「焼き肉を食べた日の夜中に、全身にじんましんが出て目が覚めた」「原因不明のじんましんと言われているけれど、肉を食べた日に多い気がする」「山歩きや畑仕事でマダニに刺されたことがある」。食べ物のアレルギーは食べてすぐ出るものと思われがちですが、この病気は時間差があるのが最大の特徴です。
α-Gal症候群とは(仕組み)
α-Gal(ガラクトース-α-1,3-ガラクトース)は、牛・豚・羊など、人とサル以外のほ乳類の肉や内臓に含まれる糖の一種です。人の体にはこの糖がないため、体が「よそもの」と認識しやすい性質があります。
マダニの唾液にも、この糖に似た成分が含まれていると考えられています。マダニに刺されたことをきっかけに、体がα-Galに反応する抗体を作るようになり、その後、ほ乳類の肉を食べるとアレルギーの反応が起こるようになります。
肉の脂と一緒にゆっくり吸収されるため、食べてから3〜6時間ほどたってから症状が出ます。夕食に食べると、寝ている間の夜中に症状が出ることになります。山や畑、草むらに入る機会が多い方に多くみられます。
症状・見分け
出やすい症状は次のとおりです。
- 全身のじんましん、強いかゆみ
- 唇・まぶたの腫れ
- 腹痛、下痢、吐き気
- 息苦しさ、ゼーゼーする、血圧が下がって意識が遠のく(アナフィラキシー)
| 見るところ | よくある食物アレルギー | α-Gal症候群 | 原因のわからない慢性じんましん |
|---|---|---|---|
| 出るまで | 食べて数分〜2時間以内 | 3〜6時間後。夜中に出やすい | 食事と関係なく出る |
| 原因の食べ物 | 卵・乳・小麦・えび・そばなど | 牛・豚・羊などの肉、内臓、ゼラチンなど | はっきりしない |
| きっかけ | 体質、子どものころから | マダニに刺されたこと。大人になってから始まる | 疲れ・ストレスなどで悪化 |
| 毎回出るか | 食べると出やすい | 量・脂の多さ・運動・お酒で出たり出なかったり | ほぼ毎日 |
「肉を食べても出ない日がある」ことも、この病気ではよくあります。脂の多い部位や内臓、たくさん食べたとき、食後に運動したりお酒を飲んだりしたときに出やすいとされています。鶏肉や魚では、基本的に起こりません。
治療・セルフケア
診断は、症状の出方とマダニに刺された経験をくわしく聞くことに加えて、牛肉や豚肉に対する抗体を調べる血液検査などで行います。
治療の基本は、原因になるほ乳類の肉や内臓を避けることです。鶏肉・魚・卵・大豆などは食べられることがほとんどです。乳製品やゼラチン(グミ・ゼリー・一部の薬のカプセルなど)で症状が出る方もいるため、どこまで避けるかは症状を見ながら一緒に決めます。
症状が出たときは、かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)を使います。過去に息苦しさなど重い症状が出たことがある方には、アドレナリンの自己注射薬(エピペン)を処方し、使い方を練習しておきます。
そして、新たにマダニに刺されないことも大切です。理由は、刺されるたびに抗体が増えて症状が強くなることがあり、逆に刺されない期間が続くと、年単位で反応が弱まっていくことがあるとされているためです。
- 山や草むら、畑に入るときは、長袖・長ズボン・手袋を着用し、すそを靴下に入れる
- 虫よけ(ディートやイカリジンを含むもの)を使う
- 帰宅後は入浴し、わきの下・ひざの裏・耳のまわりなどにマダニが付いていないか確かめる
受診の目安
- 息苦しい、ゼーゼーする、のどが詰まる、意識がぼんやりする、ぐったりしている(すぐに119番。エピペンを持っていれば使う)
- じんましんに腹痛や吐き気を伴った(当日受診。夜間で迷うときは#7119)
- 肉を食べた日の夜中に、じんましんが出ることをくり返す
- 原因のわからないじんましんがあり、マダニに刺されたことがある
診察室でよく聞かれる質問
マダニに刺された覚えがありません
マダニは刺されても痛みが少なく、気づかないまま取れていることもあります。山や畑、庭仕事、犬の散歩など、草むらに入る生活をしていれば、覚えがなくても可能性はあります。
一生、肉は食べられないのですか?
マダニに刺されない期間が続くと、何年かかけて抗体が下がり、少しずつ食べられるようになる方もいるとされています。ただし自己判断で試すのは危険です。血液検査の数値を見ながら、医師と相談して進めてください。
外食のときはどうすればいいですか?
ハンバーグやソーセージ、カレーやラーメンのスープ、ラードを使った料理などにも肉や脂が含まれます。お店に確認するのが確実です。重い症状が出たことのある方は、エピペンを持ち歩いてください。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ダニ類による感染症(確認日: 2026-10-10)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-10)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

