「木のささくれが指に刺さった」「子どもの足の裏にとげが入って痛がる」。誰でも経験する小さなけがですが、ほじくり返して傷を広げたり、中途半端に折れて残ったりすると、あとで腫れや化膿の原因になります。抜いてよいものと、抜かずに受診したほうがよいものを分けて考えるのがコツです。
とげが残るとどうなるか
皮膚は、入ってきた異物を体の外に押し出そうとしたり、周りを囲んで閉じ込めようとしたりします。小さく浅いとげなら、数日で自然に押し出されることもあります。
しかし、木のとげや植物のとげは細菌を一緒に運び込みやすく、残ったままだと赤く腫れて膿がたまったり(化膿)、何週間もたってから硬いしこり(異物肉芽腫)になったりすることがあります。「痛くなくなったから大丈夫」とは限らないのは、このためです。
自宅で抜いてよいもの・受診したほうがよいもの
| 状態 | 対応 | 理由 |
|---|---|---|
| 端が外に出ている、浅い木のとげ | 自宅で抜いてよい | 毛抜きでつまめれば、まっすぐ抜ける |
| 細かいサボテンのとげ・植物の毛 | 自宅で対処可 | 粘着テープを貼ってはがすと取れることが多い |
| 端が見えない・皮膚の奥に入っている | 受診を | 針でほじると傷が深くなり、細菌が入りやすい |
| ガラス・金属の破片 | 受診を | 割れて残りやすい。周りの組織を傷つけることがある |
| 爪の下に深く入った | 受診を | 自分では取りにくく、爪の周りが化膿しやすい(関連記事: ひょう疽) |
| 土や錆で汚れたもの | 受診を | 破傷風などの感染の対策が必要なことがある |
| 関節の近く・目の周り・大きいもの | 受診を | 腱や神経、目を傷つけるおそれがある |
自宅での抜き方
- 手と患部を石けんと流水で洗う — 細菌を押し込まないためです
- 毛抜きを消毒する — 消毒用アルコールで拭きます
- 明るい場所で、とげの向きを確認する — 虫眼鏡があると見やすくなります
- とげの根元に近いところをつまみ、刺さった角度のまま、まっすぐ引き抜く — 斜めに引くと途中で折れやすいためです
- 抜いたら、もう一度流水で洗う — 少し血を出すくらいでも構いません
- 傷を覆う — 清潔な絆創膏やガーゼで覆います(関連記事: すり傷・切り傷の手当て)
やってはいけないのは、縫い針で皮膚を大きく掘ることです。先が見えないまま深く掘ると、傷が広がって細菌が入りやすくなるうえ、とげを押し込んでしまうこともあります。2〜3回試して取れなければ、そこで手を止めて受診してください。
受診したときの処置
皮膚科では、必要に応じて局所麻酔をしてから、小さく皮膚を切開して取り出します。麻酔をするので、処置中の痛みはほとんどありません。ガラスや金属はレントゲンで写ることが多い一方、木のとげはレントゲンに写りにくいため、超音波検査で場所を確かめることもあります。
土や錆で汚れた傷の場合は、破傷風の予防接種をいつ受けたかを確認します。子どもの頃に定期接種を受けていても、最後の接種から年数がたっていると追加の接種を勧めることがあります。母子手帳などで確認しておくと、スムーズです。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 小さいとげは放っておいても出てきますか? | 浅く小さいものは、自然に出てくることもあります | ただし赤み・腫れ・痛みが強くなってきたら、化膿しているサインなので受診を |
| 抜いたあと消毒液は必要ですか? | 流水でしっかり洗えば、消毒液は必須ではありません | 洗い流すことが感染予防の中心で、強い消毒液は傷の治りを遅らせることもあるためです |
| 途中で折れて一部が残ったかもしれません | 痛み・異物感が続くなら受診してください | 残った破片が化膿やしこりの原因になるためです |
| 子どもが怖がって抜かせてくれません | 無理に押さえつけて掘らず、受診してください | 動いたはずみに傷が深くなるためです。浅いものならテープで取れることもあります |
受診の目安
- 受診を — 端が見えない、2〜3回試しても取れない
- 受診を — ガラス・金属・爪の下・関節の近く
- 受診を — 痛みや異物感が数日たっても続く、しこりが残った
- 早めの受診を — 土や錆で汚れていて、破傷風の予防接種から年数がたっている、または分からない
- 早めの受診を — 赤み・腫れ・熱感・膿が出てきた、ズキズキ痛む
- すぐに受診を — 赤みが線状に広がる、発熱がある、指が動かしにくい・しびれる
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-23)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-23)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

