「赤ちゃんの背中に、生まれつき黒いあざがある」「ほくろに毛が生えてきた」「成長とともに大きくなってきたけれど、取ったほうがいいの?」。先天性色素性母斑は、保護者の方からよく相談を受けるあざの一つです。
先天性色素性母斑とは(仕組み)
皮膚の色をつくるメラニンは、「メラノサイト」という細胞がつくっています。ほくろは、メラノサイトに近い細胞(母斑細胞)が集まってできたものです。生まれつき、または生後まもなく現れるものを、先天性色素性母斑と呼びます。
生まれたあとにできる普通のほくろと比べて、皮膚の深いところまで細胞が広がっていることが多く、表面に太い毛が生えることがあります。
大きさによって、注意点が変わります。一般に、大人になったときの大きさの予想で次のように分けられます。
| 分類 | 大人になったときの大きさの目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 小型 | 1.5cm未満 | 多くは経過観察で問題ない。見た目が気になれば切除を検討 |
| 中型 | 1.5〜20cm | 定期的な経過観察。場所や大きさによって切除を検討 |
| 巨大型 | 20cm超 | メラノーマが生じる可能性が通常より高いとされる。早めに専門施設で相談 |
子どもの体は成長とともに大きくなるため、ほくろも体の成長に比例して大きくなります。赤ちゃんのときの大きさだけでなく、「大人になったらどのくらいになるか」で考えるのがポイントです。
経過観察で気をつける変化
先天性色素性母斑の多くは、一生良性のままです。それでも、次のような変化があれば受診してください。
- 一部だけが急に盛り上がる、しこりができる
- 色が急に濃くなる、色むらが出る
- ただれる、出血する、治りにくい傷ができる
- かゆみや痛みが続く
赤ちゃんのころは、表面が少し盛り上がったり、毛が生えたり、色が薄くなったりと、自然な変化もよく見られます。こうした変化をすべて心配する必要はありませんが、判断に迷うときは皮膚科で確認してください。半年〜1年ごとに、同じ角度・同じ距離で写真を撮っておくと、変化を正確に伝えられます。
治療
治療の中心は手術による切除です。小さいものは切り取って縫い合わせ、大きいものは何回かに分けて切り取る方法(分割切除)や、皮膚を伸ばす・移植するなどの方法を組み合わせます。
- 小型・中型: 見た目、場所、本人の希望で切除を検討します。局所麻酔での手術が多く、子どもの場合はじっとしていられる年齢になってからが一般的です
- 巨大型: 形成外科・皮膚科の専門施設で、治療の時期や方法を相談します。全身麻酔での手術や、長期の計画が必要になることがあります
レーザーで色を薄くする治療が行われることもありますが、皮膚の深いところの細胞が残るため、再発しやすく、取った組織を検査できないという欠点があります。生まれつきのほくろでは、まず切除を考えるのが一般的です。
受診の目安
- 生まれつきのほくろが、大人になったときに大きくなりそう(体の成長に比べて大きい)
- 背中・頭など、自分や家族から見えにくい場所に大きなあざがある
- 上で挙げた「気をつける変化」がある
- 見た目が気になる、引っかかって出血する
よくある質問
ほくろに生えている毛は抜いてもいいですか?
抜かずに、気になる場合ははさみで短く切ってください。毛を抜くと毛穴に炎症が起き、ほくろが赤く腫れることがあります。毛を抜いたことでがんになるわけではありませんが、余計な刺激は避けたほうが安心です。
日焼け止めは塗ったほうがいいですか?
ほくろに限らず、子どもの肌を強い紫外線から守ることは大切です。長時間外で過ごすときは、衣類や帽子、日焼け止めを組み合わせて対策してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ホクロとホクロのがん(確認日: 2026-10-03)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A メラノーマ(確認日: 2026-10-03)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

