「屋外でライムを搾った飲み物を作ったら、翌日に手の甲が赤く水ぶくれになった」「子どもの腕に、指でなぞったような茶色い線が急に出てきた」。日焼けともかぶれとも少し違う、不思議な形の赤みや色むらは、植物の汁と日光の組み合わせで起こっていることがあります。
光毒性皮膚炎とは(仕組み)
一部の植物には、紫外線を浴びると皮膚に害を与える性質をもつ成分(フロクマリン類)が含まれています。この成分が皮膚に付いたまま日光に当たると、付いた部分だけが強い日焼けのような状態になります。これが光毒性皮膚炎(植物性光線皮膚炎)です。
アレルギーではなく、成分そのものの性質で起こる反応なので、量と日光の条件がそろえば誰にでも起こります。原因になりやすいものは次のとおりです。
- 柑橘類: ライム、レモン、グレープフルーツなど(特に皮の汁)
- セリ科の野菜: セロリ、パセリ、パースニップなど
- イチジク: 葉や枝から出る白い汁
- 香料: ベルガモットなど柑橘の精油を含む香水・アロマオイル
バーベキュー・キャンプ・ビーチでの料理、家庭菜園や収穫作業、日なたでの柑橘の皮むきなどが典型的な場面です。曇りの日や秋でも、屋外で長く過ごせば起こりえます。
症状・見分け方
日光に当たってから半日〜1日ほどで、汁が付いた形どおりに赤み・ヒリヒリ感が出て、強いと水ぶくれになります。汁が垂れた筋、指の跡、手の形など、線状や手形のような不自然な形になるのが最大の手がかりです。かゆみより痛み・ヒリヒリが目立ちます。
赤みが引いたあと、同じ形の茶色い色素沈着が残り、数週間〜数か月かけてゆっくり薄くなります。赤みに気づかず、茶色い線だけが急に出たように見えることもあります。
| 考えられる原因 | 形 | 手がかり |
|---|---|---|
| 光毒性皮膚炎 | 汁が付いた形どおりの線・しずく・手形 | 植物の汁+日光。痛み・ヒリヒリが中心 |
| 日焼け | 服から出ていた範囲全体が均一に赤い | 境目が服のラインと一致する |
| かぶれ(植物・化粧品) | 触れた場所の赤みとブツブツ | かゆみが強い。日光と関係なく出る |
| 光線過敏症(薬など) | 日の当たった範囲全体 | 飲んでいる薬がきっかけのことがある |
治療・セルフケア
症状はやけどに近いので、手当てもやけどと同じ考え方です。
- まず冷やす: 流水や、タオルで包んだ保冷剤でヒリヒリが落ち着くまで冷やします
- ステロイドの塗り薬: 赤みと炎症を早く抑えます。炎症が長引くほど、あとの茶色い跡が濃くなりやすいので、早めに抑えることに意味があります
- 水ぶくれは破らない: 皮膚が天然の絆創膏の役割をしています。大きいものは皮膚科で処置します
- 日に当てない: 治るまで、そして茶色い跡が残っている間は、服や日焼け止めで紫外線を避けます。日に当てると跡が濃く長引きます
茶色い跡は時間とともに薄くなっていくものです。こすったり、強いピーリングをしたりすると、かえって色が残りやすくなります。気になる場合は、色素沈着を薄くする塗り薬を相談してください。
予防のために
- 屋外で柑橘を搾る・皮をむくときは手袋をするか、作業後すぐに石けんで手を洗う
- セロリやイチジクの収穫作業では長袖と手袋を使う
- 柑橘系の香水やアロマオイルは、日に当たる場所に付けない
受診の目安
- 水ぶくれができた、または広い範囲が赤い
- 痛みが強い、冷やしても治まらない
- 子どもの体に、原因の分からない線状の赤みや茶色い跡が出た
- 茶色い跡がなかなか薄くならない
顔や広い範囲に水ぶくれができた場合、熱が出た場合は早めに受診してください。夜間や休日で迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
子どもの腕に茶色い線が出て、病院で事情を聞かれました。
光毒性皮膚炎の跡は、指の形やしずくの形になるため、ぶつけた跡などと区別がつきにくいことがあります。数日前に屋外で柑橘やセロリを扱っていなかったかを思い出しておくと、診断の大きな手がかりになります。
一度なったら、もう柑橘を触れませんか?
アレルギーではないので、汁が付いたまま日に当たらなければ起こりません。触ったあとに手を洗う習慣で十分予防できます。
レモン汁を顔に塗るパックは大丈夫ですか?
おすすめしません。日に当たると、この病気と同じことが顔に起こるおそれがあります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-06)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-06)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

