「手足口病が治ってしばらくしたら、子どもの爪が根元から取れかけている」「痛がらないけど、このままで大丈夫?」。突然爪がはがれると驚きますが、手足口病の後にはよく知られた経過です。理由と、生え変わるまでの過ごし方を説明します。
爪甲脱落症とは(仕組み)
爪は、根元の皮膚の下にある「爪母(そうぼ)」という場所で毎日少しずつ作られ、先へと伸びていきます。高い熱や強い炎症などで体に大きな負担がかかると、爪母が一時的に爪を作るのを休んでしまうことがあります。
その「休んだ部分」が、爪が伸びるにつれて先へ押し出され、根元側から爪が浮いてはがれるのが爪甲脱落症です。病気そのものが治ってから1〜2か月遅れて起こるのは、休んだ部分が表に見えてくるまでに時間がかかるためです。
- 手足口病: 子どもで最もよく知られた原因です。手足口病の原因になるウイルスの中には、爪の変化を起こしやすいタイプがあります
- その他: 高熱の出る感染症、薬の影響、強いけが、爪の周りの炎症などでも起こります
症状・見分け
はじめは、爪の根元近くに横向きの溝や線(爪の横筋)が現れることが多く、これがだんだん先へ移動し、溝より根元側の新しい爪と、先側の古い爪が分かれていきます。
- 手の爪にも足の爪にも起こる
- 1本だけのことも、何本も同時に起こることもある
- 痛みやかゆみはほとんどない
| 考えられるもの | 爪の様子 | ポイント |
|---|---|---|
| 爪甲脱落症 | 根元側から浮いてはがれる | 1〜2か月前に熱の出る病気があった |
| 爪甲剥離症 | 先の方から爪が浮いて白く見える | 水仕事、カビ(真菌)、乾癬などが原因 |
| 爪の周りの炎症(爪囲炎) | 爪の周りが赤く腫れて痛い | 膿がたまることもある |
| 爪水虫 | 爪が白・黄色く濁り、厚くなる | 大人に多い。ゆっくり進む |
治療・セルフケア
特別な治療は必要ないことがほとんどです。新しい爪が下から順調に生えてきていれば、そのまま見守ります。
- 無理にはがさない: 取れかけの爪を引っぱると、下の皮膚を傷つけて痛みや出血、感染の原因になります。自然に取れるのを待つか、引っかかる先端だけを爪切りで短く切ります
- 引っかけないように保護する: 浮いた爪が服や布団に引っかかる場合は、絆創膏やテープで軽く押さえます。長時間貼りっぱなしにして蒸らさないようにしてください
- 清潔にする: 普段どおり手洗い・入浴をして問題ありません
新しい爪が元どおりになるまでの目安は、手の爪で数か月、足の爪では半年〜1年ほどです。足の爪は伸びるのが遅いので、気長に見守りましょう。
受診の目安
- 爪の周りが赤く腫れる、膿が出る、痛がる
- 何か月たっても新しい爪が生えてこない
- 熱の出る病気など、思い当たるきっかけがない
- 何度も爪がはがれることをくり返す
- 新しい爪の形が明らかに変わっている、色がおかしい
診察室でよく聞かれる質問
爪がはがれるのは、まだ手足口病がうつるということですか?
爪がはがれる時期には、手足口病そのものはすでに治っています。爪の変化だけを理由に登園・登校を控える必要は基本的にありません。ただし、手足口病のウイルスは治った後もしばらく便に出るため、おむつ替えの後などの手洗いは続けてください。
新しい爪はきれいに生えてきますか?
多くは元どおりの爪が生えてきます。生え始めは薄くでこぼこしていることもありますが、伸びるにつれて整っていきます。
大人でも起こりますか?
起こります。大人が手足口病にかかった場合や、高熱の出る病気の後にも見られます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 爪(確認日: 2026-10-08)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-08)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

