「しこりが急に赤く腫れて、膿が出てきた」「指の爪の横がズキズキして、白く膿がたまっている」。膿が見えると自分で出したくなりますが、押し出すと炎症が深く広がったり、跡が残ったりすることがあります。原因ごとの特徴と対処を整理します。
膿とは(仕組み)
膿(うみ)は、体が炎症と戦った結果たまったもので、主に白血球(体を守る細胞)や、傷んだ組織、細菌などが混ざった液体です。膿がたまると、まわりの皮膚が押されてズキズキした痛みが出ます。
膿の原因は細菌とは限りません。たとえば粉瘤では、皮膚の下の袋が破れて中身が漏れ出し、それに体が強く反応して膿のようになることが多いとされています。細菌の感染はその後に加わることもある、という順番です。
症状・見分け
膿が出る皮膚のトラブルを、診察室で多い順に並べます。
| 原因 | できやすい場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 炎症性粉瘤 | 背中、顔、首、耳の後ろ、お尻など | もともとあったしこりが急に赤く腫れる。臭いのある膿や白いカスが出る |
| 毛包炎・おでき(せつ) | 顔、首、お尻、太もも、ワキ | 毛穴を中心に赤く腫れ、中央に膿の点。大きく硬くなるとおでき |
| ひょう疽・爪囲炎 | 手足の爪のまわり | 爪の横が赤く腫れてズキズキ痛む。白や黄色の膿が透けて見える |
| 化膿性汗腺炎 | ワキ、足の付け根、お尻 | 同じ場所に、膿をもったしこりをくり返す。トンネル状につながることも |
| とびひ | 顔、手足(子どもに多い) | 膿をもった水ぶくれが破れて、黄色いかさぶたが周りに広がる |
同じ場所に何度も膿をもったしこりができる場合は、粉瘤や化膿性汗腺炎のように、根本の治療が必要な病気のことが多いです(関連記事: 炎症性粉瘤)。
治療・セルフケア
膿がたまって腫れている場合、もっとも効果があるのは小さく切開して膿を出すことです。局所麻酔をして行うため、処置そのものの痛みは抑えられ、膿が出ると圧迫による痛みは大きく和らぎます。
- 粉瘤: 腫れが強いときは切開して中身を出し、炎症が落ち着いてから袋ごと取る手術を検討します。袋が残っていると、同じ場所がまた腫れることがあります
- 毛包炎・おでき: 小さなものは抗菌薬の塗り薬、大きく腫れたものは切開や抗菌薬の飲み薬を使います
- ひょう疽: 抗菌薬の飲み薬を使い、膿がたまっていれば小さく切開して出します
- とびひ: 抗菌薬の塗り薬や飲み薬を使い、患部を覆って広がりを防ぎます
受診までの間は、次のことに気をつけてください。
- 押し出さない: 皮膚の下で袋や膿が破れて、炎症が広く深く広がることがあります。跡が残る原因にもなります
- 針で刺さない: 清潔にできていない針で刺すと、別の細菌が入ることがあります
- 自然に破れて膿が出てきたら: シャワーでやさしく洗い流し、清潔なガーゼで覆います。密閉性の高い絆創膏でふさぐと、中が蒸れて治りが悪くなることがあります
- 痛みが強いときは冷やす: タオルで包んだ保冷剤を当てると、一時的に楽になります
受診の目安
- 膿をもって腫れていて、痛みが強い
- 赤みが周りに広がっていく、熱が出る(早めに)
- 同じ場所に何度も膿がたまる
- 顔の中心(鼻や上唇のまわり)が腫れてきた(早めに)
- 糖尿病がある、免疫を抑える薬を使っている
赤みが急に広がり、皮膚の色が紫っぽく変わる、触っていない場所まで強く痛む、ぐったりする、といった場合は重い感染症の可能性があります。夜間・休日でも救急を受診してください。迷ったら#7119に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
抗菌薬を飲めば、切らなくても治りますか?
膿がたまっていない早い段階なら、抗菌薬で落ち着くこともあります。ただ、すでに膿がたまっている場合は、抗菌薬だけでは治りにくく、切開して出したほうが早く楽になります。また、粉瘤の炎症は細菌よりも袋が破れることによる場合が多いため、抗菌薬が効きにくいこともあります。
切開したら、仕事やお風呂はどうなりますか?
デスクワークであれば当日から仕事ができることが多いです。お風呂は湯船を数日控え、シャワーで傷をやさしく洗い流すのが一般的です。詳しくは処置を受けたときの説明に従ってください。
膿が出きったら、もう病院に行かなくていいですか?
粉瘤や化膿性汗腺炎は、膿が出て腫れが引いても、原因の袋や病変が残っていることがあります。くり返すようなら、炎症が落ち着いている時期に一度相談してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 粉瘤(確認日: 2026-10-15)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A とびひ(確認日: 2026-10-15)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 爪(確認日: 2026-10-15)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

