「寝ついたと思ったら、ボリボリかく音で目が覚める」「朝起きると、シーツに血がついている」「かかないでと言っても止まらない」。子どものかゆみは、本人だけでなく、家族の睡眠にも影響する切実な悩みです。夜にかゆくなる理由と、家でできる工夫、受診の目安を説明します。
夜にかゆくなる理由(仕組み)
かゆみは、日中より夜のほうが強く感じやすいことが分かっています。理由はいくつか重なっています。
- 体が温まる:お風呂や布団で皮膚の温度が上がると、かゆみを感じる神経が刺激されやすくなります。
- 気がまぎれない:遊びや勉強に集中している日中と違い、寝る前はかゆみに意識が向きやすくなります。
- 眠りが浅いときにかく:寝ている間は無意識にかいてしまい、かいた刺激でさらにかゆくなる、という悪循環が起こります。
かくと皮膚のバリア(外からの刺激を防ぐ働き)が壊れ、湿疹が悪化して、またかゆくなります。夜のかゆみを止めることは、湿疹を治すことにもつながります。
夜にかゆがる原因の見分け方
子どもが夜にかゆがる原因は、乾燥やアトピー性皮膚炎がもっとも多いですが、ほかの原因が隠れていることもあります。
| 原因 | 手がかり |
|---|---|
| 乾燥・アトピー性皮膚炎 | ひじやひざの内側、首、顔などに、かさかさした赤みや湿疹がある。冬に悪くなりやすい |
| じんましん | 蚊に刺されたような膨らみが出て、数時間〜1日で消える |
| 虫刺され(ダニなど) | おなかや太ももなど、服で覆われた場所に赤いブツブツ |
| 疥癬(かいせん) | 家族も夜にかゆがっている。指の間や手首、わきなどに小さなブツブツ |
| 蟯虫(ぎょうちゅう) | 夜におしりの周りをかゆがる |
| あせも | 汗をかきやすい首や背中、わきに小さなブツブツ。暑い時期や厚着で |
今夜からできる対策
まず、寝る前の過ごし方を見直します。
- お風呂はぬるめに:熱いお湯は皮膚を乾燥させ、体を温めすぎてかゆみを強くします。38〜40度くらいのぬるめのお湯にし、長湯は避けます。
- お風呂上がりは早めに保湿:皮膚が乾ききる前に、保湿剤を全身に塗ります。処方されている塗り薬がある場合は、寝る前に湿疹のある場所へしっかり塗ることで、夜のかゆみが和らぎやすくなります。
- 寝室と布団を暑くしすぎない:厚着や布団のかけすぎで汗をかくと、かゆみが強くなります。少し涼しいと感じるくらいにします。
- 肌着とパジャマは綿など、肌ざわりのよいもの:ウールや化学繊維がチクチクする場合は避けます。
- 爪を短く、角を丸く:かいても皮膚が傷つきにくくなります。小さな子どもには、寝るときだけ綿の手袋やミトンを使う方法もあります。
かいているところを見たときは、「かかないで」と止めるより、冷やす・やさしくさする・押さえるほうが効果的です。保冷剤をタオルで包んで当てると、かゆみが落ち着きやすくなります。かゆみはがまんできるものではないので、叱るとかえって隠れてかくようになり、親子ともに疲れてしまいます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 寝る前にかゆみ止めの飲み薬を飲ませてもいいですか?
A. 処方されたかゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)を指示どおりに飲むのは問題ありません。ただし、眠らせる目的で、市販の眠くなる薬を飲ませることは勧めません。眠気の強い種類の薬は、小さな子どもでは注意が必要とされています。かゆみの根本は皮膚の炎症なので、塗り薬で炎症をしっかり抑えることが基本です。
Q. 塗り薬を塗っているのに、夜のかゆみが治まりません。
A. 塗る量が足りない、塗る範囲が狭い、薬の強さが合っていない、などの可能性があります。皮膚の表面がまだざらざらしている、赤みが残っている場合は、炎症が治まりきっていません。塗り方や薬の見直しのため、受診して相談してください。
Q. 夜中にかいて起きたとき、すぐできることはありますか?
A. かいている場所を冷やすか、保湿剤を塗り直してあげてください。それだけで落ち着いて、また眠れることがあります。
受診の目安
- 夜にかいて目が覚めることが、週に何度もある
- 朝、シーツやパジャマに血がついている、かき傷が治らない
- 日中も集中できない、機嫌が悪い、昼間に眠そうにしている
- 湿疹がじゅくじゅくする、黄色いかさぶたができる、痛みのある水ぶくれが急に広がった
- 家族も同じようにかゆがっている、おしりの周りをかゆがる
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎(確認日: 2026-10-27)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ダニ類による感染症(確認日: 2026-10-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

