「陰部に赤紫の小さい点が増えてきて、性感染症ではないかと心配」「足に黒いブツブツができて、こすると血が出た」。被角血管腫は、皮膚の浅いところの細い血管が広がってできる良性のできものです。場所や色のために不安になりやすいのですが、多くは治療を急ぐ必要のないものです。
被角血管腫とは(仕組み)
皮膚のすぐ下にある細い血管(毛細血管)が広がって、血液がたまった小さなふくらみになり、その上の皮膚の表面が少し厚く硬く(角化)なったものです。「血管の腫れ」+「表面の角化」なので、被角血管腫と呼ばれます。
血液の色が透けるため、赤〜紫〜黒っぽく見えます。中の血液が固まる(血栓ができる)と、急に黒く見えることがあります。ウイルスや細菌によるものではないため、性行為や接触でうつることはありません。
症状・見分け方(タイプ別)
| タイプ | できやすい人・場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 陰嚢・外陰部型 | 中高年の陰嚢、女性の外陰部 | 赤紫の1〜数mmの粒が多数。年齢とともに増えやすい。もっともよくみられる |
| 単発型 | 若い人の足・すね | 1個だけ、数mm〜1cm。黒っぽく見えることが多い |
| 指趾型(ミベリ型) | 子ども〜思春期の手足の指 | しもやけをくり返す人にできやすい |
| 母斑型 | 生まれつき・幼少期の手足・体幹 | 赤紫の粒が帯状・かたまりで集まる |
似て見えるものとの違いは次のとおりです。
- 尖圭コンジローマ: 陰部にできるウイルス性のイボ。肌色〜茶色で、表面がカリフラワー状にでこぼこする。性行為でうつる
- 老人性血管腫(赤いほくろ): 体幹に多い、鮮やかな赤いつるっとした粒。表面は硬くならない
- ほくろ・メラノーマ: 黒〜茶色。メラノーマは形がいびつで色むらがあり、大きくなる
とくに足にできた黒い単発の被角血管腫は、見た目がメラノーマと似ることがあります。ダーモスコピー(拡大鏡)で血管の模様を確認するか、取って病理検査で確かめます。
また、ごくまれに、お腹からお尻・太ももにかけて多数の被角血管腫が出て、汗が出にくい、手足の焼けるような痛みを伴う場合は、ファブリー病という全身の病気が隠れていることがあります。心当たりがあれば診察時に伝えてください。
治療
良性なので、症状がなければ治療しなくても問題ありません。出血をくり返す、見た目が気になる、悪性との区別が必要、という場合に治療します。
- 切除: 1個だけのもの、黒くて悪性との区別が必要なものに。病理検査で確定できます
- 電気凝固・炭酸ガスレーザー: 小さいもの、数が多いものに。局所麻酔をして焼いて取ります
- 血管に反応するレーザー: 赤いタイプに使われることがあります
陰嚢の被角血管腫は数が多く、取っても新しいものが出てくることがあるため、出血して困るものだけを治療する、という考え方もあります。
受診の目安
- 陰部の赤紫のブツブツが増えてきて、病気かどうか確かめたい
- 足や体に黒いできものがあり、ほくろか分からない
- こすれて出血をくり返す
- 急に黒く変わった、大きくなってきた
- ブツブツが多数あり、汗が出にくい・手足の痛みもある
よくある質問
パートナーにうつりますか?
うつりません。血管が広がってできたもので、感染症ではありません。ただし、陰部には感染症によるできものもあるため、自己判断せず一度診察で確認すると安心です。
出血したときはどうすればいいですか?
清潔なガーゼで5〜10分ほどしっかり押さえると、多くは止まります。止まりにくい、何度も出血する場合は受診してください。
市販のイボの薬は使えますか?
使わないでください。イボの薬は皮膚をふやかして取るもので、血管のできものには効果が期待できず、陰部ではただれの原因になります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ホクロ(確認日: 2026-09-30)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-09-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

