「夏になるとブラジャーのアンダーがかゆい」「ワイヤーが当たる所が赤くなる」「肩ひもや背中のホックの跡が茶色く残ってきた」「胸の下が赤くただれてヒリヒリする」。毎日身につけるものなので、原因が分かりにくく我慢しがちな悩みです。場所と見た目から原因を見分ける方法を整理します。
下着で肌トラブルが起きる仕組み
ブラジャーは、胸を支えるために体に密着し、一日中同じ場所に圧をかけます。とくにアンダーバスト(胸の下)は、汗がたまりやすく、皮膚同士がこすれやすい場所です。
- 蒸れ…汗が逃げずに皮膚がふやけると、こすれに弱くなり、あせもや赤みが出ます。
- こすれ・締め付け…ワイヤー、ゴム、ホック、縫い目が当たる所に、赤み・皮むけが出ます。くり返すと、皮膚が刺激から身を守ろうとしてメラニンを増やし、茶色い跡(色素沈着)が残ります。
- カビ(真菌)の増殖…胸の下のように湿った皮膚のしわでは、カンジダというカビが増えやすくなります。
- 素材・金属へのかぶれ…ワイヤーの金属やホック、ゴムの成分、染料、洗剤の残りに反応することがあります。
場所と見た目で見分ける
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| あせも | 小さな赤いブツブツ、チクチクするかゆみ | 夏や運動後。アンダーや背中のベルト部分に多い |
| こすれ・締め付け | 線状・帯状の赤み、ヒリヒリ、くり返すと茶色い跡 | ワイヤー、肩ひも、ホック、ゴムの位置と一致する |
| 間擦疹(かんさつしん) | 胸の下のしわに沿った赤み、ただれ | 皮膚同士が重なる所。汗をかくと悪化 |
| 皮膚カンジダ症 | 赤くジュクジュクし、ふちに小さなブツブツや膿の点 | 胸の下のしわ。ステロイドを塗るとかえって広がる |
| かぶれ(接触皮膚炎) | 強いかゆみ、細かいブツブツ、まれにジュクジュク | 新しい下着や洗剤にした後。金属が当たる点だけに出ることも |
同じ「胸の下の赤み」でも、ただの蒸れ・こすれと、カビによるものでは治療が逆になります。とくに市販のかゆみ止め(ステロイド入り)を塗って広がってきた場合は、カビを疑います。
セルフケアと下着の選び方
- サイズを合わせる。アンダーがきついと締め付けとこすれが増え、ゆるいとワイヤーが動いてこすれます。体型が変わったら測り直してください。
- 汗をためない。汗をかいたら、胸の下を清潔なタオルで押さえるようにふきます。こするとかえって刺激になります。替えの下着を持ち歩くのも有効です。
- 家ではノンワイヤーやゆったりしたものに。締め付ける時間を短くすると、跡や赤みが減ります。
- 洗剤をよくすすぐ。洗剤や柔軟剤の残りが刺激になることがあります。
- 入浴後に保湿。こすれやすい所は、ワセリンなどで保護しておくと摩擦が減ります。ただし、ジュクジュクしている所や胸の下のしわには塗り込みすぎないでください。湿った状態が続くためです。
皮膚科での治療
あせもやこすれによる湿疹には、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)を短期間使います。カンジダが疑われる場合は、皮膚の表面を少し取って顕微鏡でカビを確かめる検査をしてから、抗真菌薬(カビを抑える薬)の塗り薬で治療します。金属や素材へのかぶれが疑われる場合は、パッチテストで原因を調べることがあります。
こすれによる茶色い跡は、原因がなくなれば数か月から年単位でゆっくり薄くなることが多いです。まずは跡をつくらない下着選びがいちばんの近道です。
診察室でよく聞かれる質問
Q. ワイヤーの当たる所だけがかゆくなります。金属アレルギーですか?
A. 多くはこすれによるものですが、ワイヤーの先が布を突き破って皮膚に触れている場合や、ホックの金属が当たる所だけに出る場合は、金属のかぶれも考えます。下着の内側を確かめ、気になる場合はパッチテストで調べられます(関連記事: 金属アレルギー)。
Q. 授乳中で、胸の下や乳首のまわりがかゆいです。
A. 授乳中は汗や母乳で湿りやすく、湿疹やカンジダが起きやすい時期です。授乳中でも使える塗り薬があるので、早めに相談してください。
Q. スポーツブラで背中や脇がすれます。
A. 運動中は汗とこすれが重なります。縫い目の少ないもの、吸汗速乾の素材を選び、運動後はすぐに着替えてください。
受診の目安
- セルフケアを1〜2週間続けてもかゆみや赤みがおさまらない
- 胸の下が赤くジュクジュクしている、ふちに小さなブツブツがある
- 市販のかゆみ止めを塗ったら広がってきた
- 金属が当たる所だけ、くり返しかぶれる
- しこりや、乳首からの分泌物がある(乳腺の病気の確認のため、乳腺外科への受診も考えます)
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-22)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「汗の病気」(確認日: 2026-10-22)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

