「子どもの顔に赤いポツッとしたできものが出て、どんどん大きくなっている」「真っ黒なほくろが急にできた」。子どもに急にできて大きくなるできものは、保護者の方にとって心配なものです。その中に、スピッツ母斑と呼ばれる、少し特別なほくろがあります。
スピッツ母斑とは(仕組み)
スピッツ母斑は、ほくろのもとになる細胞(母斑細胞)が集まってできる良性のできものです。ふつうのほくろとは細胞の形が少し違い、紡錘形(細長い形)や大きな類上皮(丸く大きな形)の細胞が集まっているのが特徴です。
子どもから若い人に多く、顔・首・手足によくできます。数か月のうちに急に大きくなり、その後は大きさが止まるという経過をとることが多いとされています。色は2つのタイプに分かれます。
- 赤〜ピンク色のタイプ: ドーム状に盛り上がり、表面がつるっとしている。血管腫やイボと間違われやすい
- 黒〜濃い茶色のタイプ: 平らかやや盛り上がり、真っ黒に見える。太ももや腕に多い
症状・見分け方
スピッツ母斑は、痛みやかゆみはふつうありません。急に大きくなるという点が、メラノーマ(悪性黒色腫)と似ているため、見分けが大切になります。
| 考えられるもの | よく見られる年齢 | 見た目・経過 |
|---|---|---|
| スピッツ母斑 | 子ども〜若い人 | 赤いドーム状、または真っ黒。数か月で大きくなり、その後止まる |
| ふつうのほくろ | どの年齢でも | ゆっくり大きくなる、または変わらない。茶色〜黒 |
| 化膿性肉芽腫 | 子ども〜大人 | 赤く、少しの刺激で出血しやすい。数週間で急に大きくなる |
| メラノーマ | 主に大人(子どもではまれ) | 形がいびつ、色むらがある、境目がにじむ、大きくなり続ける |
皮膚科では、ダーモスコピーという光を当てて拡大する器具で、色素の並び方や血管の模様を観察します。スピッツ母斑には、外側に向かって放射状に色素が広がる模様など、特徴的な見え方があることが知られています。ただし、見た目だけではメラノーマと区別しきれない場合もあり、その場合は切除して顕微鏡で調べる検査(病理検査)で確かめます。
治療・経過の見方
治療が必要かどうかは、年齢と見た目で考えます。
- 子どもで、典型的な見た目の場合: 良性であることがほとんどのため、写真を撮って定期的に経過を見ることもあります
- 見た目が典型的でない場合、大きくなり続ける場合: 切除して病理検査で確かめることを勧めます
- 大人(とくに思春期以降)にできた場合: メラノーマとの区別が難しくなるため、切除して調べるのが一般的です
切除は局所麻酔で、できものを周りの皮膚ごと紡錘形に切り取り、縫い合わせる方法が一般的です。小さな子どもで局所麻酔の処置が難しい場合は、成長を待つか、全身麻酔に対応できる医療機関を紹介することもあります。
受診の目安
- 子どもに、数か月で目に見えて大きくなるほくろ・赤いできものがある
- 大人になってから急にできたほくろ
- 色むらがある、形がいびつ、境目がにじんでいる
- 出血する、ジクジクする、崩れてきた
- 大きさが6mmを超えてきた
急に大きくなるできものは、スピッツ母斑に限らず、一度は皮膚科で確かめてもらうと安心です。
診察室でよく聞かれる質問
受診までにやっておくとよいことはありますか?
定規を横に置いて、同じ角度・同じ明るさで写真を撮っておいてください。「どのくらいの期間で、どのくらい大きくなったか」は診断の大切な手がかりです。保護者の記憶よりも、写真のほうが正確に変化を伝えられます。
スピッツ母斑は放っておくとがんになりますか?
スピッツ母斑そのものは良性です。ただし、見た目が似ていて区別が難しいものがあるため、「がんにならないかどうか」よりも「本当にスピッツ母斑か」を確かめることが大切です。診断がつけば、その後の方針を具体的に決められます。
切除したら傷あとは残りますか?
切って縫う手術なので、線状の傷あとは残ります。皮膚のしわの向きに合わせて切ることで、時間とともに目立ちにくくなるよう工夫します。顔など目立つ場所では、傷あとの見え方も含めて相談しながら方法を決めます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ホクロ(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A メラノーマ(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-05)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

