粉瘤の手術方法とは?くり抜き法と切開法の違い・選び方を解説

粉瘤の手術方法とは?くり抜き法と切開法の違い・選び方を解説
DERMATOLOGY GUIDE | DERMATOLOGIC SURGERY
更新日: 2026年10月6日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

粉瘤(アテローム)を根本的に治療する方法は、原因となる袋(嚢腫壁)を取り除く手術です。手術方法は主に「くり抜き法(へそ抜き法)」と「切開法(切除法)」の2つがあり、どちらか一方が常に優れているわけではありません。粉瘤の大きさ・部位・炎症の有無・過去の炎症歴などをふまえて、診察のうえで適した方法を選ぶのが一般的です。

粉瘤そのものの基礎知識(できる仕組み・症状・ニキビとの違いなど)は、別の記事で詳しく解説しています(関連記事: 粉瘤(アテローム)とは?原因・症状・治療法を解説|自然には治らない皮膚のできもの)。この記事では「手術方法」に絞って、それぞれの特徴と選び方の考え方を説明します。

受診の目安

しこりが少しずつ大きくなっている、同じ場所で腫れを繰り返す、圧迫すると臭いのある内容物が出る──こうした場合は粉瘤の可能性があります。自然になくなることは期待しにくいため、症状が軽いうちに一度皮膚科で診察を受けることをおすすめします。自己判断で潰すのは避けてください。

目次

くり抜き法の特徴・向くケース

EPIDERMOID CYST — CROSS SECTION 開口部(黒い点に見える) 袋のような壁(嚢腫壁・これが残ると再発) 中に角質・皮脂がたまり、少しずつ大きくなる 皮膚の表面 袋を残さず取り除くのが手術の目的
粉瘤(アテローム)の断面イメージ図。くり抜き法も切開法も、この袋を取り除くことが目的です図: あび皮膚科メディア編集部作成(イメージ図であり、実際の構造を簡略化しています)

くり抜き法とは

局所麻酔をしたあと、円筒状の専用メス(パンチ・トレパン)で粉瘤の中央に小さな穴を開け、内容物を排出してから、しぼんだ袋を小さな穴から摘出する方法です。「へそ抜き法」と呼ばれることもあります。

くり抜き法の主な特徴

  • 皮膚を切る範囲が小さくて済む傾向があり、縫合をしない、または最小限で済む場合があります
  • 手術時間が比較的短い傾向があります
  • 傷あとが小さくまとまりやすいとされています

向くケースとされる例

一般的には、比較的小さい粉瘤や、炎症を起こしていない粉瘤、袋を穴から取り出しやすい状態のものが対象とされます。ただし、実際に適応となるかは大きさ・部位・皮膚の状態によって異なり、診察での判断が必要です。

留意点

小さな穴から袋を取り出すため、袋が取り切れずに一部が残ると再発の原因になることがあります。大きな粉瘤や、炎症を繰り返して周囲の組織と癒着している粉瘤では、くり抜き法が向かない場合があります。

切開法の特徴・向くケース

切開法とは

粉瘤の上の皮膚を紡錘形(葉っぱのような形)に切開し、袋を周囲の組織から剥がしながらまるごと摘出して、皮膚を縫合する方法です。皮膚外科で古くから行われている標準的な術式です。

切開法の主な特徴

  • 袋を直接目で確認しながら摘出しやすく、取り残しを減らしやすいとされています
  • 大きな粉瘤や、癒着のある粉瘤にも対応しやすい方法です

向くケースとされる例

大きく育った粉瘤、過去に炎症を繰り返して癒着が疑われるもの、一度手術したあとに再発したものなどでは、切開法が選ばれることが多いとされます。こちらも最終的な判断は診察によります。

留意点

くり抜き法に比べて皮膚を切る長さが長くなる傾向があり、縫合と後日の抜糸が必要になるのが一般的です。

炎症がある場合の対応(切開排膿)

粉瘤が袋の破裂や細菌感染などで赤く腫れて痛む状態(炎症性粉瘤)では、その場ですぐに袋を摘出する根治手術を行うのが難しい場合があります。炎症が強い時期は組織がもろく、袋の境界が分かりにくいため、取り残しのリスクが高くなるとされるからです。

このため一般的には、まず皮膚を小さく切開して膿を出す「切開排膿」で炎症を落ち着かせ、数週間〜数か月おいてから改めて根治手術を行う、という二段階の流れがとられます。炎症の程度によっては、そのまま摘出まで行える場合もあり、対応は診察での判断になります。

