DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
「血圧の薬を飲み始めてから、顔や手の甲が日焼けしたように赤くなる」「朝起きたら唇が大きく腫れていた」「足首がむくむようになった」。血圧の薬は長く飲み続けることが多いため、皮膚の症状との関係に気づきにくいことがあります。薬の種類ごとに出やすい皮膚症状と、相談のしかたを説明します。
目次
血圧の薬と皮膚症状の関係(仕組み)
薬による皮膚の症状(薬疹)は、どの薬でも起こり得ます。多くは飲み始めて数日〜数週間で出ますが、血圧の薬では何か月〜何年も飲んでいてから出る症状もあるのが特徴です。主な仕組みは次の3つです。
- アレルギー反応:薬に対する免疫の反応で、かゆい赤い発疹が全身に出ます
- 光線過敏:薬が皮膚に届いた状態で紫外線を浴びると、日に当たった場所だけが赤くなります
- 薬の作用そのもの:血管を広げる作用や、体内の物質の分解を抑える作用によって、むくみや腫れが出ます
薬の種類別に出やすい症状(症状・見分け方)
| 薬の種類(一般名の例) | 出やすい皮膚の症状 | 特徴 |
|---|---|---|
| ACE阻害薬(エナラプリル、イミダプリルなど) | 唇・まぶた・舌・顔の腫れ(血管性浮腫) | かゆみが少なく、数日で引くが繰り返す。飲み始めて何年もたってから出ることもある。のどが腫れると危険 |
| サイアザイド系利尿薬(ヒドロクロロチアジドなど。配合剤に含まれることも多い) | 日に当たった場所の赤み・かゆみ(光線過敏) | 顔・首の後ろ・手の甲・腕など、服から出ている部分にくっきり出る |
| カルシウム拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピンなど) | 足首・すねのむくみ。ときに顔のほてり、歯ぐきの腫れ | かゆみのない、両足のむくみ。光線過敏や湿疹が出ることもある |
| β遮断薬(ビソプロロールなど) | 乾癬(かんせん)の悪化、手足の冷え | もともと乾癬がある方で目立つことがある |
| ARB(カンデサルタン、オルメサルタンなど) | 発疹、まれに血管性浮腫 | 頻度は高くないが、どの薬でも薬疹は起こり得る |
同じ症状でも、血圧の薬とは関係のない病気(湿疹、じんましん、うっ滞性皮膚炎、心臓や腎臓の病気によるむくみなど)のこともあります。薬が原因かどうかは、飲み始めた時期、症状の出方、ほかの薬との関係から判断します。
治療・対処
- 血圧の薬は自己判断でやめない:急にやめると血圧が大きく上がり、心臓や脳の病気のリスクになります。皮膚の症状が出たら、まず処方している医師か皮膚科に相談します。原因の可能性がある薬を、同じ働きの別の系統の薬に変えることで解決することが多くあります
- 皮膚の炎症を抑える:光線過敏や発疹には、ステロイドの塗り薬やかゆみ止めの飲み薬を使います
- 光線過敏があるとき:薬を変えるまでの間や変えたあともしばらくは、日焼け止め・帽子・長袖で紫外線を防ぎます
- 血管性浮腫が出たとき:ACE阻害薬が原因と考えられる場合は、その系統の薬を続けないことが基本です。どの薬が原因だったかをお薬手帳に記録してもらいます
受診するときに伝えること
- 飲んでいるすべての薬(お薬手帳)。配合剤は2種類の成分が入っていることがあります
- 症状が出始めた時期と、薬を始めた・変えた時期
- 日に当たった場所だけか、服で隠れている場所にも出ているか
- 症状が出ているときの写真
よくある質問
Q. もう何年も飲んでいる薬なので、原因ではないですよね?
A. 長く飲んでいる薬でも原因になることがあります。とくにACE阻害薬による唇やまぶたの腫れは、飲み始めてから何年もたってから初めて出ることが知られています。「長く飲んでいるから関係ない」と決めつけずに、相談してください。
Q. 光線過敏が出ました。冬なら日焼け止めはいらないですか?
A. 冬でも紫外線はあり、光線過敏の原因になる紫外線は窓ガラスを通るものもあります。症状が続く間は、季節を問わず紫外線対策を続けてください。
受診の目安
- すぐに受診・119番:唇・舌・のどが腫れる、息苦しい、声がかすれる
- 早めに受診:全身に発疹が広がる、発熱を伴う、目や口の中がただれる
- 相談して治療:日に当たった場所の赤みやかゆみが続く、足のむくみが気になる、もともとの乾癬が悪化した
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-11-02)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-11-02)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

