帯状疱疹は体のどこにでも出ますが、顔に出たときだけは扱いが違います。顔の感覚を担う神経(三叉神経)や、耳・顔の動きに関わる神経の近くを通るため、皮膚の症状だけで終わらないことがあるからです。ここでは「急ぐサイン」を具体的に整理します。
顔の帯状疱疹で何が起きるのか
帯状疱疹は、神経の節に潜んでいたウイルスが再び動き出し、その神経が担当している範囲の皮膚に沿って症状を出す病気です。顔の場合、担当する神経ごとに出る場所と合併症が変わります。
| 出る場所 | 関わる神経 | 注意すべき合併症 |
|---|---|---|
| おでこ・上まぶた・頭の片側 | 三叉神経の第1枝 | 目の合併症(角膜炎・ぶどう膜炎など) |
| 鼻の先・鼻のわき | 同上(鼻毛様体神経の枝) | 目に及ぶ可能性が高いサインとして知られる |
| 下まぶた・頬・鼻の横 | 三叉神経の第2枝 | 皮膚症状が中心 |
| あご・下唇・耳の前 | 三叉神経の第3枝 | 口の中に水ぶくれが出ることがある |
| 耳の中・耳のまわり | 顔面神経・内耳神経 | 顔の片側が動かしにくい、めまい、難聴、耳鳴り |
この表のうち、太字の3つが「急ぐ」対象です。鼻の先に水ぶくれが出ているときは目に及ぶ可能性が高いことが古くから知られており、皮膚科では眼科への受診をあわせて案内します。また、耳の症状と顔の動かしにくさが重なる場合は、顔面神経の麻痺を伴う型を考えます。
気づき方: 皮膚に出る前から始まっている
顔の帯状疱疹も、いきなり水ぶくれが出るわけではありません。多くは痛みや違和感が先に来ます。
- 片側だけの、ぴりぴり・ずきずきする痛み — 頭痛、歯の痛み、目の奥の痛みと感じることもあります
- 皮膚を触ると過敏に痛い — 髪をとかす、洗顔する、眼鏡が当たるだけで痛い
- 数日後に片側だけに赤みが出て、小さな水ぶくれが集まって現れる
- 正中(顔の真ん中の線)を越えない — 左右どちらか片側にとどまるのが特徴です
「歯が痛いと思って歯科に行った」「片頭痛だと思っていた」という経過は珍しくありません。片側だけの痛みが数日続き、そのあと皮疹が出てきたら、帯状疱疹を考えてよいと覚えておいてください(関連記事: 帯状疱疹の初期症状)。
治療: 抗ウイルス薬は早いほど有利
治療の柱は抗ウイルス薬の内服です。ウイルスが増えている時期に叩くことが目的なので、始めるのが早いほど、皮膚症状の治りも、そのあとに残る痛みの程度も有利になります。顔の場合はこれに加えて、
- 目の評価 — 目のまわりや鼻に症状があるときは、眼科での診察をあわせて行います。角膜や眼球の内部は皮膚科の診察では見えないためです
- 顔面神経麻痺への対応 — 顔の動かしにくさがあるときは、ステロイドの併用や耳鼻咽喉科での評価が検討されます
- 痛みの治療 — 急性期の痛みは我慢しないほうがよく、神経の痛みに使う薬を組み合わせることがあります。痛みを我慢して放置すると、あとに残る痛み(帯状疱疹後神経痛)につながることがあるためです(関連記事: 帯状疱疹後神経痛とは)
入院が必要になることもあります。目や神経の合併症が疑われるとき、痛みが強く内服だけでは足りないとき、免疫を抑える治療を受けているときなどです。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| まず何科に行けばいい? | 皮膚科でよい。目の症状があれば眼科も | 診断は皮膚の所見でつく。目の中は眼科の器械でないと見えないため |
| 水ぶくれがまだ小さい。様子を見ていい? | 顔なら待たない | 抗ウイルス薬は早いほど効果が期待でき、後から取り返せないため |
| 洗顔・入浴はしていい? | してよい。こすらない | 清潔なほうが細菌感染を防げる。ただし摩擦は水ぶくれを壊す |
| コンタクトレンズは? | 目の症状があるときは中止して眼科へ | 角膜の状態が分からないまま装用すると悪化しうるため |
| 跡は残る? | 浅ければ目立たなくなることが多い | 水ぶくれを潰したり、かき壊したりすると跡が残りやすい。触らないことが最大の予防 |
| 人にうつる? | 水ぼうそう未経験の人にはうつりうる | 水ぶくれの中にウイルスがいるため(関連記事: 帯状疱疹は人にうつる?) |
受診の目安
- その日のうちに受診 — 鼻の先・鼻のわきの水ぶくれ/目の痛み・充血・まぶしさ・見えにくさ/耳の痛み・めまい・顔が動かしにくい・口をゆすぐと水がもれる
- できるだけ早く受診 — 顔の片側だけに赤みと水ぶくれが出た/片側だけの痛みが数日続いている
- 早めに受診 — 痛みで眠れない/発熱を伴う/広い範囲に散らばって出ている/免疫を抑える治療を受けている
- 夜間・休日で判断に迷うときは救急安心センター(#7119)が利用できます。ろれつが回らない、手足が動かないなど脳の症状を伴うときは、迷わず救急要請してください
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ヘルペスと帯状疱疹(確認日: 2026-09-12)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-12)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