緊急受診の目安

  • 粉瘤が急に大きく腫れて、ズキズキした痛みがある
  • 赤みが周囲に広がっている、熱をもっている
  • 発熱など全身の症状をともなう

このような場合は、悪化する前に早めに医療機関を受診してください。

麻酔・手術時間・抜糸

一般的な粉瘤の手術は、局所麻酔(注射)で行われる日帰り手術です。麻酔の注射時にチクッとした痛みや薬液が入る感覚はありますが、麻酔が効いたあとの痛みは感じにくくなるのが一般的です(感じ方には個人差があります)。

手術時間は、小さな粉瘤であればおおむね10〜30分程度が一般的な目安とされますが、大きさ・部位・癒着の程度によって変わります。切開法で縫合した場合は、部位に応じて術後およそ1〜2週間で抜糸を行うのが一般的です。

当院では、局所麻酔のあと約10分おいて麻酔が効くのを待ち、切除自体は小さな粉瘤であれば3分ほどを見込んでいます(大きさ・部位により変わります)。抜糸までのスケジュールは術式・部位に応じて診察時にご案内します。

なお、初診当日の手術(即日手術)に関する考え方は別記事で解説しています(関連記事: 粉瘤は即日手術できる?当日対応の条件・流れ・費用の目安を解説)。診察の結果、当日の手術に対応できない場合があります。

傷あとへの配慮

手術である以上、傷あとを完全にゼロにすることはできません。そのうえで、皮膚のしわの向きに沿った切開デザイン、部位に応じた縫合方法の工夫、術後のテーピング指導などにより、傷あとをできるだけ目立ちにくくする配慮が一般的に行われています。傷あとの仕上がりには体質(ケロイド・肥厚性瘢痕のできやすさ)も関わるため、心配な方は事前の診察でご相談ください。

リスク・合併症

粉瘤の手術は比較的小さな手術ですが、次のようなリスク・合併症の可能性があります。

  • 出血・血腫(皮下に血がたまること)
  • 創部の感染
  • 傷あと・色素沈着、体質による肥厚性瘢痕やケロイド
  • 部位によっては神経・血管の損傷
  • 局所麻酔薬によるアレルギー反応・気分不良

また、摘出したものは病理検査(顕微鏡での組織検査)に提出し、診断を確認するのが一般的な方針とされています。当院では、摘出した組織は全例病理検査に提出する方針です。

再発の可能性

粉瘤は袋を取り切れれば再発の可能性は低くなるとされますが、袋の一部が残った場合には、同じ場所に再び粉瘤ができることがあります。「再発の可能性をゼロにする」とは言い切れない点は、術式を問わず共通です。

特に、炎症を繰り返した粉瘤は袋が周囲と癒着し、取り残しのリスクが上がるとされています。この意味でも、炎症を起こす前の落ち着いた時期に手術を受けておくことが望ましいと考えられます(関連記事: 粉瘤を放置するとどうなる?起こりうるリスクと手術のタイミング)。

よくある質問

Q1. くり抜き法と切開法、どちらを選べばよいですか?

どちらが適するかは、粉瘤の大きさ・部位・炎症や癒着の有無によって異なります。ご自身で選ぶというより、診察での評価をもとに医師と相談して決める形が一般的です。

Q2. 手術の費用はどのくらいかかりますか?

粉瘤の手術は健康保険の適用対象です。診療報酬に基づく一般的な目安として、3割負担の場合の手術費用は部位と大きさによりおおむね数千円〜2万円程度の幅があり、これに初診料・病理検査費用・薬代などが加わります。詳しくは費用の記事をご覧ください(関連記事: 粉瘤の手術費用はいくら?保険適用の目安と内訳をわかりやすく解説)。当院では、開院後の手術代の目安を3割負担で約8,000円と見込んでいます(大きさ・部位により変わります。初診料・病理検査代などが別途かかります)。

Q3. 手術の当日はお風呂に入れますか?

創部の状態や術式によって指示が異なります。一般的には当日はシャワー程度にとどめ、創部を濡らさない・こすらないよう案内されることが多いですが、担当医の指示に従ってください。

関連ページ

参考情報

  • 日本皮膚科学会 一般向け情報(皮膚疾患の解説)
  • 日本形成外科学会 一般向け情報(皮膚腫瘍・粉瘤の解説)
アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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