「装具を貼っているところが赤くかゆい」「ストーマのきわがただれて、装具がうまく貼れない」「交換のたびにヒリヒリする」。ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のまわりの皮膚は、装具の粘着面に長く覆われ、ときに排泄物にも触れるため、トラブルが起こりやすい場所です。皮膚の状態が悪くなると装具が貼りにくくなり、漏れが起きてさらに悪化する、という悪循環に入りやすいのも特徴です。
ストーマ周囲の皮膚トラブルとは(仕組み)
ストーマのまわりの皮膚には、主に次のような負担がかかります。
- 排泄物による刺激: 便や尿が皮膚に触れると、皮膚がふやけて傷みます。小腸のストーマ(回腸ストーマ)の便は、消化を助ける成分を多く含むため、とくに皮膚を傷めやすいとされています
- はがすときの刺激: 装具を交換するたびに、皮膚のいちばん外側の角質が少しずつはがれ、バリア(外からの刺激を防ぐ働き)が弱まります
- 蒸れ: 装具の下は汗が逃げにくく、カビや細菌が増えやすい環境になります
- 素材へのアレルギー: 装具の粘着剤や、皮膚保護剤・はがし剤などにかぶれることがあります
症状・見分け方
原因によって、赤みやただれの形と場所が変わります。
| 原因 | 出る場所・見た目 | 手がかり |
|---|---|---|
| 排泄物の付着 | ストーマのすぐきわ、漏れた方向にただれ・赤み | 装具の穴が大きすぎる、しわや凹みから漏れている |
| はがす刺激 | 装具を貼っていた範囲全体の赤み・ヒリヒリ | 交換の回数が多い、勢いよくはがしている |
| カビ(カンジダ) | 赤みの外側に小さな赤いブツブツが点々と散らばる | かゆみが強い。蒸れやすい季節に悪化 |
| 毛の根元の細菌感染(毛包炎) | 毛穴に一致した赤いブツブツ・膿 | 毛を抜いたりカミソリでそったりしている |
| 素材へのかぶれ | 装具や保護剤の形どおりにくっきり赤い | 新しい製品に替えてから出た |
カビによるものに、かぶれ用のステロイドだけを塗ると悪化することがあります。皮膚科では、皮膚の表面をこすり取って顕微鏡で見る検査で、カビの有無を確かめます。
治療・セルフケア
対処の基本は、原因を取り除くことです。
- 漏れを防ぐ: 装具の穴の大きさは、ストーマの大きさに合わせて数mm大きい程度に調整します。手術後しばらくや体重の変化でストーマの大きさは変わるため、定期的に測り直します。お腹のしわやくぼみには、練状や板状の皮膚保護剤で段差を埋めます
- やさしくはがす: 皮膚を押さえながら、ゆっくり上から下へはがします。はがし剤を使うと刺激を減らせます
- 洗い方: 泡立てた石けんで押さえるように洗い、ぬるま湯で十分に流してから、水分をよく拭き取って装具を貼ります。石けんや水分が残ると、粘着が弱まり、かぶれの原因にもなるためです
- 毛の処理: 毛が多い場合は、抜かずに電気シェーバーやハサミで短くします。抜くと毛包炎を起こしやすくなります
炎症が強い場合は塗り薬を使いますが、軟膏やクリームは装具の粘着を弱めるため、ローションタイプを選ぶ、塗ったあとに拭き取ってから貼るなど、装具と両立する使い方を指示します。カビには抗真菌薬を使います。
受診の目安
- 赤み・ただれが1週間以上続く、広がっている
- ただれのせいで装具が貼れない、漏れを繰り返す
- 強いかゆみや痛みがある
- 膿が出る、熱をもって腫れている
- ストーマの色が黒っぽい・紫色になった、ストーマが急に引っ込んだ・飛び出した(これは皮膚ではなくストーマそのものの変化なので、手術を受けた医療機関に早めに連絡してください)
多くの病院には、皮膚・排泄ケア認定看護師などが担当する「ストーマ外来」があります。装具の選び方や貼り方の相談はストーマ外来、皮膚の病気の診断や治療は皮膚科と、両方を上手に使ってください。
診察室でよく聞かれる質問
かゆいとき、市販のかゆみ止めを塗ってもいいですか?
市販のかゆみ止めはクリームや軟膏が多く、装具の粘着を弱めて漏れの原因になります。また、カビが原因の場合はステロイド入りの薬で悪化することがあります。まずは原因を確かめてから、装具と両立する薬を使ってください。
装具の交換はどのくらいの間隔がよいですか?
製品や便の性状によって違いますが、短すぎるとはがす刺激が増え、長すぎると粘着がゆるんで漏れやすくなります。交換したときに、装具の裏の皮膚保護剤が溶けたりふやけたりしている範囲を見ると、ちょうどよい間隔の目安になります。ストーマ外来で一緒に確認してもらうと安心です。
お風呂は装具を外して入ってもいいですか?
多くの場合、装具を外して入浴しても問題ありません。お湯がストーマから体内に入ることはないとされています。装具交換の日に入浴し、皮膚を洗ってから新しい装具を貼ると、皮膚を清潔に保ちやすくなります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-05)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

