「口内炎が、いつもどこかにある」「すねに、押すと痛い赤いしこりがいくつもできた」「ひげそりや採血のあとが、赤く膿をもつことが多い」。これらはそれぞれ、よくある症状です。けれども、いくつかが同じ人にくり返し起きるときは、体全体の病気のサインのことがあります。
ベーチェット病とは(仕組み)
ベーチェット病は、体を守る仕組み(免疫)の一部が過剰に働き、口・皮膚・目・陰部などに炎症をくり返し起こす病気です。20〜40歳代で発症することが多く、国の指定難病のひとつです。
原因はまだ完全にはわかっていませんが、生まれつきの体質(遺伝的な素因)に、感染などの環境の要因が加わって起こると考えられています。人から人へうつる病気ではありません。
症状は、よくなったり悪くなったりをくり返すのが特徴です。そのため、一つひとつの症状はふつうの口内炎や湿疹のように見え、病気に気づくまでに時間がかかることがあります。
主な症状と見分け方
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 口の中の潰瘍(口内炎) | ほぼすべての方に出る、最も多い症状。痛みのある丸い口内炎をくり返す。最初の症状になることが多い(関連記事: 口内炎) |
| すねの痛い赤いしこり | すねなどに、押すと痛い赤いしこりができる(結節性紅斑に似た症状)(関連記事: 結節性紅斑) |
| ニキビのようなブツブツ | 顔・首・胸・背中などに、膿をもったニキビのようなブツブツ(毛包炎に似た症状) |
| 針反応 | 採血や注射の針を刺したところが、1〜2日後に赤く腫れて膿をもつ |
| 陰部の潰瘍 | 陰部に痛みのある潰瘍ができる。治ったあとに跡が残ることがある |
| 目の炎症 | 充血・目の痛み・まぶしさ・かすみ・視力の低下。くり返すと視力に影響することがある |
| そのほか | 関節の痛み・腫れ。まれに、腸・血管・神経にも症状が出る |
口内炎だけをくり返す方の多くは、ベーチェット病ではありません。口内炎に加えて、上の表のほかの症状が重なるかどうかが見分けのポイントです。
診断と治療
ベーチェット病には、これ一つで決まるという検査がありません。症状の組み合わせと経過をもとに、ほかの病気を除外しながら診断します。皮膚科では、皮膚の症状を観察し、必要に応じて皮膚の一部を取って調べたり(皮膚生検)、針反応を確かめたりします。
治療は、症状の出ている場所と強さに合わせて選びます。
- 口内炎・皮膚の症状 — ステロイドの塗り薬や貼り薬、炎症を抑える飲み薬を使う。口の潰瘍に使える飲み薬もある
- 陰部の潰瘍 — ステロイドの塗り薬などで炎症を抑える
- 目の症状 — 眼科で目の炎症を抑える治療を行う。くり返しを防ぐために、全身の治療(飲み薬・注射薬)を組み合わせることがある
- 腸・血管・神経の症状 — 専門の診療科で、より強い治療を行う
皮膚科・眼科・膠原病(こうげんびょう)内科・消化器内科などが連携して診ていく病気です。症状の中心がどこにあるかで、主に通う診療科が変わります(関連記事: 膠原病と皮膚)。
日常生活での工夫
- 口の中を清潔に保ち、刺激を減らす — 口内炎があるときは、辛いもの・熱いもの・かたいものを控える
- 疲れやストレスをためない — 症状が悪くなるきっかけになることがあるためです
- 採血や注射のときに伝える — 針反応が出やすいことを医療者に伝えておくと安心です
- 目の変化に気をつける — かすみ・充血・まぶしさが出たら、様子を見ずに眼科へ
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 口内炎がよくできます。ベーチェット病でしょうか? | 口内炎だけなら、ベーチェット病ではないことがほとんどです | 口内炎は多くの人にできるためです。ほかの症状が重なる場合に相談してください |
| 治りますか? | 完全に治すのは難しいことがありますが、治療で症状を抑え、よい状態を長く保てる方が多い病気です | くり返す病気なので、症状に合わせて治療を続けていきます |
| 何科を受診すればいいですか? | 皮膚や口の症状が中心なら皮膚科、目の症状があれば眼科へ | 症状によって主に診る科が違い、必要に応じて連携するためです |
受診の目安
- 受診を — 痛い口内炎をくり返し、すねの赤いしこり・ニキビのようなブツブツ・陰部の潰瘍のどれかもある
- 受診を — 採血や注射のあとが、赤く膿をもつことが多い
- 早めに眼科へ — 目の充血・痛み・まぶしさ・かすみ・見えにくさがある
- すぐに医療機関へ — 激しい腹痛、血便、急な手足のまひや強い頭痛がある。迷ったときは救急安心センター(#7119)に相談してください
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-25)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-25)
- 日本眼科医会 目の病気(確認日: 2026-09-25)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

