口唇ヘルペスと口内炎の違いは?唇の水ぶくれか口の中の白い潰瘍かの見分け方と、うつるかどうか・薬を始めるタイミング

口唇ヘルペスと口内炎の違いは?唇の水ぶくれか口の中の白い潰瘍かの見分け方と、うつるかどうか・薬を始めるタイミング
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年9月29日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「口のまわりが痛い。口内炎だと思っていたけれど、ヘルペスと言われた」「唇にできたものが、人にうつるのか心配」。どちらも口元にできて痛むため混同されやすいのですが、原因も、うつるかどうかも、治療のタイミングも違います。見分けるポイントは「どこにできたか」と「どんな形か」です。

目次

口唇ヘルペスと口内炎とは(仕組み)

口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによる感染症です。一度感染するとウイルスは神経の奥にひそみ続け、疲れ、かぜ、発熱、強い紫外線、生理、ストレスなどで体の抵抗力が落ちたときに目を覚まして、同じ場所に水ぶくれをつくります。水ぶくれの中にはウイルスがいるため、人にうつります。

アフタ性口内炎は、口の中の粘膜にできる浅い潰瘍(ただれ)です。原因ははっきりしないことが多く、疲れや睡眠不足、ストレス、口の中を噛んだ傷、ビタミン不足などが関係すると考えられています。ウイルスや細菌がうつって起こるものではないため、人にはうつりません。多くは1〜2週間で自然に治ります。

症状・見分け方(口唇ヘルペスと口内炎の比較)

見るポイント 口唇ヘルペス アフタ性口内炎
できる場所 唇と皮膚の境目、口のまわりの皮膚側、鼻の下 口の中(頬の内側、舌、歯ぐき、唇の内側)
形 小さな水ぶくれが数個かたまって出る。やがて破れてかさぶたに 白〜黄色の丸い潰瘍で、まわりが赤く縁取られる
前触れ 出る前日ごろに、ピリピリ・ムズムズ・熱っぽい感じ 特にないことが多い
くり返し方 毎回ほぼ同じ場所に出る 場所は毎回ちがう
人にうつるか うつる(水ぶくれ〜かさぶたの時期は特に) うつらない
治るまで 1〜2週間ほど 1〜2週間ほど

いちばん確実な手がかりは「皮膚側か、口の中か」です。唇の赤い部分と皮膚の境目や、その外側の皮膚に水ぶくれが出るのはヘルペスに典型的で、口の中の粘膜に白い潰瘍ができるのは口内炎に典型的です。ただし、初めてヘルペスにかかったときは口の中にも症状が出ることがあり、例外もあります。

子どもで気をつけたい口の病気

ヘルペス性歯肉口内炎は、小さな子どもが初めて単純ヘルペスウイルスに感染したときに起こりやすい病気です。高い熱が出て、歯ぐきが赤く腫れて出血しやすくなり、口の中や唇に多数の水ぶくれ・ただれができます。痛みで食べたり飲んだりできなくなることがあるのが特徴です。

手足口病は、夏に流行しやすいウイルス感染症で、口の中の小さな潰瘍に加えて、手のひら・足の裏・おしりなどに小さな水ぶくれが出ます。口の中だけでなく手足も見ると見分けやすくなります。

どちらの場合も、子どもは口の痛みで水分がとれなくなると脱水になりやすいので、おしっこの回数が減った、ぐったりしている、といった様子があれば早めに受診してください。夜間や休日で迷う場合は、子ども医療電話相談(#8000)や救急安心センター(#7119)に相談できます。

治療・セルフケア

口唇ヘルペスの治療は、抗ヘルペスウイルス薬(ウイルスが増えるのを抑える薬)の飲み薬か塗り薬です。この薬はウイルスを消すのではなく増殖を止めるものなので、始めるのが早いほど効果が高く、水ぶくれが出そろってからでは効きが弱くなります。ピリピリした前触れを感じた時点、遅くとも水ぶくれが出てすぐに始めるのが理想です。

年に何度もくり返す方には、前触れを感じたらすぐ飲めるよう、あらかじめ薬を処方しておく方法もあります。受診を待つ間に時間がたってしまう問題を減らせるため、再発の多い方には現場でよく使われています。市販薬では、以前に医師から口唇ヘルペスと診断された方の再発に限って使える塗り薬(アラセナSなど)があります。

アフタ性口内炎は自然に治ることが多いものの、痛みが強い場合は、口の中に使えるステロイドの塗り薬や貼り薬で炎症と痛みを和らげます。市販品では口内炎用の貼り薬・塗り薬(トラフルシリーズなど)が代表的です。しみる食べ物(辛いもの・酸っぱいもの)を避け、うがいで口の中を清潔に保つと治りを助けます。

注意したいのは、ヘルペスにステロイドを塗らないことです。ステロイドは皮膚の免疫を抑えるため、ウイルスが増えて悪化することがあります。口元のできものに手持ちの塗り薬を使う前に、どちらなのかを確かめましょう。

受診の目安

  • 唇や口のまわりに初めて水ぶくれが出た(診断をつけておくと、次からの対応が早くなります)
  • ヘルペスを年に何度もくり返す
  • 水ぶくれが顔の広い範囲に広がる、目の近くにできた
  • 口内炎が2週間以上治らない、同じ場所にくり返す、数が多い
  • 高い熱を伴う、食事や水分がとれない

2週間以上治らない口の中の潰瘍は、ほかの病気が隠れていないか確かめるため、歯科・口腔外科や耳鼻咽喉科、皮膚科で一度診てもらってください。アトピー性皮膚炎がある方で、顔に水ぶくれが急に広がり熱が出た場合は、早めの受診が必要です。

よくある質問

口唇ヘルペスのとき、家族と食器やタオルを分けるべきですか?

水ぶくれやかさぶたがある間は、コップ・箸・タオルの共用や、キス・頬ずりは避けてください。特に赤ちゃんやアトピー性皮膚炎の家族にはうつさないよう注意が必要です。触った手はよく洗いましょう。

ヘルペスが出ているとき、マスクや口紅は使ってもいいですか?

マスクは使って大丈夫で、患部を触らないためにも役立ちます。口紅やリップクリームは患部に触れたものを他人と共用しないこと、治るまでは患部に塗らないことをおすすめします。刺激で悪化したり、ウイルスが付いたりするためです。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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