「寒くなるとすねがかゆくて、夜に布団の中で掻いてしまう」「ふくらはぎに茶色いシミとかゆみが出てきた」。脚は体の中でも皮脂が少なく、乾燥しやすい場所です。原因によって対処が変わるので、まずは見分け方から整理します。
脚がかゆくなる仕組み
皮膚のいちばん外側には、水分を逃さず外からの刺激を防ぐ「バリア」の役目をする層(角層)があります。すねは皮脂を出す腺が少ないため、空気が乾燥するとこのバリアが崩れやすく、ちょっとした刺激でかゆみを感じるようになります。
掻くとさらにバリアが傷つき、かゆみが強くなる、という悪循環に入ります。この状態が続くと、赤くザラザラした湿疹(皮脂欠乏性湿疹)になります。
症状・見分け
脚のかゆみで多い原因を、診察室で見かける頻度の高い順に並べます。
| 原因 | 出やすい場所・時期 | 見た目の特徴 |
|---|---|---|
| 乾燥(皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹) | すね。秋〜冬。中高年に多い | 白い粉をふく、ひび割れのような線。進むと赤くザラザラ |
| 虫刺され・痒疹 | 膝から下。夏〜秋 | 赤いブツブツ。掻き続けると硬いしこりになる |
| うっ滞性皮膚炎 | ふくらはぎの下〜くるぶし | むくみ、茶色の色素沈着、血管が浮き出る |
| 貨幣状湿疹 | すね・太もも | 硬貨くらいの大きさの丸い湿疹。ジュクジュクしやすい |
| こすれ・かぶれ | 太もも、靴下やタイツのゴムの位置 | 衣類が当たる場所に沿って赤くなる |
ふくらはぎから足首にかけて茶色っぽく色が変わり、立ち仕事のあとにむくむという場合は、脚の静脈の流れが悪くなって起こるうっ滞性皮膚炎の可能性があります。乾燥とは治療の考え方が違うため、早めに相談してください(関連記事: うっ滞性皮膚炎)。
治療・セルフケア
乾燥が原因なら、いちばん効くのは保湿です。治療の流れは次のとおりです。
- 入浴後5分以内に保湿剤を塗る: お風呂上がりは皮膚の水分が急に逃げていくため、早いほど効果的です
- 熱いお湯・長風呂を避ける: 40℃以下のぬるめのお湯にします。熱いお湯は皮脂を落としすぎてかゆみを強めます
- ナイロンタオルでこすらない: すねは石けんを泡立てて手でなでる程度で十分汚れが落ちます
- 暖房の風を直接当てない: こたつや電気毛布で脚を長時間温めると乾燥が進み、かゆみも強くなります
赤みやブツブツが出て湿疹になっている場合は、保湿だけでは治りにくく、炎症を抑えるステロイドの塗り薬を使います。湿疹を先に落ち着かせてから保湿を続けると、くり返しにくくなります。
かゆくてたまらないときは、掻く代わりに保冷剤をタオルで包んで当てると、かゆみが一時的に和らぎます。冷やすとかゆみの神経の働きがにぶくなるためです。
受診の目安
- 保湿を1〜2週間続けても、かゆみが治まらない
- 赤いブツブツ、ジュクジュク、硬いしこりが出てきた
- 夜眠れないほどかゆい
- すねやふくらはぎが茶色くなる、むくむ、治りにくい傷がある
- 脚だけでなく全身がかゆく、発疹がほとんど見えない(内科の病気が関係することがある)
診察室でよく聞かれる質問
市販のかゆみ止めを塗ってもいいですか?
軽い乾燥のかゆみなら、市販の保湿剤やかゆみ止めで様子を見てかまいません。ただし、2週間ほど使っても良くならない場合や、範囲が広がる場合は受診してください。湿疹になっていると、市販薬では炎症の強さに合わないことがあります。
保湿剤はどれを選べばいいですか?
塗り続けられるものがいちばんです。べたつきが気になるならローションやクリーム、乾燥が強い冬場はワセリンなどの軟膏が向いています。夜にたっぷり塗る、朝は軽めにする、といった使い分けもおすすめです。
毎年冬になると同じようにかゆくなります
すねの乾燥は季節でくり返しやすい症状です。かゆみが出る前の秋口から保湿を始めると、冬のかゆみを軽くできます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-15)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 虫さされ(確認日: 2026-10-15)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

