「ドアに指をはさんで爪が浮いてしまった」「サッカーで足の爪がめくれた」「重いものを落として、爪の下が真っ黒になった」。爪のけがはとても痛く、見た目にも驚きますが、手当ての仕方で、そのあとの治りや爪の形が変わります。慌てずに、まずはできることを確認しましょう。
爪の構造と、剥がれる仕組み
爪は、根元の皮膚の下にある爪母(そうぼ:爪をつくる工場のような部分)で作られ、爪床(そうしょう:爪の下の皮膚)に貼りつきながら先端へ伸びていきます。強い力がかかると、爪が爪床から剥がれたり、爪の下に出血して血がたまったりします。
大切なのは、爪母が無事なら、爪はまた生えてくるということです。逆に、爪母や爪床が深く傷つくと、新しい爪がでこぼこになったり、割れたりすることがあります。そのため、けがの直後に傷をきれいに整えておくことに意味があります。
けがの種類と見分け方
| 状態 | 見た目 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 爪の下の内出血(爪下血腫) | 爪の下が赤黒〜黒くなる。ズキズキ痛む | 痛みが強い・範囲が広いときは受診。血を抜くと楽になる |
| 爪が一部浮いた | 先端や横から爪が浮いているが、根元はついている | 元に戻して保護。受診して確認 |
| 爪が根元から剥がれかけた | 根元の皮膚から爪が抜け出ている | 当日中に受診。爪を元の位置に戻して固定することがある |
| 爪が完全に取れた | 爪床がむき出しになっている | 当日中に受診。取れた爪も清潔に包んで持参 |
| 指先の骨折を伴う | 指先が大きく腫れる・変形する・動かすと強く痛む | レントゲンで確認が必要(整形外科と連携) |
その場でする手当て
- 出血を止める: 清潔なガーゼやハンカチで、指先を5〜10分ほどしっかり押さえます。心臓より高く上げると止まりやすくなります
- 水道水で汚れを洗い流す: 土や砂がついていれば、流水でやさしく洗います。消毒液を何度も使う必要はありません
- 剥がれかけた爪は、引き抜かずに元の位置へ: 爪の下の傷を覆って守り、新しい爪が伸びるときのガイドにもなるためです
- 傷にくっつきにくいガーゼで覆う: 普通のガーゼは乾くと傷に貼りつき、はがすときにまた出血します。ワセリンを塗ったガーゼや、傷にくっつきにくいタイプの被覆材が向いています
- 冷やす: タオルで包んだ保冷剤で冷やすと、腫れと痛みが和らぎます
医療機関での治療
医療機関では、局所麻酔(その部分だけの痛み止めの注射)をしてから傷を確認します。
- 爪下血腫: 爪に小さな穴をあけてたまった血を抜くと、圧迫による痛みがすっと引きます
- 爪床の傷: 深い傷は細い糸で縫い合わせ、新しい爪がなめらかに伸びるよう整えます
- 剥がれた爪: 元の爪が使える状態なら、洗って元の位置に戻し、固定します。使えない場合は、人工の保護材で代わりにします
- 骨折が疑われるとき: レントゲンで確認し、必要に応じて整形外科と連携して固定します
傷が汚れている場合や、破傷風の予防接種から長い年月がたっている場合は、予防のための注射を検討します。
受診の目安
- 爪が根元から剥がれかけている、または完全に取れた(当日中に)
- 出血が10分以上押さえても止まらない
- 指先が大きく腫れている、形が変わっている、動かせないほど痛い
- 爪の下の黒い内出血が広く、ズキズキした痛みが強い
- 数日後に、赤み・腫れ・熱っぽさ・膿が出てきた(細菌が入っている可能性があります)
- けがの覚えがないのに、爪の下に黒い色が出て、消えずに広がっている
診察室でよく聞かれる質問
新しい爪が生えそろうまで、どのくらいかかりますか?
爪は根元から少しずつ伸びるので、生えそろうまでには時間がかかり、手の爪で半年ほど、足の爪では1年以上かかるとされています。その間、新しい爪の先がまわりの皮膚に食い込みやすいので、とくに足の親指は、深爪を避けて経過を見てください。
剥がれた爪の下がむき出しで痛いです。どう過ごせばいいですか?
爪床は乾くとひび割れて痛むため、ワセリンを塗ったガーゼや、傷を乾かさない被覆材で覆っておくと楽になります。数週間すると爪床の表面が硬くなり、痛みは落ち着いていきます。足の場合は、先の広いゆったりした靴を選んでください。
お風呂やシャワーは入っていいですか?
出血が止まっていれば、翌日からシャワーで洗い流してかまいません。清潔に保つことが、細菌の感染を防ぐことにつながります。洗ったあとは水気を押さえて取り、新しいガーゼに替えてください。湯船に長く浸かるのは、傷が落ち着くまで控えると安心です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 爪(確認日: 2026-10-04)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-04)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

