「父の頭に、いつの間にか紫色のあざができていた」「あざがなかなか消えず、少しずつ広がっている」「あざの中に、しこりのような盛り上がりが出てきた」。血管肉腫は、こうしたあざに似た見た目で見つかることの多い病気です。
血管肉腫とは(仕組み)
血管肉腫は、血管の内側をおおう細胞が、がん化して増える病気です。皮膚の血管肉腫は、とくに高齢の方の頭や顔にできやすいことが知られています。
- 70歳以上の方に多い
- 頭皮・おでこ・顔に多い
- 頭や顔をぶつけたことがきっかけで気づかれることがある
- まれに、乳がんの治療後のリンパ浮腫がある腕や、放射線治療を受けた場所にできることもある
見た目がおとなしいわりに、皮膚の中を横に広がりやすい性質があります。このため、見た目の範囲よりも実際の広がりが大きいことがあります。
症状・見分け方
はじめは、内出血のような紫色〜赤紫色のあざ(斑)として現れます。進むと、次のような変化が出てきます。
- あざの範囲が少しずつ広がる
- あざの中にしこりや、盛り上がった赤黒いできものができる
- できものから出血しやすい、ただれる
- 顔では、まぶたのむくみとして始まることがある
| 見るところ | ふつうの内出血(打ち身) | 血管肉腫を疑う変化 |
|---|---|---|
| きっかけ | ぶつけた覚えがある | 覚えがない、または軽くぶつけた程度 |
| 色の変化 | 紫→緑→黄色と変わって薄くなる | 紫〜赤紫のまま、色が変わらない |
| 経過 | 1〜2週間ほどで消えていく | 2週間以上消えず、広がる |
| しこり | 腫れは数日で引く | しこりや盛り上がりが出てくる |
高齢の方は、血液をさらさらにする薬の影響などで、ちょっとした刺激でもあざができやすくなっています。だからこそ、「いつものあざ」と思って見過ごされやすいのがこの病気の難しさです。色が変わらずに2週間以上残ることが、受診の大きな手がかりになります。
皮膚科では、ダーモスコピーで観察したうえで、皮膚の一部を取って調べる検査(皮膚生検)で診断を確定します。診断がついたら、CTやMRIなどで広がりを調べます。
治療
治療は、広がりや全身の状態に合わせて、手術・放射線治療・抗がん剤を組み合わせて行います。範囲が限られていれば手術で取り除くことを検討し、広い範囲に及ぶ場合は放射線治療と抗がん剤を中心に治療します。
血管肉腫の治療は、皮膚がんの治療経験の多い大学病院やがん診療の専門施設で行われることが一般的です。皮膚科のクリニックでは、早い段階で疑いをもち、検査と専門施設への紹介につなげることが大切な役割です。
受診の目安
- 頭や顔に、ぶつけた覚えのない紫色のあざがある
- あざが2週間以上消えない、または広がっている
- あざの中に、しこりや盛り上がりが出てきた
- あざから出血する、ただれる
ご家族の頭皮は、本人からは見えにくい場所です。散髪や洗髪のときに、家族が気づいて受診につながることも少なくありません。
よくある質問
あざができたら、すぐ受診したほうがいいですか?
ぶつけた覚えがあり、色が紫から黄色へと変わって薄くなっていくものは、多くは心配のいらない内出血です。2週間ほど様子を見ても色が変わらない、広がるといった場合に受診してください。様子を見るあいだは、スマートフォンで同じ角度から写真を撮っておくと、変化が分かりやすくなります。
血液をさらさらにする薬は、やめたほうがいいですか?
自己判断でやめないでください。薬は心臓や脳の病気を防ぐために大切なものです。あざが気になる場合は、受診の際にお薬手帳を持参して相談してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-10-03)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-03)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

