「ほくろが心配で受診したら、レンズのようなものを当てられた」——あれがダーモスコピーです。何を見ているのか分かりにくい検査なので、目的と限界を知っておくと、その後の説明が理解しやすくなります。
肉眼と何が違うのか
皮膚の表面は光を反射するため、肉眼では表面の色しか分かりません。ダーモスコープは、ジェルを塗るか偏光(へんこう=光の向きをそろえる仕組み)を使って反射を抑え、皮膚のいちばん外側から、その下の層にある色素の分布まで透かして見ます。倍率はおよそ10倍です。
見ているのは色の濃さではなく、模様(パターン)です。良性のほくろでは色素が規則正しい網目や点の並びをつくることが多く、悪性を疑う病変では並びが乱れる、境目が急に途切れる、色が不均一に混じるといった特徴が出ます。足の裏では、皮膚の細かい溝と隆線のどちらに色がついているかが手がかりになり、これは肉眼では判別できません。
どんなときに使うか
| 相談内容 | ダーモスコピーで見ること | その後 |
|---|---|---|
| ほくろが心配 | 色素の並びの規則性、境界、色の混ざり方 | 良性らしければ経過観察。疑わしければ切除して検査 |
| 足の裏の黒い斑 | 溝と隆線のどちらに色がついているか | 判断がつかないときは間隔を決めて再確認 |
| シミが増えた・盛り上がってきた | 脂漏性角化症(老人性イボ)に特徴的な構造の有無 | 良性なら治療は希望に応じて |
| 黒いできもの | 血管の形、青灰色の構造の有無 | 皮膚がんの可能性を評価する |
| 爪の黒い線 | 線の幅・色の均一さ・爪の根元の色 | 幅が広がる、色が濃くなる場合は精査へ |
| 脱毛・かゆみ(頭皮) | 毛穴と毛の状態(トリコスコピーと呼びます) | 脱毛症の種類の判断材料にする |
ほくろと皮膚がんの見分けの考え方そのものは(関連記事: ほくろと皮膚がんの見分け方)にまとめています。ダーモスコピーは、その見分けを肉眼より一段細かい情報で行うための道具だと考えてください。
受けるときに知っておくこと
- 痛みはありません。レンズを軽く皮膚に当てるだけです。針も麻酔も使いません
- ジェルを塗ることがあります — 反射を抑えるためで、拭き取れば残りません
- 時間は短い — 1か所なら数十秒。全身のほくろを見ていく場合は、それなりの時間がかかります
- 記録を残すことがあります — 画像を保存しておくと、数か月後に見比べて「変化しているか」を判断できます。変化の有無は、1回の観察では分からない情報です
- マニキュアは落としてから — 爪の相談では、塗ったままでは観察できません
- 費用は診察の一部として扱われます — 症状の診断を目的とする場合は保険診療の範囲で行われる検査です
診察でよく聞かれるのが「これで悪いものかどうか、はっきり分かるのか」です。答えは「可能性を大きく絞れるが、確定はできない」です。確定診断は、組織を採って顕微鏡で見る検査(皮膚生検)でつきます。ダーモスコピーの役割は、切らずに済むものを切らずに済ませ、切るべきものを見逃さないための振り分けにあります。
「経過観察」と言われたときの考え方
すぐに切らずに様子を見る、と言われることがあります。これは放置とは違い、次にいつ見るかを決めて比べるという方法です。目安として数か月後に再診し、大きさ・形・色が変わっていないかを確認します。
その間にご自身で見ておくポイントは、左右非対称になっていないか、ふちがギザギザに崩れていないか、色が混ざっていないか、大きくなっていないか、盛り上がり・出血・かゆみが出ていないかです。変化があれば、予定の再診を待たずに相談してかまいません。「変化」がいちばん重要な情報だからです。
受診・相談の目安
- ほくろが数か月〜1年で明らかに大きくなった
- 色が混ざる、ふちが不規則になった
- 出血する、じくじくする、治らない
- 足の裏・手のひら・爪に新しく黒い斑や線が出てきた
- 大人になってから新しくできたほくろが気になる
- 数を数えきれないほどあり、まとめて確認しておきたい
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ホクロ(確認日: 2026-09-11)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A メラノーマ(確認日: 2026-09-11)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

