「数えたら去年より増えている気がする」「顔にポツポツ出てきた」。ほくろの相談で最も多いのがこれです。結論から言えば、増えること自体は心配の対象ではありません。ほくろは生まれつきのものだけでなく、思春期から中年にかけて新しくできるのが普通です。診察で見ているのは「いくつあるか」ではなく「そのうちに変化しているものがあるか」——この一点です。
なぜ大人になっても増えるのか
ほくろは、色をつくる細胞(メラノサイト)が皮膚の一か所に集まってできたものです。増える主な理由は次の3つです。
- 紫外線 — いちばん影響が大きい要因です。顔・首・腕・背中など日の当たる場所に増えやすいのはこのためです(関連記事: 日焼け止めの選び方)
- 年齢とホルモンの変化 — 思春期や妊娠期に新しく出たり、既存のものが濃くなったりすることがあります(関連記事: 妊娠中の肌の変化)
- 体質 — もともとほくろができやすい人がいます。家族で似る傾向があります
一方で、「ほくろが増えた」と来られた方のものが、実はほくろではないことがよくあります。大人になって顔や体に増える茶色い点は、ほくろ以外にもいくつもあります。
| 見えるもの | 特徴 | 正体 |
|---|---|---|
| 盛り上がった茶色〜黒のできもの | 表面がザラついてカサカサする。体・顔に年齢とともに増える | 脂漏性角化症(いわゆる老人性のイボ)。ほくろではありません(関連記事: 老人性イボ) |
| 平らな茶色い斑 | 境目がはっきりした丸い斑。日の当たる場所 | 日光によるシミ(関連記事: シミの種類) |
| 小さな赤い点 | てんとう虫の斑点のような赤。胸や腹に増える | 老人性血管腫。血管のふくらみです(関連記事: 赤いほくろ) |
| 首やワキの小さな突起 | 皮膚と同じ色〜茶色。柔らかく、くびれている | アクロコルドン(首のイボ)(関連記事: 首のイボ) |
| 境目のはっきりした茶〜黒の点 | 平ら、または半球状に盛り上がる。均一な色 | ほくろ(色素性母斑) |
気にすべきは数ではなく「変化」
ほくろを診るときの見方は、世界的にABCDEルールとして整理されています。日常で自分で確かめるにはこれで十分です。
- A(形の左右差) — 半分に折ったとき、形が合わない
- B(ふち) — 輪郭がギザギザ、にじんでいる
- C(色) — 黒・茶・赤・白が入りまじってまだら
- D(大きさ) — 6mm(鉛筆の芯より太いくらい)を超える
- E(変化) — 数か月単位で大きくなった、盛り上がった、出血した
この中でいちばん重く見るのはE、つまり変化です。生まれつきのほくろが何年も同じ姿でそこにあるなら、多少大きくても慌てる必要はありません。逆に、小さくても半年で明らかに変わったものは調べる価値があります(関連記事: ほくろと皮膚がんの見分け)。
足の裏の黒い斑と、爪にできた黒い縦線は、別に注意して見る場所です。爪の黒い線は、幅が広がる・色がにじむ・爪の周りの皮膚にまで色が広がる場合に調べます(関連記事: 爪に線が入る)。
取るべきか、そのままでよいか
心配のないほくろを、医学的な理由で取る必要はありません。それでも切除をすすめるのは、次の場合です。
- 変化があり、性質を確かめる必要がある — この場合は取ったものを顕微鏡で調べます(関連記事: 皮膚生検)
- ひげ剃りや服のこすれで繰り返し傷つく — 出血と炎症を繰り返すためです
- 見た目として気になる — この理由で取ることは問題ありません。方法によって保険の扱いが変わります(関連記事: ほくろ除去の方法)
注意していただきたいのは「自分で取る」道具や薬を使わないことです。理由は2つあり、性質を確かめる機会が失われることと、深い傷あとが残ることです。もし性質を調べるべきものだった場合、削り取ってしまうと判断材料そのものがなくなります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| ほくろが多い人は皮膚がんになりやすい? | 数が非常に多い場合は注意して経過をみます | ほくろの数の多さが背景要因のひとつとされているためです。ただし日本では足の裏や爪にできるタイプが多く、数とは別に見ます |
| 刺激すると悪くなる? | 一度こすった程度で悪くなることはありません | ただし繰り返し傷つく場所のものは、取ることを検討します |
| いつ写真を撮っておけばいい? | 気になった時点で、定規を横に置いて撮ってください | 大きさの変化は記憶では分からないためです。半年後の比較材料になります |
| 顔のほくろは日焼け止めで増えるのを防げる? | ある程度は抑えられると考えられています | 紫外線が増える要因の一つだからです。シミ・しわの予防にもなります |
| 子どものほくろが増えるのは異常? | 成長とともに増えるのは自然なことです | 思春期にかけて新しくできるのが普通だからです |
受診の目安
- 早めに受診を — 形がいびつ、色がまだら、6mmを超える
- 早めに受診を — 数か月で大きくなった、盛り上がってきた、硬くなった
- 早めに受診を — ぶつけていないのに出血する、じくじくして治らない
- 早めに受診を — 足の裏の黒い斑、爪の黒い縦線が広がってきた
- 受診を — ほくろかどうか自分で判断できない、増え方が気になる
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関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ホクロ」(確認日: 2026-09-18)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「メラノーマ」(確認日: 2026-09-18)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

