「子どものころ転んだひざの傷に、黒い点々が残っている」「顔のすり傷が治ったのに、青黒くくすんだまま」「手のひらに鉛筆の芯が刺さったあとが、ほくろのように残っている」。外傷性刺青は、けがそのものは治ったのに、色だけが残る状態です。
外傷性刺青とは(なぜ色が残るのか)
転んでアスファルトや地面で皮膚をこすると、細かい砂・土・アスファルトの粒が傷の中に入りこみます。これが取り除かれないまま傷がふさがると、粒は皮膚の深いところ(真皮:しんぴ)に閉じこめられます。
皮膚の表面(表皮)は数週間ごとに生まれ変わりますが、真皮に入った粒は外に押し出されないため、入れ墨(タトゥー)と同じように、何年たっても色として残ります。これが「外傷性刺青」と呼ばれる理由です。
主な原因には、次のようなものがあります。
- 転倒・自転車やバイクの事故 — アスファルトや砂利の粒
- 鉛筆の芯・シャープペンシルの芯が刺さった
- 花火・爆発物によるけが — 火薬の粒
- 工具・金属の削りかすなど
症状と見分け方
- 傷あとに沿って、黒・灰色・青っぽい点や線が残る
- けがのあとから色があり、何年たっても変わらない
- ふつうは痛みやかゆみはない
- 点の大きさや濃さがふぞろいで、けがをした方向に並ぶことが多い
| 考えられるもの | 特徴 |
|---|---|
| 外傷性刺青 | けがのあとから残る、黒〜青の点や線。変化しない |
| 炎症後色素沈着 | 傷が治ったあとの茶色いしみ。数か月〜年単位で薄くなっていく(関連記事: 炎症後色素沈着) |
| ほくろ | けがと関係なくできる。盛り上がる・大きくなることがある(関連記事: ほくろ除去の方法) |
| メラノーマ | 形がいびつで色むらがあり、大きくなる・形が変わる(関連記事: メラノーマ) |
「けがのあとから色がある」ことがはっきりしていれば、外傷性刺青の可能性が高くなります。けがの記憶があいまいで、色が変化している場合は、ほくろやメラノーマとの区別のために受診してください。
けがの直後にできること(予防)
外傷性刺青を防ぐいちばんの方法は、けがをした直後に、傷の中の砂や汚れをしっかり洗い流すことです。傷がふさがってからでは、粒を取り除くのが難しくなるためです。
- 水道水で、傷の中まで十分に洗い流す — 痛くても、砂が見えなくなるまで流す
- 自分で取りきれない砂や粒が残っているときは、その日のうちに受診する — 医療機関では、局所麻酔をして、ブラシなどで粒を取り除く処置ができる
- 顔のけがは特に早めに — 目立ちやすい場所なので、数日以内の処置が望ましい
すり傷の手当ての基本は、関連記事「すり傷・切り傷の正しい手当て」でも解説しています。
残ってしまった場合の治療
| 治療 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| レーザー治療 | 皮膚の中の粒を細かく砕き、体が少しずつ吸収・排出するのを助ける。数回くり返すことが多い | 一時的な赤み・かさぶた・色の変化が出ることがある。火薬の粒ではレーザーに反応して小さく破裂することがあり、慎重な判断が必要 |
| 切除(手術) | 色の残った部分を切り取り、縫い合わせる | 小さい範囲に向く。線状の傷あとが残る |
| 削る処置 | 浅いところにある粒を、皮膚の表面ごと削って取り除く | 範囲や深さによって向き不向きがある |
保険が使えるか、自由診療になるかは、治療法や状態によって変わります。受診のときに確認してください。
※レーザー治療などを自由診療で行う場合、費用は医療機関ごとに異なり、効果の感じ方には個人差があります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 鉛筆の芯が刺さったあとは、体に悪いですか? | 体に害を及ぼすことは、ほとんどありません | 鉛筆の芯は主に黒鉛と粘土でできており、鉛は含まれていないためです。見た目が気になる場合に治療を考えます |
| 時間がたてば消えますか? | ほとんど消えません | 皮膚の深いところに閉じこめられた粒は、自然に外へ出ていかないためです |
| 何年も前の傷でも治療できますか? | 治療できます | ただし、粒の深さや種類によって、効果や回数が変わります |
受診の目安
- その日のうちに受診を — すり傷の中に、洗っても取りきれない砂や小石が残っている
- 早めの受診を — 顔のすり傷で汚れが入りこんでいる
- 受診を — 傷あとに残った色が気になる、治療したい
- 受診を — けがとの関係がはっきりしない黒い点が、大きくなる・形が変わる
- すぐに救急へ — 深い傷、出血が止まらない、傷が大きく開いている。迷ったときは救急安心センター(#7119)に相談してください
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-25)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-25)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

