「生まれたときから、眉毛の端にコロッとしたしこりがある」「少しずつ大きくなってきた気がする」「押しても痛がらないけれど、このままで大丈夫?」。皮様嚢腫は子どもの頭や顔にできるしこりの中で比較的よくみられるもので、多くは良性です。ただし、場所によっては事前の検査が必要になることがあるため、仕組みと受診の目安を知っておくと安心です。
皮様嚢腫とは(仕組み)
お腹の中で赤ちゃんの顔ができていくとき、皮膚になる組織が合わさる「つなぎ目」があります。このつなぎ目に皮膚の一部が入り込んで取り残され、皮膚の下で小さな袋になったものが皮様嚢腫です。
袋の内側は皮膚と同じつくりをしているため、中には角質(あか)や皮脂、ときには毛がたまっていきます。そのため、年月とともにゆっくり大きくなります。生まれつきのものですが、小さいうちは気づかれず、成長してから見つかることもあります。
症状・見分け方
- できやすい場所: 眉毛の外側(目じりの上)がもっとも多く、ほかに眉間、鼻筋、頭、耳のまわりなど
- 大きさ: 数mm〜2cm程度の丸いしこり
- 触った感じ: やや硬く、皮膚の色は変わらないことが多い。下の骨にくっついていて、あまり動かないことがある
- 痛み: ふつうはない
| 子どもの顔・頭のしこり | 特徴 |
|---|---|
| 皮様嚢腫 | 生まれつき。眉毛の外側に多い。硬めで動きにくい |
| 石灰化上皮腫 | 顔・首・腕に多い。石のように硬く、表面がでこぼこ。皮膚が青白く透けることがある |
| 粉瘤 | 中央に黒い点(開口部)があることが多い。子どもでは比較的少ない |
| リンパ節の腫れ | 首・耳の後ろ・あごの下。かぜのあとに腫れて、数週間で小さくなることが多い |
治療(手術の時期と方法)
皮様嚢腫は、薬で小さくしたり自然に消えたりすることは基本的にないため、治療は手術で袋ごと取り除くことになります。
- 時期: 小さく変化がなければ急ぐ必要はなく、局所麻酔でじっとしていられる年齢まで待つことも、全身麻酔で乳幼児期に取ることもあります。大きくなるほど傷も大きくなるため、成長の具合と本人・家族の負担を考えて医師と相談して決めます
- 方法: しこりの上か、目立ちにくい眉毛の中などを切開し、袋を破らないように取り出します。袋が残ると再発しやすくなるためです
- 病理検査: 取り出したものは顕微鏡で調べ、診断を確かめます
🔴 鼻筋・眉間・頭の真ん中など、体の中心線上にあるしこりは、まれに骨の奥(頭の中)までつながっていることがあります。このような場所の場合は、手術の前にCTやMRIで深さを確認するのが一般的です。自己判断で針を刺したり、つぶしたりしないでください。
受診の目安
- 子どもの顔や頭に、生まれつき、または気づいたときからしこりがある
- しこりが少しずつ大きくなっている
- 鼻筋・眉間など顔の中心にしこりや小さな穴がある、穴から毛が出ている
- しこりが急に赤く腫れて痛がる(中で炎症を起こしている可能性)
赤く腫れて熱が出ている、目のまわりまで腫れが広がっているなどの場合は、早めに受診してください。夜間・休日で迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)に相談できます。
よくある質問
放っておくとどうなりますか?
多くはゆっくり大きくなります。ぶつけたときなどに袋が破れて炎症を起こすと、赤く腫れて痛み、あとの手術が難しくなることがあります。そのため、経過を見る場合も、しこりを強く押したりもんだりしないようにしましょう。
傷あとは目立ちますか?
顔の手術では、しわの向きや眉毛の生え際に合わせて切開するなど、傷が目立ちにくくなる工夫をします。子どもの傷は成長とともに目立たなくなっていくことが多いですが、残り方には個人差があります。
何科を受診すればいいですか?
皮膚科・形成外科・小児外科などで相談できます。まずは皮膚科で診断をつけ、手術の方法や麻酔の必要に応じて、適した医療機関を紹介してもらう流れも一般的です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-30)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 粉瘤(確認日: 2026-09-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

