DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
「素手で漂白剤を使っていたら、指先がヌルヌルしてヒリヒリしてきた」「セメント作業で、ひざをついていたところが赤くただれた」「灯油がこぼれたズボンをはいたままでいたら、太ももが赤くなった」。化学熱傷は、熱いものによるやけどと違い、触れた直後は痛みが少ないことがあるため、気づくのが遅れがちです。
目次
化学熱傷とは(なぜ薬品で皮膚が傷むのか)
化学熱傷は、酸性やアルカリ性の強い薬品などが皮膚のたんぱく質を傷めて起こる、やけどの一種です。家庭や職場で起こりやすい原因には、次のようなものがあります。
| 原因 | 身近な例 | 特徴 |
|---|---|---|
| アルカリ性のもの | 塩素系の漂白剤・カビ取り剤、パイプ用洗剤、油汚れ用の強力洗剤、生コンクリート・セメント | 皮膚の奥までしみ込みやすく、傷みが深くなりやすい。触るとヌルヌルする |
| 酸性のもの | トイレ用の酸性洗剤、さび取り剤 | 表面で傷みが止まりやすいが、濃いものは深いやけどになる |
| 灯油・ガソリン | 灯油がしみた服を着たままでいる | 付いた直後は気づかず、数時間たって赤み・水ぶくれが出る |
アルカリ性のものは、痛みが軽くても皮膚の奥で傷みが進んでいることがあるので、見た目が軽くても油断しないでください。
症状と見分け方
- 薬品が付いたところのヒリヒリ・赤み・かゆみ
- 水ぶくれ、皮膚がむける、ただれる
- 深い場合は、皮膚が白っぽく、または黒っぽく変色し、かえって痛みを感じにくくなる
- 薬品の種類や、付いていた時間によって、あとから症状が強くなることがある
| 考えられるもの | 特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 化学熱傷 | 薬品が付いたところに、ヒリヒリ・ただれ・水ぶくれ | 付いてから短い時間で症状が出る。1回でも起こる |
| かぶれ(刺激性接触皮膚炎) | 洗剤などをくり返し使ううちに、手が赤くカサカサする | ゆっくり起こる(関連記事: かぶれ/手湿疹) |
| アレルギー性のかぶれ | 付いてから1〜2日後に、かゆい湿疹が広がる | 付いた範囲より広がることがある(関連記事: かぶれ) |
応急処置と治療
いちばん大切なのは、すぐに、たっぷりの水で、時間をかけて洗い流すことです。薬品が皮膚に残っている間は、傷みが進み続けるためです。
- 薬品の付いた服・手袋・靴・アクセサリーを外す — 服にしみた薬品が皮膚に触れ続けるのを防ぐため。自分の手に付かないよう注意する
- 粉状のもの(乾いたセメントなど)は、先に払い落とす — そのあと水で洗い流す
- 水道水で洗い流す — 少なくとも15分以上、アルカリ性のものはさらに長めに。ヌルヌルした感じがなくなるまで続ける
- こすらない — 傷んだ皮膚をさらに傷つけるため
- 洗ったあとは、清潔なガーゼやラップで覆って受診する — 薬品の容器や、商品名がわかるラベルの写真を持参する
酢や重曹などで「中和」しようとしないでください。中和するときに熱が出て、かえってやけどが深くなることがあるためです。水で洗い流すのがいちばん安全です。
受診後の治療は、熱によるやけどと同じように、傷の深さに応じて塗り薬や被覆材(傷を覆う保護材)で治していきます(関連記事: やけどの応急処置)。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 目に入ったときは、どうすればいいですか? | すぐに水道水で洗い続けながら、眼科か救急を受診してください | アルカリ性の薬品は、目に深い傷を残すことがあるためです。コンタクトレンズは外せるなら外し、まぶたを開いて洗ってください |
| 痛みが引いたら、受診しなくてもいいですか? | 赤みやただれが残るなら受診してください | アルカリ性のものは、痛みが軽くても深く傷んでいることがあるためです |
| 予防するには? | ゴム手袋・長袖・保護メガネを使い、薬品を混ぜないでください | 塩素系と酸性の洗剤を混ぜると、有毒なガスが発生して危険なためです。セメント作業では、ひざをつかず、しみた服はすぐに着替えてください |
受診の目安
- 受診を — 洗い流したあとも、赤み・ヒリヒリが続く
- 早めの受診を — 水ぶくれができた、皮膚がむけた、ただれている
- 早めの受診を — 皮膚が白っぽい・黒っぽい、痛みを感じにくい(深いやけどの可能性)
- すぐに受診を — 顔・手・陰部など大切な部位の化学熱傷、範囲が広い場合
- すぐに救急へ — 目に入った、薬品を吸い込んで息苦しい、飲み込んだ場合は119番へ。判断に迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談してください。子どもの誤飲・誤用は小児救急電話相談(#8000)も利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
やけどの応急処置は?冷やす時間・水ぶくれの扱い方と、すぐ受診すべき深さ・広さの目安一般皮膚科仕事で手が荒れる(職業性皮膚炎)|美容師・医療・調理・保育に多い原因と、辞めずに治す手立て一般皮膚科皮膚の症状で「今すぐ受診」すべきサインは?|救急・当日・翌日以降の分け方を医師目線で整理一般皮膚科
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A かぶれ(確認日: 2026-09-26)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-26)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

