「目の下に、透き通った小さい粒がある」「夏になると大きくなって、冬は小さくなる」「つぶしたら水が出てしぼんだけれど、また膨らんできた」。汗嚢腫は、汗の通り道がつまってできる小さな袋で、目のまわりに多いできものです。痛みもかゆみもほとんどないため放置されやすい一方で、見た目が気になって相談に来る方の多い病気です。
汗嚢腫とは(仕組み)
皮膚には、汗をつくる汗腺と、汗を皮膚の表面まで運ぶ管(汗管)があります。この通り道の一部がつまったり、広がったりして、中に汗がたまった小さな袋になったものが汗嚢腫です。
汗腺には「エクリン汗腺(体温調節の汗)」と「アポクリン汗腺(まぶたの縁などにある汗腺)」の2種類があり、どちらからもできます。エクリン汗腺のタイプは、汗をかく季節や暑い場所で大きくなりやすく、涼しい季節には小さくなることがあります。
症状・見分け方
- できやすい場所: まぶた(とくに下まぶた・目じり)、目の下、鼻のまわり
- 見た目: 直径数mm程度。透明〜青みがかった、ドーム状のつるっとしたふくらみ
- 1個だけのことも、いくつも並ぶこともある
- 痛み・かゆみはほとんどない
| 目のまわりのプツプツ | 見分けのポイント |
|---|---|
| 汗嚢腫 | 透明〜青っぽい。中に水がたまって見える。季節で大きさが変わることがある |
| 稗粒腫 | 白くて硬い1〜2mmの粒。中身は角質 |
| 汗管腫 | 肌色〜黄色っぽい、平たい小さなふくらみが下まぶたに左右対称に多数 |
| ものもらい(麦粒腫)・霰粒腫 | まぶたの縁の赤み・腫れ・痛み(麦粒腫)や、痛みの少ない硬いしこり(霰粒腫) |
| 基底細胞がん | 黒〜灰色、または真珠のようにつやのあるふくらみ。ゆっくり大きくなり、中央がくずれて出血することがある |
基底細胞がんは目のまわりにもできる皮膚がんで、初期は小さなふくらみとして見えることがあります。「透明に見えるから大丈夫」と自己判断せず、大きくなる・出血するものは早めに診察を受けてください。
治療
汗嚢腫は良性なので、気にならなければ治療しなくても問題ありません。見た目が気になる、大きくなって視界やまばたきが気になる場合に治療を考えます。
- 切除(袋ごと取る): 局所麻酔をして、袋を破らないように取り出します。再発しにくく、取ったものを病理検査で確認できるため、1個だけのものではこれが基本です
- 針で穴をあけて中身を出す: その場ではしぼみますが、袋が残るため再び膨らむことが多い方法です
- 炭酸ガスレーザー・電気メスで袋を焼く: 小さいものや数が多い場合に選ばれることがあります
まぶたの縁やまつげの生え際に近い場所は、目を傷つけないように慎重な操作が必要です。場所によっては眼科・形成外科と連携して治療します。
受診の目安
- 目のまわりに透明・青っぽいふくらみがあり、見た目が気になる
- つぶしても何度も膨らんでくる
- だんだん大きくなる、色が黒っぽい、出血する、表面がくずれてきた
- まぶたが赤く腫れて痛い、目やにが出る(ものもらい・感染の可能性)
よくある質問
自分で針でつぶしてもいいですか?
おすすめしません。目のすぐ近くを傷つける危険があるうえ、細菌が入って腫れることがあります。また袋が残るため、しぼんでもまた膨らんでくることがほとんどです。
夏だけ大きくなるのはなぜですか?
汗をたくさんかく季節は、袋の中にたまる汗の量が増えるためです。暑い部屋や入浴のあとに大きくなり、涼しいところでは小さくなる、という変化は汗嚢腫によくみられます。
化粧をしても大丈夫ですか?
かまいません。化粧で悪化することは基本的にありません。ただ、クレンジングでこすると刺激になるため、目元はやさしく落としましょう。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 汗の病気(確認日: 2026-09-30)
- 日本眼科医会 目の健康(確認日: 2026-09-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

