「毎年冬になるとかかとが白く粉をふく」「ひび割れて歩くと痛い」「ストッキングが引っかかる」——かかとの角質は、多くの方が保湿とやすりで対応しています。それで改善するなら乾燥が主因ですが、何をしても厚くなり続ける場合、原因が別にあることがあります。
かかとが厚く硬くなる仕組み
かかとは、全身の体重を最初に受け止める場所です。皮膚は圧力から内部を守るために角層を厚くしますが、かかとにはもともと皮脂腺がほとんどなく、汗以外に表面をうるおすものがありません。そこへ次の条件が重なると、角層が硬く厚くなり、柔軟性を失って割れていきます。
- 圧迫と摩擦 — 立ち仕事、硬い靴底、かかとのないサンダルやミュール
- 乾燥 — 冬の空気の乾燥、暖房、加齢による水分保持力の低下
- 入浴時の洗いすぎ — 熱いお湯、ボディブラシでのこすり洗い
- 素足で過ごす時間の長さ — 摩擦と乾燥の両方が増えます
硬くなった角質は伸び縮みできないため、歩行時に張力がかかると亀裂が入ります。亀裂が真皮まで届くと出血し、鋭い痛みが出ます。
かゆくない水虫がある
水虫と聞くと「指の間がジュクジュクしてかゆい」姿を思い浮かべますが、白癬(水虫)には3つのタイプがあり、そのうちのひとつはかゆみをほとんど伴いません。
| タイプ | 症状 | かゆみ |
|---|---|---|
| 趾間型 | 足の指の間が白くふやける、皮がむける | あることが多い |
| 小水疱型 | 土踏まず・足のふちに小さな水ぶくれ | 強いことが多い |
| 角質増殖型(角化型) | かかと全体が厚く硬くなり、粉をふいて皮がむける | ほとんどない |
角質増殖型は、乾燥やタコと区別がつきにくく、市販の保湿剤で何年も対応されていることがあります。白癬菌は角層の中で増え続けるため、保湿だけでは減りません。
乾燥・水虫・その他の見分け
| 状態 | 見た目 | 手がかり |
|---|---|---|
| 乾燥による角化 | 白い粉ふき、浅いひび | 左右対称。冬に悪化し、保湿で軽くなる |
| 角質増殖型の水虫 | かかと全体が厚く、細かく皮がむける | 片足だけのことがある。爪の濁りを伴うことが多い。季節に関係なく続く |
| タコ(胼胝) | 荷重部が黄色く平たく硬い | 圧のかかる一部だけ。靴を変えると変化する |
| 掌蹠角化症など | 手のひらと足裏が同時に厚くなる | 若い頃から続く。家族に同じ傾向があることも |
爪を見てください。足の爪が白く濁る、厚くなる、ボロボロ崩れる、といった変化があれば、かかとの角化も白癬による可能性が高まります。爪水虫とかかとの角化はしばしば同時に存在し、片方だけ治療しても再発を繰り返します。
また、片足だけに症状がある場合も白癬を疑う手がかりです。乾燥であれば通常は左右同じように出ます。
検査は簡単に済む
皮膚科では、皮むけしている部分の角質をごく少量採り、顕微鏡で白癬菌がいるかを確認します。痛みはほとんどなく、その場で結果が分かることが多い検査です。
ここで大切な注意があります。市販の抗真菌薬を塗ってから受診すると、菌が検出されにくくなり、正しい診断ができないことがあります。自己判断で薬を使う前に、まず検査を受けるほうが結果的に近道になります。
原因別の対処
乾燥・圧迫による角化の場合
- 尿素やヘパリン類似物質の外用 — 角質を柔らかくし、水分を保ちます。ひび割れて出血している部分に尿素はしみるため、その場合はワセリンなど刺激の少ないものから始めます
- 入浴後に塗る — 角質がふやけているうちが塗りどきです
- 削りすぎない — やすりは入浴後に表面を軽く整える程度。厚く削ると、防御反応でかえって厚くなります
- かかとを覆う — 靴下やかかと用のカバーで摩擦と乾燥を減らします
- 靴を見直す — かかとが固定される靴のほうが、角質は厚くなりにくくなります
- 深い亀裂には保護を — 医療用のテープや被覆材で覆うと、痛みが減り治りが早まります
白癬と確認された場合
抗真菌薬による治療が必要です。角質増殖型は角層が厚く薬が届きにくいため、外用薬だけでは不十分なことがあり、内服薬が検討される場合があります。内服では肝機能などの確認や、他の薬との飲み合わせの評価が必要になります。
治療で重要なのは期間です。見た目が良くなっても角層の奥に菌が残っており、途中でやめると再発します。皮膚が入れ替わる期間を見込んで、指示された期間を続けることが再発を減らす鍵になります。家族に感染を広げないため、バスマット・スリッパの共用を避けることも並行して行います。
受診の目安
- 保湿と角質ケアを1か月続けても厚さが変わらない
- 片足だけ症状がある
- 足の爪が白く濁る・厚い・崩れる
- ひび割れから出血している/歩くと痛い
- 赤く腫れて熱を持ってきた(細菌感染が起きている可能性があります)
- 糖尿病・血流の病気があり、足に傷ができた
- 手のひらにも同じような角化がある
糖尿病がある方のかかとのひび割れは、そこから細菌が入り治りにくい傷になることがあります。自己判断で削らず、早めに相談してください。足が急に赤く腫れて熱と強い痛みが出た場合は、蜂窩織炎などの感染を考える状況です。夜間・休日で迷うときは、救急安心センター事業(#7119)などの相談窓口を利用してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「白癬(水虫・たむしなど)」(確認日: 2026-08-30)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「爪」(確認日: 2026-08-30)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン・指針一覧(確認日: 2026-08-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

