「顔のできものが、タオルでふいたら血が出た」「指にできた赤いポツッとしたものから、何度も出血する」「かさぶたがはがれては、また血がにじむ」。できものから血が出ると驚きますが、出血しやすいこと自体は、良性のできものでもよく見られる特徴です。大切なのは「どんなできものが、どんなふうに出血しているか」です。
できものから出血する仕組み
できものが出血しやすくなる理由は、大きく分けて2つあります。
- できものの中に細い血管がたくさん集まっている — 化膿性肉芽腫や血管腫は、血管が増えてできたできものです。表面の皮膚が薄いため、こすれたり引っかけたりするだけで出血します
- できものの表面の皮膚がもろく、治りきらない — 皮膚がんの一部では、表面の皮膚が正常に作られないため、小さな傷やただれが治りきらず、かさぶたと出血をくり返します
このほか、脂漏性角化症(老人性イボ)やウイルス性のイボ、ほくろなども、衣類やひげそり、爪でこすれて傷がつけば出血します。この場合は「こすった」というきっかけがはっきりしていて、一度きりで治まることが多いのが特徴です。
出血しやすいできものの見分け方
| できもの | 見た目・経過 | 出血のしかた |
|---|---|---|
| 化膿性肉芽腫 | 赤くつやのある、ぷっくりしたできもの。数週間で急に大きくなる。指・唇・顔に多く、けがや妊娠をきっかけにできることがある | 触れただけで出血し、なかなか止まりにくい(関連記事: 化膿性肉芽腫) |
| 老人性血管腫(赤いほくろ) | 数mmの鮮やかな赤い点。体幹に多く、年齢とともに増える | ふだんは出血しない。ひっかけたときに出血する(関連記事: 赤いほくろ) |
| 基底細胞がん | 黒〜灰色で、ふちが少し盛り上がった光沢のあるできもの。年単位でゆっくり大きくなる。顔に多い | 中央がただれて、かさぶた→出血をくり返す(関連記事: 基底細胞がん) |
| 有棘細胞がん | 赤く硬いできもので、表面がかさかさ・ただれる。日光によく当たる場所や古いやけどの跡に多い | ただれから出血し、においを伴うこともある(関連記事: 有棘細胞がん) |
| メラノーマ | 形がいびつで色むらのある黒いできもの、または急に大きくなるほくろ | 進行すると表面がくずれて出血することがある(関連記事: メラノーマ) |
| 脂漏性角化症・イボ・ほくろ | 茶色いざらざらしたできもの、硬いイボ、長年変わらないほくろ | こすったときの一度きり。傷が治れば元に戻る |
特に注意したいのは「4週間以上たっても治らない、かさぶたと出血をくり返す傷やできもの」です。ふつうの傷であれば数週間でふさがるため、治らないこと自体が、皮膚の中で何かが起きているサインになります(関連記事: 治らない傷・かさぶた)。
出血したときの止め方
清潔なガーゼやティッシュで、出血している場所を指でしっかり10分ほど押さえ続けてください。途中で何度も離して確かめると、固まりかけた血がはがれて、また出血するためです。
- 止まったら、水道水でやさしく洗い、ガーゼや絆創膏で保護する
- 化膿性肉芽腫は血管が多く、10分以上押さえても止まりにくいことがある。20〜30分押さえても止まらない場合は、押さえたまま医療機関へ
- 自分で切り取ったり、糸でしばったりしない。予想以上に出血したり、感染したりするうえ、診断のための検査ができなくなるためです
血をさらさらにする薬を飲んでいる方は、止まりにくいことがあります。自己判断で薬をやめず、処方している医師に相談してください。
皮膚科での診断と治療
皮膚科では、まず見た目と経過を確認し、ダーモスコピー(拡大鏡)で内部の色や血管の形を観察します。見た目だけで判断しきれない場合は、できものの一部または全部を取って、顕微鏡で調べる検査(病理検査)を行います(関連記事: ダーモスコピー検査/皮膚生検)。
| できもの | 主な治療 |
|---|---|
| 化膿性肉芽腫 | 根元から切り取る手術、液体窒素・レーザーなど。取り残すと再発しやすいため、根元の処置が大切 |
| 老人性血管腫 | 良性なので必ずしも治療は要らない。出血をくり返す・気になる場合は切除やレーザー |
| 皮膚がん | 周囲の正常な皮膚を含めて切除する手術が基本。早期に見つかれば、小さな手術で済むことが多い |
取ったできものは、原則として病理検査で良性か悪性かを確かめます。見た目が典型的な良性のできものでも、確認しておくことで安心につながります。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 出血するできものは、がんですか? | いいえ、出血するできものの多くは良性です | 血管の多い良性のできものは出血しやすいためです。ただし、かさぶたと出血をくり返すものは確認が必要です |
| 止まったので、様子を見てもいいですか? | 一度きりで、こすったきっかけがはっきりしていれば様子を見てよいことが多いです | ただし、2回以上くり返す・大きくなる場合は受診してください |
| 絆創膏を貼っておけば治りますか? | 傷は保護できますが、できものそのものは治りません | 出血の原因であるできものが残るためです |
受診の目安
- 早めの受診を — かさぶた→出血を4週間以上くり返す、治らない傷やできもの
- 早めの受診を — 数週間〜数か月で大きくなるできもの、色や形がいびつな黒いできもの
- 受診を — 触れるだけで出血する赤いできものがある(化膿性肉芽腫など)
- 受診を — 血をさらさらにする薬を飲んでいて、できものからの出血が止まりにくい
- すぐに医療機関へ — 30分押さえても出血が止まらない。夜間などで迷ったときは救急安心センター(#7119)に相談してください
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-09-25)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ホクロ(確認日: 2026-09-25)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン(確認日: 2026-09-25)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

