ほくろの除去方法には、メスで切り取って縫合する「切除法」や、レーザー・電気メスなどで削る「蒸散法」などがあり、ほくろの大きさ・部位・性質によって適した方法が異なります。そして、どの方法を選ぶかよりも先に大切なのが、そのほくろが本当に良性なのかを診断することです。
ほくろに見えるできものの中には、まれに皮膚がんが紛れていることがあります。悪性の可能性を確認しないままレーザーなどで削ってしまうと、診断の機会を失うおそれがあるため、皮膚科ではダーモスコピーという拡大鏡検査などで診断したうえで除去方法を検討するのが一般的です(関連記事: ほくろと皮膚がんの違いとは?見分けるポイントと検査・受診の目安)。
受診の目安
見た目が気になるほくろ、ひげ剃りや下着で引っかかるほくろ、大きくなってきた・色や形が変わってきたほくろは、一度皮膚科での診察をおすすめします。特に変化のあるほくろは、自己判断で市販のクリームなどを使わず、診察で確認が必要です。
ほくろとは
ほくろ(色素性母斑・母斑細胞母斑)は、メラニン色素を作る細胞に由来する母斑細胞が集まってできる、基本的に良性のできものです。平らなものから盛り上がったものまで形はさまざまで、生まれつきのものもあれば、成長の過程で新しくできるものもあります。大人になってからほくろが増えること自体は珍しくありません。
除去を考えるべきケース
医学的な必要性があるケース
- 悪性(皮膚がん)の可能性が否定できないと判断された場合
- ひげ剃り・洗顔・衣類などで繰り返し傷ついたり出血したりする場合
- 視野にかかる、まぶたの開閉に影響するなど機能面の支障がある場合
美容目的のケース
- 健康上の問題はないが、見た目が気になって除去したい場合
どちらに当たるかによって、後述する保険診療・自由診療の区分が変わってきます。どちらのケースでも、除去の前に良性・悪性の診断を行うという流れは共通です。
診断(ダーモスコピー)
ダーモスコピーは、専用の拡大鏡で皮膚の色素の分布や構造を観察する検査です。痛みをともなわない検査で、ほくろと皮膚がんの鑑別に広く用いられています。視診とダーモスコピーで判断が難しい場合には、組織の一部または全体を切除して顕微鏡で調べる病理検査(生検)が検討されます。
除去方法の種類と適応
切除法(切除縫合)
メスでほくろを含む皮膚を紡錘形に切除し、縫合する方法です。取り除いた組織を病理検査に提出できるため、診断を確定できるのが大きな特徴です。深いほくろや大きめのほくろ、悪性の可能性を否定しきれないほくろでは、切除法が選ばれるのが一般的です。局所麻酔で行う日帰り手術で、1〜2週間後に抜糸のための通院が必要になることが多いです。最終的にはまっすぐな線状の傷跡になります。
くり抜き法
円筒状のメスでほくろをくり抜く方法で、顔のほくろや小さめのほくろに用いられることが多いです。傷を縫わずに済む場合が多く、短い時間で手術できます。また、切除法に比べて正常な皮膚をほとんど取らないため、傷が小さく済むというメリットがあります。組織を病理検査に出せる点は切除法と同様です。最終的にはほとんど目立たない、わずかに凹んだ跡になることが多いです。
レーザー・電気メスによる蒸散法
炭酸ガスレーザーや電気メスでほくろの組織を削り取る方法です。小さく盛り上がったほくろなどに用いられ、縫合が不要な場合が多い一方、組織が残らないため病理検査による診断確認ができない、深部に母斑細胞が残ると再び盛り上がってくることがある、といった特徴があります。このため、悪性の可能性が疑われるほくろには適さないとされています。
どの方法が適しているかは、ほくろの大きさ・深さ・部位・診断によって異なり、診察での判断が必要です。当院では、切除法に加えて炭酸ガスレーザーによる除去にも対応する予定です。どの方法が適するかは診察のうえでご案内します。
保険と自由診療の区分
一般的な考え方として、悪性の疑いがある場合や、出血・引っかかりなど医学的な支障がある場合の切除は保険診療の対象となり得ます。一方、見た目の改善のみを目的とした除去は自由診療(全額自己負担)となるのが原則です。
同じほくろでも、状態や目的によって扱いが変わるため、どちらに該当するかは診察でご確認ください。
費用の目安
診療報酬に基づく一般的な目安として、保険適用でほくろを切除する場合の自己負担(3割)は、部位と大きさによりおおむね数千円〜2万円程度の幅があり、これに初診料・病理検査費用・薬代などが加わります。
自由診療のレーザー除去は医療機関ごとに料金設定が異なり、大きさに応じて1個あたり数千円〜数万円程度と幅があります。当院では、開院後の保険適用の切除の目安を3割負担で約8,000円と見込んでいます(自由診療の料金は開業時にご案内します)。自由診療の治療に関する記述は一般的な説明であり、当院での提供を示すものではありません。
リスク(傷あと・再発など)
ほくろ除去には、方法を問わず次のようなリスクがあります。
- 傷あと・赤み・色素沈着が残ること(時間とともに目立ちにくくなる場合が多いものの、ゼロにはできません)
- 体質による肥厚性瘢痕・ケロイド
- へこみ(陥凹)
- 母斑細胞が残った場合の再発(特に蒸散法後)
- 出血・感染
「除去すれば跡形もなく消える」というものではないため、仕上がりのイメージとリスクの説明を受けたうえで方法を選ぶことが大切です。
よくある質問
Q1. ほくろは当日すぐ取ってもらえますか?
当日に除去できる場合が多いですが、大きさなどによっては当日の手術に対応できない場合があります。また、悪性が疑われる場合は病理検査を優先するのが一般的です。詳しくは即日対応の記事をご覧ください(関連記事: ほくろ除去は即日でできる?当日対応の条件と流れ・対応できないケース)。
Q2. 複数のほくろを一度に取れますか?
数・大きさ・部位によっては複数同時の除去が可能な場合もありますが、傷の管理や麻酔量の観点から複数回に分けることもあります。診察でご相談ください。
Q3. 除去したほくろはまたできますか?
母斑細胞が深部や辺縁に残っていた場合、同じ場所に再びほくろが現れることがあります。特にレーザーなどの蒸散法では、この可能性を踏まえて経過を見ることが大切です。
Q4. 市販のほくろ除去クリームで取ってもよいですか?
おすすめできません。診断のないまま皮膚を傷つけると、傷あとや炎症の原因になるうえ、万一悪性だった場合に発見が遅れるおそれがあります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 一般向け情報(ほくろ・皮膚腫瘍の解説)
- 日本形成外科学会 一般向け情報(ほくろ・あざの解説)

