乾癬の飲み薬の種類と違い|アプレミラスト・デュークラバシチニブ・メトトレキサートなど、どれが向くか・副作用・検査の目安

乾癬の飲み薬の種類と違い|アプレミラスト・デュークラバシチニブ・メトトレキサートなど、どれが向くか・副作用・検査の目安
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年10月30日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「塗り薬を塗っても広がる一方」「注射は抵抗があるので、まず飲み薬を試したい」。乾癬の診察では、飲み薬についての質問が多くあります。ひと口に飲み薬と言っても、仕組みも副作用もまったく違う薬が並んでいます。日本で乾癬に使われるおもな飲み薬を、診察室で説明している順に整理します。

目次

飲み薬を使う目安

乾癬の治療は、①塗り薬(ステロイド・ビタミンD3)→ ②光線療法 → ③飲み薬や注射薬と段階を踏むのが基本です。飲み薬を考えるのは、おおよそ次のような場合です。

  • 皮疹が体の広い範囲に出ていて、塗り薬を毎日塗るのが現実的でない
  • 塗り薬や光線療法を数か月続けても、十分に改善しない
  • 関節の痛みや腫れ(乾癬性関節炎)を伴う
  • 手のひら・足の裏・頭皮・爪など、生活への影響が大きい場所の皮疹が治りにくい

一方で、皮疹が数か所だけで塗り薬で足りているなら、飲み薬は要りません。飲み薬は全身に効くぶん、副作用の確認のための検査や通院が必要になります。

日本で使われるおもな飲み薬

薬(一般名) 仕組み 特徴 おもな副作用・注意
アプレミラスト 炎症を伝える酵素(PDE4)を抑える 定期的な血液検査が原則不要。効き目は穏やかで、関節症状にも使える 下痢・吐き気・頭痛(飲み始めに多く、数週間で軽くなることが多い)、体重減少
デュークラバシチニブ 炎症の信号(TYK2)を抑える 1日1回。アプレミラストより効き目が強いとされる。比較的新しい薬 感染症(かぜ、口唇ヘルペスなど)、ニキビ様の皮疹。定期的な検査が必要
メトトレキサート 免疫の細胞の増殖を抑える 週1回の服用。関節症状にも効く。以前から世界的に使われている 肝臓・血液(白血球減少)・肺への影響。葉酸を併用する。妊娠中・妊娠を希望する男女は使えない。飲み方の間違い(毎日飲む)は危険
シクロスポリン 免疫の細胞(T細胞)を抑える 効き始めが早い。短期間で区切って使う 腎機能の低下・血圧上昇・感染症。グレープフルーツを避ける
エトレチナート ビタミンA誘導体。皮膚の角化を整える 膿疱性乾癬や、角化の強い皮疹に。光線療法と併用することがある 唇の乾燥・皮むけ、脂質異常、肝機能。催奇形性があり、服用中と中止後の一定期間は避妊が必要(女性は長期間、男性も一定期間)
JAK阻害薬(ウパダシチニブなど) 炎症の信号(JAK)を抑える 日本では乾癬性関節炎に対して承認されている 感染症・帯状疱疹・血液検査の異常。定期的な検査が必要

これらはいずれも日本で承認されている薬ですが、どの薬を使えるかは、皮疹の型(尋常性・膿疱性・関節症性など)や医療機関によって異なります。

どれが向くか(診察室での考え方)

皮疹が中心で、検査の負担を減らしたい方には、アプレミラストがまず候補になります。効き目は穏やかですが、血液検査が原則いらず、飲み始めの胃腸症状を乗り越えれば続けやすい薬です。

アプレミラストでは物足りない、より確実に抑えたい方には、デュークラバシチニブが候補です。1日1回で、注射薬に近い効果を期待できる方もいます。

関節の痛みや腫れが強い方には、メトトレキサートやJAK阻害薬が候補になります。整形外科やリウマチ科と連携して診ることもあります。

急に悪化して早く抑えたい方には、シクロスポリンを短期間使い、その間に別の治療へつなぐ使い方があります。

いずれの薬も、注射薬(生物学的製剤)と比べると効果はやや穏やかなものが多いのが実際です。「飲み薬で足りない」と分かった時点で注射薬へ切り替えるのは珍しいことではなく、段階を踏んだ結果として自然な流れです(関連記事: 乾癬の生物学的製剤)。

飲んでいる間の検査と注意

  • 血液検査: メトトレキサート・シクロスポリン・エトレチナート・JAK阻害薬・デュークラバシチニブでは、肝臓・腎臓・血液・脂質などを定期的に確認します。
  • 感染症: 免疫を抑える薬では、発熱やかぜ症状が長引くときは早めに受診します。帯状疱疹が出やすくなる薬もあります。
  • 妊娠・授乳: メトトレキサートとエトレチナートは、妊娠を希望する時期には使えません。計画がある方は、飲み始める前に伝えてください。
  • 飲み方: メトトレキサートは「週に1回」です。毎日飲んでしまう事故が実際に起きているため、飲む曜日をカレンダーに書いておきます。
  • ワクチン: 生ワクチンは薬によって接種できません。予防接種の前に相談してください。

診察室でよく聞かれる質問

Q. 飲み薬で乾癬は治りますか?

A. 乾癬は体質に関わる病気で、薬で「体質が消える」わけではありません。ただし、飲み薬で皮疹がほとんど見えない状態まで落ち着く方は多く、その状態を保つことが治療の目標です。やめると再び出ることが多いので、減らし方は医師と相談します。

Q. お酒は飲めますか?

A. メトトレキサートやエトレチナートなど肝臓に影響する薬では、飲酒は控えめにします。薬ごとに違うので、処方のときに確認してください。

Q. 費用はどのくらいですか?

A. 薬によって大きく異なり、新しい薬ほど高額になる傾向があります。高額になる場合は高額療養費制度の対象になることがあります。医療機関や保険の種類で変わるため、受診時に確認してください。

受診の目安

  • 塗り薬を数か月続けても、皮疹が広がる・減らない
  • 関節の痛み・腫れ・朝のこわばりが出てきた(乾癬性関節炎の可能性があります)
  • 手足・頭皮・爪の皮疹で、仕事や生活に支障が出ている
  • (服用中)発熱が続く、口内炎がひどい、息切れ、強いだるさ、皮膚や白目が黄色い

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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