「子どもの湿疹がひどいけれど、予防接種を受けてもいい?」「アトピーの注射薬を使っているが、ワクチンは大丈夫?」。皮膚の病気があると、ワクチンを控えたほうがいいのではと迷う方は少なくありません。ここでは、皮膚科でよく聞かれる疑問を整理します。
皮膚の病気と予防接種の関係(仕組み)
アトピー性皮膚炎や湿疹は、皮膚のバリア(外からの刺激を防ぐ働き)が弱く、炎症が起こりやすい状態です。ワクチンの効き目や安全性が、この病気があることで大きく変わるわけではありません。そのため、皮膚の病気があること自体は、予防接種を控える理由にはなりません。
注意が必要になるのは、主に次の3つの場面です。
- 接種する場所の皮膚が荒れている: 傷やじゅくじゅくした部分から注射すると、細菌が入りやすく、接種後の腫れとの区別もつきにくくなります
- 当日に発熱や急なじんましんがある: 体調が整っていない日は、接種を延期するのが一般的です
- 免疫を抑える治療中に、生ワクチンを受ける: 生ワクチンは弱めたウイルスや細菌を使うため、免疫の働きが抑えられていると、ワクチンによる感染が起こるおそれがあります
状態別の目安(見分け)
| 状態・使っている薬 | 予防接種の考え方 |
|---|---|
| アトピー性皮膚炎・湿疹(症状が落ち着いている〜中くらい) | 受けられる。湿疹のない場所を選んで接種 |
| ステロイドやその他の塗り薬を使用中 | 続けたまま受けられる。接種する場所には、接種の直前に塗らない |
| 抗ヒスタミン薬(かゆみ止めの飲み薬)を服用中 | 続けたまま受けられる |
| 慢性じんましん(薬で落ち着いている) | 受けられる。当日にじんましんが強く出ていれば延期を検討 |
| 湿疹がひどく、全身がじゅくじゅくしている | 先に皮膚の治療で落ち着かせてから接種することがある |
| ステロイドの飲み薬・免疫抑制薬・生物学的製剤・JAK阻害薬などを使用中 | 不活化ワクチンは受けられることが多い。生ワクチンは原則として避けるため、必ず主治医に相談 |
生ワクチンには、麻しん風しん(MR)、水ぼうそう、おたふくかぜ、BCG、ロタウイルスなどがあります。インフルエンザや新型コロナ、帯状疱疹の不活化ワクチン(シングリックス)などは生ワクチンではありません(関連記事: 帯状疱疹ワクチン)。
接種前後のセルフケア
接種前
- 保湿と塗り薬を続けて、皮膚を整えておく: 接種できる場所を確保するためにも、ふだんの治療を続けることが大切です
- 当日は、接種する場所に塗り薬や保湿剤を塗らない: 消毒の妨げにならないようにするためです。ほかの場所はふだんどおり塗ってかまいません
- 問診票に、皮膚の病気と使っている薬を書く: とくに飲み薬や注射の治療をしている場合は、薬の名前まで書いてください
接種後
接種した場所が赤く腫れる・かゆくなるのは、多くは数日で引く一般的な反応です。かゆみが強いときは、冷やすと楽になります。入浴はふだんどおりでかまいませんが、接種した場所を強くこすらないでください(関連記事: 予防接種のあとに出る発疹)。
受診・相談の目安
- 湿疹がひどく、接種できる場所があるか不安(接種の前に皮膚科で整えておくと安心です)
- 免疫を抑える飲み薬や注射の治療をしていて、生ワクチンの予定がある(治療の主治医に必ず相談を)
- 過去の予防接種で、全身のじんましんや息苦しさが出たことがある(接種する医師に事前に伝えてください)
- 接種後30分〜数時間以内に、全身のじんましん、息苦しさ、唇やまぶたの腫れ、ぐったりする: すぐに救急車(119)を呼んでください。迷うときは救急安心センター(#7119)、子どもなら子ども医療電話相談(#8000)へ
診察室でよく聞かれる質問
卵アレルギーがありますが、インフルエンザワクチンは受けられますか?
インフルエンザワクチンには卵の成分がごく微量含まれますが、卵アレルギーがあっても多くの方が接種できるとされています。ただし、卵で強いアレルギー症状(アナフィラキシー)を起こしたことがある場合は、接種する医師に事前に相談してください。
アトピーの注射薬(生物学的製剤)を使っています。インフルエンザのワクチンは打てますか?
インフルエンザワクチンは生ワクチンではないため、多くの場合は治療を続けながら接種できます。生ワクチンについては原則避けることになるので、予定がある場合は治療の主治医に相談してから日程を決めてください。
湿疹がある子どもの場合、どこに打ってもらえばいいですか?
湿疹のない、皮膚のきれいな場所を選んでもらいます。腕の湿疹がひどい場合は、接種する医師に伝えて場所を相談してください。接種の1〜2週間前から塗り薬と保湿でしっかり整えておくと、接種できる場所を確保しやすくなります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎(確認日: 2026-10-14)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-14)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

