「陰部がとにかくかゆい」「下着に小さな血のしみがつく」「毛の根元に、かさぶたのような茶色いものが動かずについている」。毛じらみは、恥ずかしさから相談しにくい病気ですが、正しく治療すれば治せる病気です。清潔にしていてもうつるもので、不潔にしていたから起こるわけではありません。
毛じらみとは(どうやってうつるのか)
毛じらみは、ケジラミという1〜2mmほどの小さな虫が陰毛に住みつき、皮膚から血を吸うことで起こります。ケジラミはカニのような形をしていて、太いつめで毛の根元にしっかりしがみつき、あまり動きません。
メスは毛に卵を産みつけ、卵は毛に固くくっついて、1週間ほどでかえります。ケジラミは人の体を離れると長くは生きられないため、うつるのは主に性行為などで陰部どうしが密着したときです。まれに、タオルや寝具の共用でうつることもあります。
陰毛のほか、わき毛、胸毛、すね毛、ひげなど、太めの毛にも住みつくことがあります。お子さんでは、まつげにつくことがあります。
症状と見分け方
- 強いかゆみ — うつってからしばらくして出てくることが多く、夜に強くなりやすい
- 下着の点状の血・黒茶色の粉 — 血を吸われたあとの出血や、ケジラミのふん
- 毛の根元の茶色い点 — 虫そのもの。かさぶたやほくろと見間違えやすい
- 毛についた白〜灰色の小さな粒 — 卵。指でつまんでも簡単には取れない
- 青っぽいあざのような斑点 — 下腹部や太ももに出ることがある
探すときは、明るい場所で、虫めがねなどを使って毛の根元をよく見てください。ケジラミは動きが少ないので、「動く虫」を探すよりも「毛の根元にくっついている茶色い点」を探すほうが見つけやすいです。
| 考えられるもの | いる場所 | うつり方・特徴 |
|---|---|---|
| 毛じらみ(ケジラミ) | 陰毛(わき毛・ひげ・まつげにも) | 主に性行為などの密着でうつる。大人に多い |
| アタマジラミ | 頭髪 | 頭と頭の接触でうつり、保育園・幼稚園・学校など子どもどうしで広がりやすい。ケジラミとは別の種類で、陰部にはほとんど住まない(関連記事: アタマジラミ) |
| 疥癬(かいせん) | 指の間・手首・わき・陰部など | ダニの一種による感染。虫は目で見えない。陰部に赤いしこりができることがある |
| 湿疹・かぶれ・カンジダ | 陰部の皮膚 | 虫や卵は見つからない(関連記事: 陰部のかゆみ・できもの) |
治し方
治療の基本は、フェノトリンという成分の薬で虫を退治することです。ドラッグストアで買える市販薬では、スミスリンLシャンプータイプ(シャンプー)やスミスリンパウダー(粉)が代表的です。
- くり返し使う — 製品の説明書に従い、3日に1回、3〜4回くり返すのが一般的です。薬は卵には効きにくいため、卵からかえった虫を、また卵を産む前に退治する必要があるからです
- 剃毛(毛を剃る) — 毛ごと虫と卵を取り除けるので、薬と組み合わせると早く確実です。剃らなくても薬だけで治療はできます。剃るときはカミソリ負けに注意してください
- 卵を取る — 剃らない場合は、目の細かいくしで毛をすいて、残った卵をできるだけ取り除く
- 衣類・寝具を洗う — 使った下着・シーツ・タオルは、50〜55℃以上のお湯に10分ほど浸けてから洗濯するか、乾燥機の高温で乾かす。洗えないものは、ビニール袋に入れて口を閉じ、2週間ほど置いておく
パートナーも同時に治療してください。自分だけ治しても、パートナーから再びうつる「ピンポン感染」が起こるためです。症状がなくても、毛の根元を確認してもらいましょう。
また、毛じらみがうつるような機会では、梅毒やクラミジアなど、ほかの性感染症もうつっている可能性があります。気になる症状がなくても、一度検査を受けておくと安心です(関連記事: 梅毒)。
虫がいなくなっても、かゆみはしばらく残ることがあります。かゆみが強いときは、かゆみ止めの塗り薬や飲み薬を使います。治療が終わって1週間ほどたっても、虫や新しい卵が見つからなければ、治ったと考えてよいでしょう。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 市販薬だけで治せますか? | 多くの場合は、市販薬を説明書どおりに使えば治せます | ただし、2週間ほど続けても虫や卵が見つかる、かゆみが強くなる場合は、ほかの病気や使い方の問題も考えて受診してください |
| 剃るだけでは治りませんか? | 剃るだけでは不十分なことがあります | わき毛や太ももの毛など、剃り残した場所に虫が残ることがあるためです。薬と組み合わせてください |
| 家族にうつりますか? | 寝具やタオルの共用で、まれにうつることがあります | 治療中はタオルを分け、寝具を洗ってください。小さなお子さんがいる場合は、まつげに異常がないかも見てあげてください |
| 温泉やプールでうつりますか? | その可能性は低いと考えられています | ケジラミは毛にしがみついて暮らしていて、水の中を移動して人から人へ移ることはほとんどないためです |
受診の目安
- 受診を — 虫や卵なのか、自分では判断がつかない
- 受診を — 市販薬を説明書どおりに使っても、虫や卵が見つかる
- 受診を — まつげに虫や卵がついている(シャンプーやパウダーを目のまわりに使わないでください)
- 受診を — 妊娠中・授乳中の方や、小さなお子さんに症状がある(薬の使い方を相談してください)
- 早めの受診を — 陰部にしこり・ただれ・イボ・痛みなど、かゆみ以外の症状もある(関連記事: 梅毒)
- 早めの受診を — かき壊してじくじくする、黄色いかさぶたや腫れがある
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-24)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-24)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

