「保湿しても肌の乾燥とかゆみがおさまらない」「顔やうでに、輪っかのような赤みが出ては消える」「最近、目が乾いてゴロゴロし、口も乾く」。シェーグレン症候群は、涙や唾液を作る腺に炎症が起こる病気で、中年以降の女性に多いことが知られています。皮膚にも症状が出ることがあり、皮膚科が診断の入り口になることもあります。どんな皮膚症状が出るのか、何科を受診すればよいかを説明します。
シェーグレン症候群とは(仕組み)
シェーグレン症候群は、免疫が自分の体を攻撃してしまう病気(自己免疫疾患・膠原病の仲間)のひとつです。おもに涙腺や唾液腺が攻撃されて、目や口が乾くのが特徴です。単独で起こることもあれば、関節リウマチなど別の膠原病に合併することもあります。
免疫の乱れは皮膚の汗や皮脂の分泌、皮膚の血管にも影響するため、皮膚の乾燥、輪っか状の赤み、紫斑といった症状が出ることがあります。
皮膚に出やすい症状
| 症状 | 特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 皮膚の乾燥・かゆみ | 全身がカサカサし、かゆい。保湿だけでは改善しにくい | もっとも多い。ふつうの乾燥肌と見た目では区別しにくい |
| 環状紅斑 | 顔・首・うでなどに、縁が少し盛り上がった輪っか状の赤み。数週間で消えて、また出ることを繰り返す | 日光に当たる場所に出やすい。水虫(白癬)の輪と違い、皮がむけることは少ない |
| 紫斑 | すねや足首に、赤紫の小さな点々。少し盛り上がっていることも | 長く立った後に出やすい。血管の炎症のことがあり、検査が必要 |
| レイノー現象 | 寒さで指先が白→紫→赤と色が変わる | ほかの膠原病でも見られる |
| 唇・口角の荒れ | 口の乾きから唇が切れる、口角が荒れる | 唾液が減るため、口の中のカンジダも起きやすくなる |
輪っか状の赤みは、見た目から水虫や湿疹と間違われることがあります。水虫の薬やかゆみ止めを塗っても変わらない輪っか状の赤みは、皮膚科で一度診てもらう価値があります。
診断の流れ
シェーグレン症候群の診断には、皮膚の診察だけでなく、次のような検査を組み合わせます。
- 血液検査:病気に特徴的な自己抗体(抗SS-A抗体・抗SS-B抗体など)を調べます
- 目の検査:涙の量や、目の表面の傷を眼科で調べます
- 口の検査:唾液の量を測る検査や、唇の内側の小さな組織を調べる検査を行うことがあります
- 皮膚の検査:輪っか状の赤みや紫斑の正体を確かめるために、皮膚の一部を取って調べること(皮膚生検)があります
全身の評価や治療方針は膠原病・リウマチ科が中心となり、皮膚・目・口はそれぞれの科が連携して診ていきます。
治療とセルフケア
皮膚の乾燥とかゆみには、保湿剤をたっぷり、1日2回を基本に塗ることが土台です。かゆみが強いときや湿疹になっているときは、ステロイドの塗り薬を使います。輪っか状の赤みにもステロイドの塗り薬が使われ、日光で悪化しやすいため日焼け止めも組み合わせます。紫斑や血管の炎症が強い場合は、全身の治療を膠原病の主治医と相談します。
- 入浴はぬるめのお湯で短めに。熱いお湯は皮脂を落とし、かゆみを強めます
- 洗浄料は泡でやさしく。ナイロンタオルでこするのは避けます
- 部屋の加湿を心がけ、エアコンの風に直接当たらないようにします
- 日焼け対策。輪っか状の赤みは日光で出やすくなります
- こまめな水分補給と、唇の保湿。口の乾きによる唇の荒れを防ぎます
目の乾きについては、日本眼科医会の一般向け情報も参考になります。
よくある質問
Q. 乾燥肌がひどいだけでも、シェーグレン症候群を疑うべきですか?
A. 乾燥肌の多くは、季節や洗いすぎ、加齢によるものです。目や口の乾き、関節の痛み、輪っか状の赤みや紫斑など、ほかの症状が重なるときに疑います。保湿を続けても改善しない場合は、ほかの症状も含めて伝えてください。
Q. 皮膚の症状は治りますか?
A. 乾燥やかゆみ、輪っか状の赤みは、保湿や塗り薬で多くは落ち着きます。ただし病気そのものは長く付き合うことが多いため、出たら早めに抑える、という考え方で管理していきます。
受診の目安
- 保湿を続けても全身の乾燥とかゆみが治まらない
- 顔やうでに、出たり消えたりする輪っか状の赤みがある
- すねや足首に、赤紫の点々が出る
- 目の乾き・口の乾きが数か月以上続いている
紫斑とともに発熱、関節の強い痛み、むくみ、息切れなどがある場合は、早めに医療機関を受診してください。夜間や休日で迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-31)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-31)
- 日本眼科医会 目の健康情報(確認日: 2026-10-31)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

