「ケーキについてきたドライアイスを子どもが握ってしまった」「打ち身に保冷剤を当てたまま寝てしまい、朝起きたら皮膚が赤く水ぶくれになっていた」。冷たいもので皮膚が傷つくのは冬山だけの話ではなく、家庭でも起こります。仕組みと対処、受診の目安をまとめます。
冷たいもので皮膚が傷つく仕組み
ドライアイスは、二酸化炭素を固めたもので、温度はおよそマイナス79℃です。素手で触ると、皮膚の水分が一瞬で凍り、細胞が傷つきます。熱いものに触れたときと同じように、皮膚が損傷するため、「低温によるやけど」と呼ばれることもあります。
保冷剤や氷は、ドライアイスほど冷たくはありませんが、皮膚に直接、長い時間当て続けると、皮膚の血流が落ちて凍傷になることがあります。打ち身や発熱のときに保冷剤を当てたまま眠ってしまう、感覚が鈍くなっている部位(しびれのある足など)に当てる、といった状況で起こりやすくなります。冷却スプレーを同じ場所に吹き付け続けた場合も同様です。
症状と重さの見分け方
凍傷は、温めて元に戻ったあとに本当の重さが分かることが多く、直後の見た目だけでは判断しにくいのが特徴です。
| 程度 | 温めた後の様子 | 考え方 |
|---|---|---|
| 軽い | 赤み、ヒリヒリ、ジンジンする痛み。数日で落ち着く | 保護して様子を見てよい |
| 中くらい | 数時間〜1日で水ぶくれができる | 受診して治療を受ける |
| 重い | 皮膚が白や紫、黒っぽいまま。感覚が戻らない、硬い | 深い凍傷の可能性。早めに受診 |
触った直後は、皮膚が白っぽく硬くなり、感覚が鈍くなります。温めると赤くなって強い痛みやかゆみが出ることが多く、これは血流が戻ってきたサインでもあります。
その場での対処
- 冷たいものからすぐ離す。皮膚にくっついたドライアイスは、無理にはがさず、ぬるま湯をかけて自然に離れるのを待ちます。
- ぬるま湯(お風呂より少しぬるい程度)でゆっくり温める。白くなった部分の色と感覚が戻るまで温めます。
- こすらない、マッサージしない。凍って傷んだ組織を、さらに壊してしまうためです。
- 熱いお湯、ストーブ、ドライヤー、カイロで急に温めない。感覚が鈍っているので熱さに気づきにくく、やけどを重ねてしまうことがあります。
- 水ぶくれは破らない。清潔なガーゼで覆って受診します。
治療
皮膚科では、深さに応じてやけどと同じように治療します。赤みだけなら炎症を抑える塗り薬、水ぶくれやただれがあれば、傷を乾かさずに保護する塗り薬や被覆材を使い、皮膚の再生を待ちます。深い凍傷では、どこまでの組織が傷んだかがはっきりするまで数日〜数週間かかることがあり、経過を見ながら治療を進めます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 打撲や発熱のとき、保冷剤はどう使えば安全ですか?
A. 保冷剤はタオルやハンカチで包み、直接肌に当てないようにしてください。1回に当てる時間は短めにして、ときどき外して皮膚の色を確認します。眠る前には外しておくと安心です。
Q. ドライアイスを扱うときの注意はありますか?
A. 素手で触らず、軍手やトングを使ってください。お子さんの手の届かない場所に置き、遊ばせないことも大切です。また、ドライアイスをペットボトルなどの密閉容器に入れると破裂することがあり、狭い車内などに大量に置くと二酸化炭素で気分が悪くなることがあります。
Q. 赤くなってかゆいのは、しもやけとは違いますか?
A. しもやけは、凍るほどではない寒さに繰り返しさらされて、血のめぐりが悪くなって起こるものです。凍傷は、皮膚そのものが凍って傷つくものなので、原因の強さが違います。どちらか分からないときは、経過を見せていただければ判断できます。
受診の目安
- 水ぶくれができた
- 温めても、皮膚が白・紫・黒っぽいまま、硬いまま
- 温めても感覚が戻らない、しびれが続く
- 指先、耳、鼻など、血流が少ない場所の凍傷
- 範囲が広い、強い痛みが続く
- 数日たって、赤み・腫れ・膿が出てきた(細菌感染の可能性)
夜間や休日で判断に迷う場合は、#7119(救急安心センター)に相談できます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-25)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-25)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

