 亜鉛 — 不足すると、傷が治りにくい、口のまわりや手足に湿疹が出る、脱毛といった症状が知られています
- ビタミンB群 — 不足すると、口角炎や脂漏性の皮膚炎に関わることがあります
- たんぱく質 — 皮膚も毛も爪もたんぱく質からできています。極端な食事制限では影響が出ます
大事なのは「不足しているとき」という条件です。足りている人が追加で摂っても、その分だけ肌が良くなるわけではありません。そして、不足しているかどうかは血液検査で確かめられます。特に、抜け毛や爪の変化が続く方では、推測でサプリを買うより一度調べたほうが確実です。
むしろ注意したいのは摂りすぎです。脂に溶けるビタミン(A・D・E・K)は体に溜まりやすく、過剰摂取で皮膚の乾燥や肝臓の負担などの問題が起こることがあります。複数のサプリを併用すると、同じ成分が重なることにも気づきにくくなります。
皮膚科で「飲み薬」を使うとき
皮膚科でも内服を使いますが、それは症状に対する治療としてです。代表的なものを挙げます。
- 色素沈着に対するビタミンCなどの内服 — 医療用のビタミンC製剤には色素沈着に関する効能が認められているものがあり、保険診療の中で使われることがあります
- 肝斑に対するトラネキサム酸の内服 — 市販薬として肝斑の効能で承認されたものがあります。医療機関で処方薬として肝斑目的に用いる場合は、承認された効能の範囲外(適応外)となることがあり、自由診療として扱われることがあります(関連記事: 肝斑)
- ニキビに対する抗菌薬の内服 — 炎症の強い時期に、期間を決めて使います(関連記事: ニキビと抗菌薬)
- かゆみに対する抗ヒスタミン薬 — じんましんなどで使います(関連記事: 抗ヒスタミン薬)
- 漢方薬 — 症状と体質に合わせて用いることがあります(関連記事: 皮膚の病気と漢方)
いずれも「肌をきれいにする薬」ではなく、「その症状に対して使う薬」です。だから診察が必要になります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| コラーゲンを飲めば肌のコラーゲンになる? | 飲んだものがそのまま肌のコラーゲンになるわけではありません | たんぱく質は消化の過程で分解されてから吸収されるためです |
| サプリを飲むのは無駄? | 無駄とは言いません。ただし「不足を補う」範囲で考えてください | 食事が偏りがちな方では意味がありますが、治療の代わりにはならないためです |
| ニキビにサプリは効く? | 治療の代わりにはなりません | ニキビは毛穴の炎症で、外用薬による治療がはっきり確立しているためです(関連記事: ニキビの塗り薬) |
| 飲んでいるサプリを医師に伝える必要は? | あります。必ず伝えてください | 薬との飲み合わせや、検査値に影響するものがあるためです |
| いちばん確実な「肌のための習慣」は? | 日焼け対策・睡眠・保湿です | いずれも効果が確かめられており、費用もかからないためです(関連記事: 光老化) |
受診の目安
- 受診を — 抜け毛・爪のもろさ・口角の切れが数か月続く(血液検査で確かめる価値があります)
- 受診を — サプリを飲み始めてから発疹・かゆみが出た(薬疹と同じように考えます。関連記事: 薬疹)
- 受診を — シミ・肝斑を治療したいが、種類が分からない
- 受診を — ニキビが続いている(内服の前に、まず外用の治療を整えます)
- 早めに受診を — 食事量が極端に減っている、急激なダイエットのあとに皮膚や毛の変化が出た
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「にきび」(確認日: 2026-09-18)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-18)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

