「指先をぶつけたわけでもないのに、爪の下が時々ズキッと痛む」「冷たい水に手を入れると、同じ指だけ強く痛む」「整骨院や内科で相談しても、はっきりした原因が分からなかった」。こうした悩みの中に、グロムス腫瘍という小さな良性のできものが隠れていることがあります。見た目の変化が小さいため気づかれにくく、痛みだけが何年も続いてから診断されることも珍しくありません。
グロムス腫瘍とは(仕組み)
皮膚の中には、体温を調節するために血流の量を変える「グロムス小体」という小さな仕組みがあります。手足の指先、とくに爪の下に多く集まっています。この組織の細胞が増えて、数mm程度の小さなかたまりになったものがグロムス腫瘍です。
グロムス小体には神経が豊富にからんでいるため、かたまりは小さくても強い痛みが出ます。できものの大きさと痛みの強さが釣り合わないのが、この病気の特徴です。良性で、がんのように体に広がるものではありません。
症状・見分け方
典型的な症状は次の3つです。
- 押すと痛い: 爪の上から1点を押すと、飛び上がるような痛みが出る。ペン先など細いもので押すと、痛い場所がはっきり分かる
- 冷たいものでしみる: 冷たい水や冬の外気で、その指だけ強く痛む
- 何もしなくても痛むことがある: ズキズキする痛みが、腕の方へ響くこともある
見た目では、爪を透かして青紫〜赤っぽい小さな点が見えることがあります。爪に縦の線や小さなへこみが出ることもありますが、見た目にほとんど変化がない人もいます。
| 爪の下の痛み・変色 | 特徴 |
|---|---|
| グロムス腫瘍 | ぶつけた覚えがない。1点を押すと激痛、冷たさで痛む。何か月〜何年も続く |
| 爪下血腫(爪の下の内出血) | ぶつけた・はさんだ直後から。赤黒い色が爪の伸びとともに先へ移動する |
| ひょう疽・爪囲炎 | 爪のまわりが赤く腫れて、ズキズキ痛む。膿がたまることもある |
| 爪の下のほくろ・メラノーマ | 痛みはないことが多い。爪に黒〜茶色の線があり、幅が広がってくる |
診断と治療
診察では、まず痛む場所を細い器具で押して、痛みの点をしぼり込みます。冷やしたときに痛みが出るかを確かめることもあります。かたまりの位置や大きさを確かめるために、超音波(エコー)検査やMRIを行うのが一般的です。
治療は手術で取り除くのが基本です。飲み薬や塗り薬で小さくなるものではないため、痛みで困っているなら手術が第一の選択肢になります。
- 局所麻酔をして、爪を一部持ち上げるか、爪の横から切開してかたまりを取り出します
- 取り出したものは病理検査(顕微鏡の検査)で確認します
- 多くの場合、手術のあとから痛みがはっきり軽くなります
爪の根元(爪を作る部分)の近くを操作するため、手術のあとに爪の形が一時的に変わったり、線が残ったりすることがあります。取り残しがあると痛みが再び出ることもあるため、手術前に説明を受けておきましょう。医療機関によって皮膚科・形成外科・整形外科(手の外科)のいずれかで対応しています。
受診の目安
- ぶつけた覚えがないのに、同じ指先の痛みが数週間以上続いている
- 爪の上の1点を押すと強く痛む
- 冷たい水や寒さで、その指だけ痛む
- 爪を透かして青紫・赤っぽい点が見える
受診前に、痛む場所に油性ペンで印をつけておく、どんなときに痛むかをメモしておくと、診察がスムーズです。一方、指先が急に赤く大きく腫れて熱を持っている場合は感染症の可能性があるため、早めに受診してください。
よくある質問
放っておくと悪くなりますか?
良性なので、命に関わる病気ではありません。ただ自然に消えることは少なく、痛みは続くことが多いです。痛みで生活に困っているなら、我慢せず治療を考えてよい病気です。
手術のあと、指は使えますか?
当日から軽い作業はできることが多いですが、数日は水仕事や指先に力を入れる作業を控えるように言われます。傷を守るためです。仕事への影響は手術前に相談しておくと安心です。
爪以外にもできますか?
指の腹や手のひら、足の指など、爪の下以外にできることもあります。場所が違っても、「小さいのに押すと強く痛む」「冷たさで痛む」という特徴は同じです。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 爪(確認日: 2026-09-30)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

