「頬の赤みがずっと引かない」「日焼けしたあと、顔の赤みがなかなか戻らない」「最近、微熱と関節の痛みもある」。顔の赤みは酒さ(しゅさ)や脂漏性皮膚炎、かぶれなどでも起こり、その方がずっと多いのですが、中には全身の病気のサインとして皮膚に赤みが出ていることがあります。その代表がエリテマトーデスです。
エリテマトーデスとは(仕組み)
エリテマトーデスは、本来は外敵から体を守る免疫が、自分の体を攻撃してしまう自己免疫の病気(膠原病のひとつ)です。大きく分けて2つのタイプがあります。
- 全身性エリテマトーデス(SLE): 皮膚だけでなく、関節・腎臓・血液・神経など全身に症状が出るタイプ。20〜40代の女性に多く、国の指定難病です
- 皮膚エリテマトーデス: 症状が主に皮膚にとどまるタイプ。代表は「円板状エリテマトーデス(DLE)」で、顔・耳・頭皮に円い赤い斑が出ます
どちらも紫外線で悪化しやすいのが共通点です。皮膚に出た症状をきっかけに、全身の病気が見つかることもあります。
症状・見分け方
主な皮膚の症状
- 蝶形紅斑(ちょうけいこうはん): 両頬と鼻すじにまたがる赤み。鼻の両わきから口角へのしわ(ほうれい線)の内側にはかかりにくいのが手がかりです
- 円板状の斑: 顔・耳・頭皮に、ふちが赤く盛り上がり、中心がカサカサした円い斑。治ったあとにへこんだ傷あとや色むらが残りやすく、頭皮では毛が生えなくなることがあります
- しもやけに似た赤紫の斑: 寒い時期に指先や耳に出る
- 日光に当たった場所の赤み: 顔・首・腕など、日の当たった範囲に強く出る
あわせて、発熱・だるさ・関節の痛みや腫れ・口内炎・脱毛・指先が白くなる(レイノー現象)などがある場合は、全身性のタイプを考えます。
| 考えられる原因 | 赤みの特徴 | 手がかり |
|---|---|---|
| 酒さ | 頬・鼻のほてりと赤み、細い血管が見える。ニキビのようなブツブツを伴うことも | 温度差・飲酒・辛い物で悪化する。全身症状はない |
| 脂漏性皮膚炎 | 小鼻のわき・眉間・生え際の赤みと黄色っぽいフケ | ほうれい線の部分にも出る。かゆみがある |
| エリテマトーデス | 両頬と鼻すじの蝶形の赤み、または円い斑 | 日光で悪化。熱・関節痛・口内炎などを伴うことがある |
| かぶれ | 化粧品などが付いた範囲の赤み・かゆみ | 原因を避けると引いていく |
見た目だけで区別がつかないことも多いため、皮膚科では血液検査(自己免疫の病気で上がる抗体などを調べます)や、皮膚を少し取って顕微鏡で調べる皮膚生検で確かめます。
治療・セルフケア
皮膚の症状だけのタイプなのか、全身の症状があるのかで治療が変わります。
- 紫外線対策: すべてのタイプで最も大切です。日焼け止め・帽子・日傘を、曇りの日や冬も含めて続けます。紫外線は皮膚だけでなく全身の症状の悪化のきっかけにもなります
- 塗り薬: ステロイドやタクロリムスの塗り薬で皮膚の炎症を抑えます。円板状の斑は早めに抑えるほど、傷あとが残りにくくなります
- 飲み薬: 皮膚の症状が広い場合や全身の症状がある場合は、免疫の働きを調整する飲み薬を使います。全身性のタイプはリウマチ・膠原病の専門医と連携して治療します
病気の名前を聞くと不安になる方が多いのですが、現在は治療の選択肢が増え、病気と付き合いながら普段どおりの生活を送っている方がたくさんいます。大切なのは、早めに見つけて、紫外線対策と治療を続けることです。
受診の目安
- 頬の赤みが2週間以上続き、日に当たると強くなる
- 顔・耳・頭皮に、円い赤い斑やへこんだ跡ができてきた
- 顔の赤みとあわせて、微熱・だるさ・関節の痛み・口内炎・脱毛がある
- 酒さや湿疹として治療しているのに良くならない
高い熱が続く、息苦しい、むくみがひどいなどの症状があるときは、皮膚科ではなく内科や救急を受診してください。迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
顔が赤いだけで、この病気を疑うべきですか?
いいえ。顔の赤みの多くは酒さ、脂漏性皮膚炎、かぶれなどです。日光で悪化する・全身の症状がある・通常の治療で良くならない、という条件が重なったときに検査を考えます。
化粧で隠してもいいですか?
かまいません。日焼け止め効果のある下地やファンデーションは、紫外線対策としても役立ちます。肌に合わないものでかぶれると赤みの原因が分かりにくくなるので、新しい化粧品は少しずつ試してください。
家族にうつりますか?
うつる病気ではありません。感染ではなく、自分の免疫の働きによって起こる病気です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-06)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-06)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

