アタマジラミは清潔さに関係なく、主に頭と頭の接触でうつります。生きた虫の確認が診断の決め手です。駆除剤を説明書どおりに使い、専用のくしも活用します。家族も確認し、寄生している人は同時に駆除しましょう。
「園から『アタマジラミが出ています』とお知らせが来た」「子どもがしきりに頭をかいている」「白い粒が付いているが、フケなのか卵なのか分からない」
アタマジラミは、保育園・幼稚園・小学校などの集団生活で見られます。不潔だからうつるわけではなく、毎日洗髪していてもうつることがあります。子どもや保護者が引け目を感じる必要はありません。
アタマジラミとはどういう虫か
アタマジラミは、成虫で体長2〜4mmほどの小さな昆虫です。頭皮から吸血し、その際の唾液成分に対する反応でかゆみが出ます。ただし、寄生していてもかゆくない場合があり、初めてうつったときは症状が出るまで数週間かかることもあります。
- 卵:長さ0.5〜1mmほどの楕円形で、毛の根元近くにしっかり付着します。約1週間でふ化します。中身のある卵は褐色〜灰色に見え、ふ化後の抜け殻は白っぽく見えることがあります。
- 確認する場所:特に耳の後ろやうなじを中心に、髪を分けながら頭全体を確認します。
- うつり方:頭と頭、髪と髪が直接触れることが主な経路です。頻度は低いものの、帽子・タオル・枕・くしなどの共有でもうつることがあります。
- 虫の特徴:跳んだり飛んだりせず、髪を伝って移動します。犬や猫からうつることはありません。
フケ・ほかの原因との見分け
毛に固着した粒は卵を疑う手がかりですが、それだけで現在もシラミがいるとは限りません。駆除後も死んだ卵や抜け殻が髪に残るためです。
診断の決め手は、生きて動く幼虫や成虫を見つけることです。明るい場所で、目の細かい専用のくしを使って髪を少量ずつとかし、白いティッシュなどに付着物をぬぐって確認します。判断が難しければ皮膚科へご相談ください。
駆除の手順
駆除剤を正しく使い、専用のくしで虫や卵を取り除きながら、周囲から再びうつることを防ぎます。薬剤が使いにくい場合には、くしによる除去を繰り返す方法もあります。
駆除剤は製品ごとの使い方を守る
フェノトリンを含む駆除用シャンプーなどが薬局・ドラッグストアで購入できます。シャンプータイプでは、一般に3日に1回、合計3〜4回繰り返して使用します。卵への効果が乏しいため、後からふ化する幼虫も駆除する必要があり、1回で終わらせないことが大切です。
フェノトリンが効きにくいアタマジラミもいます。説明書どおりに使っても生きた虫が残る場合は、使用量や回数を増やさず、医師や薬剤師に相談してください。ジメチコンを含むローションなど、別の仕組みで作用する駆除剤も選択肢になります。
髪を濡らして使う製品と、乾いた髪に使う製品があり、使用間隔や回数も異なります。必ず購入した製品の説明書を確認してください。頭皮に湿疹・ただれがある場合は、使用前に相談しましょう。
専用のくしで虫や卵を取り除く
髪を少量ずつに分け、専用のくしで根元から丁寧にとかします。くしに付いた虫や卵をその都度取り除き、駆除期間中は繰り返し確認します。
濡れた髪にコンディショナーを付けるととかしやすくなりますが、駆除剤を使う直前には避け、薬剤使用前後の洗髪やリンスについては製品の説明書に従ってください。
駆除後に抜け殻が残っていても、それだけを理由に薬剤を使い続ける必要はありません。
髪を切る必要は必ずしもない
短い髪のほうが確認やくしでの処理はしやすくなりますが、駆除のために髪を切ったり、丸刈りにしたりする必要はありません。本人の気持ちを尊重して構いません。
寝具・衣類・タオルを手入れする
最近使った枕カバー・シーツ・タオル・帽子などを洗濯します。素材が対応していれば、60℃程度のお湯に5分以上浸してから洗う、高温の乾燥機を使うなどの方法が有効です。熱湯によるやけどや、生地の傷みに注意してください。
アタマジラミは頭から離れると長く生きられません。家中を消毒したり、殺虫剤をまいたりする必要はなく、普段の掃除と頭に触れた物の手入れが基本です。
家族全員を確認し、必要な人を同時に駆除する
