部活動やクラブでのご相談は、季節ごとにはっきりした傾向があります。夏はあせもと日焼けと水いぼ、冬は乾燥とひび割れ、通年でマメと靴ずれ、そして柔道・レスリング・相撲・ラグビーといった接触競技では、皮膚の感染症。それぞれ対処がまったく違います。
摩擦によるトラブル — 道具で防げる
もっとも多いのがこれです。皮膚の同じ場所に繰り返し力が加わると、表皮の層の途中が横に裂けて、そこに水がたまります。これがマメ(水疱)です。
- マメ・靴ずれ — できたら皮は破らずに残してください。皮は天然の被覆材として働き、破ると痛みも感染の危険も増えるためです。張りが強くて痛い場合だけ、清潔な状態で医療機関で水を抜きます
- タコ・胼胝 — 繰り返す部位が硬く厚くなったもの。削るだけでは戻ります。当たっている原因(靴・グリップ・フォーム)を変えないと止まりません(関連記事: 魚の目とタコ)
- 擦り傷 — 人工芝や畳で擦った傷は、まず流水で砂やゴムを完全に落とすこと。異物が残ると治りが遅れ、色が残ります(関連記事: すり傷・切り傷の手当て)
- ジョガーズニップル・股ずれ — 長距離で衣類が擦れて出血することがあります。ワセリンやテープで摩擦を減らします
- 爪下血腫 — 下り坂やストップ動作で爪先が靴に当たり続けると、爪の下に血がたまります。靴のサイズを見直さないと繰り返します(関連記事: 爪が黒くなった)
人からうつるトラブル — 休む判断が要る
| 病気 | 見た目 | 多い競技 | 練習の考え方 |
|---|---|---|---|
| 単純ヘルペス | 小さな水ぶくれが群がる。ピリピリした痛み | 柔道・レスリング・相撲 | 接触は避ける。治療を始めて、かさぶたになるまで |
| とびひ(伝染性膿痂疹) | じくじく、黄色いかさぶた。かきむしって広がる | すべて(特に小中学生) | 患部を覆えない間は接触競技を控える(関連記事: とびひ) |
| 白癬(トンズランス感染症を含む) | 頭の脱毛とフケ、体の輪状の赤み | 柔道・レスリング | 治療開始まで接触を避ける。症状がなくても保菌していることがある |
| 足白癬(水虫) | 指の間のふやけ、皮むけ、かゆみ | 全競技(共用の床・シューズ) | 休む必要はないが治療は必要(関連記事: 水虫) |
| 水いぼ | 中心がへこんだ光る小さな粒 | 水泳 | 覆えば参加可。タオル・ビート板の共用は避ける |
| いぼ(尋常性疣贅) | ざらざらした硬い盛り上がり | 体操・水泳(足の裏) | 参加可。治療は時間がかかる |
接触競技で特に注意が必要なのがヘルペスと白癬です。どちらも「1人から一気に広がる」タイプで、道場や部室の畳・マットを介して伝わります。症状が出たら、本人が言い出しにくくても、指導者が把握できる形にしておくことが結局いちばん早く収まります。
なお、学校での出席の扱いは病気ごとに決まりがあります(関連記事: 皮膚の病気と学校・園を休む基準)。部活の参加可否は、出席停止の基準とは別に、競技団体の規定がある場合があります。
汗と日焼け — 見落とされやすい2つ
あせもは、汗が皮膚の中に閉じ込められて起こります。練習の合間に汗を拭き、可能なら着替える。ウェアを乾いたものに替えるだけで、翌日の発疹の数が変わります。
日焼けは、屋外競技では避けられません。日焼け止めは「塗る量が足りていない」ことがほとんどで、汗で流れるため2〜3時間ごとの塗り直しが要ります。帽子や長袖のウェアのほうが確実です(関連記事: 日焼け止めの選び方)。子どもの時期の日焼けは、大人になってからの皮膚に影響することが知られています。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| マメは潰したほうが早く治る? | 潰さないでください | 皮膚のふたが残っているほうが痛みが少なく、細菌も入りにくいためです。破れてしまったら流水で洗い、被覆材で保護します |
| 試合前で休めません | 接触競技で感染症があるときは、覆っても不十分なことがあります | マットや相手の皮膚を介して広がるためで、治療を早く始めるほど復帰も早くなります |
| テーピングでかぶれます | 下巻きを使い、剥がすときはゆっくり皮膚を押さえて | 粘着剤によるかぶれと、剥がす摩擦の両方が原因になりうるためです |
| 共用の用具から水虫はうつる? | うつることがあります | 床やマットに落ちた菌を踏むためです。ただしその日のうちに足を洗えば、多くは定着しません(関連記事: 水虫の予防) |
| 汗のにおいが気になります | 練習後すぐ洗い、靴を毎日替えてください | においの多くは汗そのものではなく、汗を分解する菌によるものだからです(関連記事: 足のにおい) |
受診の目安
- 受診を — 小さな水ぶくれが群がってでき、痛みやピリピリ感がある(接触競技では特に早く)
- 受診を — じくじくして黄色いかさぶたが広がってきた
- 受診を — 頭に脱毛した部分とフケのような鱗屑ができた(柔道・レスリングでは白癬を疑います)
- 受診を — マメが破れて赤く腫れ、痛みが増している
- すぐに受診を — 傷の周囲が赤く広がり、熱と痛みが強くなっている(関連記事: 蜂窩織炎)。夜間・休日で迷うときは救急相談の電話窓口(#7119)も利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「白癬」(確認日: 2026-09-20)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「とびひ」(確認日: 2026-09-20)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

