「手のひらに小さなプツプツができて、かゆい」「足の裏に膿のような黄色い点がたくさんある」「手のひらに赤いシミのようなものが出てきたけれど、かゆくも痛くもない」。手のひらと足の裏は皮膚の構造が特殊で、ほかの場所とは発疹の出方が違います。原因によって治療がまったく違うため、まずはどれに近いかを整理しましょう。
手のひら・足の裏の発疹の特徴(仕組み)
手のひらと足の裏は、角層(皮膚のいちばん外側の層)が体の中でとびぬけて厚く、毛穴がなく、汗腺がとても多い場所です。そのため、皮膚の中にできた水ぶくれや膿は、厚い角層にふたをされて破れにくく、「皮膚の中に透けて見える粒」として現れます。乾くと茶色っぽくなり、皮がむけて治っていきます。
症状・見分け方
診察室で見ることの多い順に並べています。
| 病気 | 見た目 | かゆみ | 手がかり |
|---|---|---|---|
| 汗疱・異汗性湿疹 | 指の側面や手のひらに、透き通った小さな水ぶくれ。乾くと皮がむける | 強い | 春〜夏、季節の変わり目に繰り返す |
| 水虫(白癬) | 足の指の間の皮むけ、足の裏の小さな水ぶくれ。手は片手だけのことが多い | ある〜ない | 顕微鏡の検査でカビ(真菌)が見つかる |
| 手湿疹 | 指先や手のひらがカサカサ・ひび割れ | ある | 水仕事・消毒が多い |
| 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう) | 手のひら・足の裏に、黄色い膿の粒が繰り返し出る。赤み・皮むけを伴う | ある | 膿の中に菌はなく、うつらない。喫煙・歯や扁桃の病気が関係することがある |
| 手足口病 | 手のひら・足の裏・口の中に、楕円形の小さな水ぶくれ | 軽い | 子どもに多い。熱や口の痛みを伴う |
| 梅毒(第2期) | 手のひら・足の裏に、赤〜赤茶色の斑や、少し皮がむける斑 | ないことが多い | 体にも淡い発疹が出ることがある。数週間〜数か月前に感染の機会 |
| 多形紅斑・薬疹 | 中心が濃い、的のような形の赤い斑 | ある | 風邪薬などを飲んだあと・ヘルペスのあとに出る |
梅毒は近年、国内で報告数が増えている感染症です。手のひら・足の裏に出る発疹は痛みもかゆみもないことが多く、湿疹や水虫だと思って様子を見ているうちに自然に消えることもあります。消えても治ったわけではなく、治療しないと体の中で進行します。血液検査で確かめられ、抗菌薬でしっかり治療できる病気です。
治療・セルフケア
- 汗疱・手湿疹: ステロイド外用薬でかゆみと炎症を抑え、保湿で再発を防ぎます。水ぶくれは自分で潰さないでください。潰すと治りが遅れ、細菌が入りやすくなるためです
- 水虫: 抗真菌薬の塗り薬が基本です。汗疱と見た目が似ているため、検査をせずに水虫の薬を塗ると、汗疱がかぶれて悪化することがあります
- 掌蹠膿疱症: ステロイド外用薬・ビタミンD3外用薬、光線療法、症状が強い場合は飲み薬や注射薬で治療します。喫煙している方は禁煙が治療の一部になります
- 手足口病: ウイルスによる病気で、多くは1週間ほどで自然に治ります。口の痛みで水分がとれないときは早めに受診してください
- 梅毒: 抗菌薬で治療します。パートナーも一緒に検査を受けることが、再感染を防ぐうえで大切です
受診の目安
- 市販の水虫薬・かゆみ止めを2週間ほど使っても良くならない、かえって広がる
- 膿の粒が繰り返し出る
- かゆみも痛みもない赤い斑が、手のひらと足の裏の両方に出た
- 体にも発疹がある、熱やだるさ、リンパ節の腫れがある
- 薬を飲み始めてから出た、唇や目の粘膜にもただれがある(重い薬疹の可能性があるため、当日中に受診してください)
診察室でよく聞かれる質問
受診する前に、市販の水虫薬を塗っておいてもいいですか?
水虫かどうかを調べる顕微鏡の検査は、薬を塗っていると菌が見つかりにくくなり、正しく診断できないことがあります。可能であれば、受診前の数日は塗らずに来てください。塗っていた場合は、薬の名前が分かるものを持ってきてください。
梅毒の検査を受けたいけれど、皮膚科で相談してもいいのでしょうか?
はい。梅毒の発疹は皮膚科で見つかることが多い病気で、相談は珍しいことではありません。心当たりの有無にかかわらず、気になる発疹があれば、そのまま伝えてください。保健所でも匿名で検査を受けられる場合があります。
汗疱は毎年同じ時期に出ます。予防はできますか?
汗をかきやすい時期の前から保湿を続け、出始めたらすぐに塗り薬を使うと、軽く済むことが多いです。手汗が多い方は、汗の治療をあわせて行うと出にくくなることもあります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(みずむし・たむし)(確認日: 2026-10-04)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 汗の病気(確認日: 2026-10-04)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-04)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