家族の頭も確認し、寄生している人は同じ時期に駆除を始めます。家族だからという理由だけで、全員が一律に駆除剤を使う必要はありません。ただし、同じ寝具で寝ている人は見落としやすいため、特に丁寧に確認し、対応に迷う場合は相談してください。
駆除中は、頭や髪が直接触れ合うことを避け、帽子・タオル・枕・くし・ヘアゴムを共用しないようにします。
家庭用の殺虫スプレー、灯油、アルコールなどを頭に使うことは危険です。アタマジラミ用の製品を、決められた方法で使用してください。
登園・登校について
アタマジラミは、通常、出席停止の必要はありません。適切な駆除を始め、周囲に広げないように対応しながら登園・登校できます。園や学校に連絡し、対応方針を確認してください。
卵や抜け殻がすべてなくなるまで休まなければならない、というわけではありません。
園や学校への連絡は、周囲の子どもにも確認を促し、うつし合いを防ぐために役立ちます。清潔さの問題ではないことを、子ども本人にも伝えてあげてください。
受診の目安
- 駆除剤を説明書どおりに使っても、生きた虫が見つかる
- かき壊してジュクジュクしている、黄色いかさぶたができた
- 首のリンパ節が腫れている、発熱がある
- 頭皮に脱毛斑や切れ毛、厚いフケの塊がある
- 乳児や頭皮に湿疹のある子どもで、駆除剤を使ってよいか判断できない
- 駆除剤を使った後に赤みやかゆみが強くなった、かぶれた
- 卵なのかフケなのか、自分では判断できない
受診の際は、使った製品名と使用した日、回数を伝えると、次の対応を考える助けになります。
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しており、開業後は頭皮のかゆみ・かき壊しの診察に対応する予定です。
よくある質問
Q. 駆除した後もかゆいのですが、まだシラミがいるのでしょうか?
かゆみだけでは判断できません。虫がいなくなっても、刺されたことによる炎症や、かき壊し、駆除剤による刺激が残っている場合があります。
決められた駆除の予定は守りつつ、「まだかゆいから」と薬剤を追加しないでください。生きた虫が残っているかを確認し、かゆみが強い場合や赤み・ただれがある場合は受診しましょう。
Q. プールの水からうつりますか?塩素で駆除できますか?
プールの水を介してうつる可能性は低いと考えられています。一方、プールの塩素でアタマジラミを駆除することもできません。
注意したいのは、水そのものより、タオルやくしの共有、頭や髪が触れ合うことです。参加については駆除を進めたうえで、園・学校・施設の方針を確認してください。
Q. 園で流行しているので、予防のために駆除剤を使ってもよいですか?
寄生が確認されていないのに、予防目的で繰り返し使うことは勧めません。駆除剤は、これからうつることを防ぐための薬ではありません。
流行のお知らせが来たら、耳の後ろやうなじを中心に髪を確認し、頭同士の接触や、帽子・タオル・くしの共有を避けましょう。
Q. いつ、誰からうつったのか分かりますか?
特定するのは困難です。初めてうつった場合、かゆみが出るまで数週間かかることがあり、本人も周囲も気づかないまま過ごしていることがあります。
最初に見つかった子が、最初にうつった子とは限りません。感染源を探して誰かを責めるより、周囲も確認して、必要な人が同じ時期に駆除を進めることが大切です。
関連ページ
参考情報
- CDC「About Head Lice」
- CDC「Treatment of Head Lice」
- KINCHO「スミスリンL シャンプータイプ」「シラミ駆除剤 製品Q&A」
- アース製薬「アース シラミとりローション」
- 東大阪市「アタマジラミを見つけたら」
- 船橋市「アタマジラミ」
- American Academy of Pediatrics「Treating head lice: Pyrethroids still first-line therapy if pediculicide required」
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

