「指の爪の横に、硬いザラザラができた」「ささくれだと思っていたら、どんどん大きくなってきた」「液体窒素に何度か通ったけれど、なかなか取れない」。爪のまわりのイボは、とくに爪をかむ癖やささくれをむく癖のある方、子どもに多くみられます。
爪のまわりのイボとは(仕組み)
イボは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、皮膚の小さな傷から入り込んで、皮膚の細胞を増やすことでできます。
爪のまわりは、ささくれ・爪かみ・深爪・甘皮の処理などで、小さな傷ができやすい場所です。そのため、イボのウイルスが入り込みやすく、一度できると、いじるたびにとなりの指や爪の反対側へ広がっていきます。
さらに、爪のまわりのイボは、ほかの場所より治りにくいことが知られています。
- 爪の下や、爪と皮膚のすき間にもぐり込んで広がるため、治療が届きにくい
- 指先は皮膚の角質が厚く、治療の効きが弱くなりやすい
- いじる癖があると、治っても再び傷からウイルスが入る
症状・見分け方
爪のまわりに、表面がザラザラ・ゴツゴツした硬いもり上がりができます。色は皮膚と同じか、やや白っぽい灰色です。痛みはあまりありませんが、爪の下に広がると爪が持ち上がったり、ひび割れて痛むことがあります。
| 考えられるもの | 特徴 |
|---|---|
| 爪のまわりのイボ | ザラザラ硬いもり上がり。削ると小さな黒い点(出血)が見える。増えることがある |
| ささくれ | 皮がめくれて浮いている。数日で治る |
| ひょう疽・爪囲炎 | 赤く腫れて痛い、膿がたまる。急に出る |
| 粘液嚢腫 | 指の第一関節の近くにできる、つやのある透明っぽい丸いもり上がり |
| 皮膚の悪性腫瘍(有棘細胞がんなど) | 中高年で1か所だけ、治療しても治らず、ただれや出血をくり返す |
中高年の方で、1本の指だけに長く治らないイボのようなものがある場合は、まれに悪性の腫瘍が紛れていることがあります。治療を続けても変化がない場合は、組織を少しとって調べることもあります。
治療・セルフケア
治療の中心は液体窒素による冷凍凝固療法です。マイナス196度の液体窒素でイボを凍らせ、ウイルスに感染した皮膚を壊して、新しい皮膚に入れ替えていきます。1〜2週間ごとに繰り返し、爪のまわりのイボでは数か月かかることも珍しくありません。
爪のまわりは神経が多く、液体窒素の治療で痛みが強く出やすい場所です。治療後に水ぶくれや血豆ができることがありますが、治る過程でみられる反応です。
液体窒素だけで治りにくい場合は、次のような治療を組み合わせます。
- ヨクイニン(ハトムギの成分)の飲み薬: 保険で使える漢方由来の薬で、とくに子どもや多発する場合に併用します
- 角質をやわらかくする塗り薬・貼り薬: 厚い角質を取り除き、液体窒素を効きやすくします
- そのほかの治療: 医療機関によってはレーザーなどを行うこともあります
治療と同じくらい大切なのが、いじらないことです。
- イボをかじる・むしる・爪切りで切らない: 傷からウイルスが広がり、数が増える原因になります
- 爪かみ・ささくれむきの癖を減らす: 新しい傷ができるたびに、ウイルスが入り込むすき間になるためです
- 手荒れを防ぐ: 保湿して皮膚のひび割れを防ぐと、ウイルスが入りにくくなります
受診の目安
- 爪のまわりにザラザラしたもり上がりができた
- 数が増えている、となりの指にも広がってきた
- 爪が持ち上がる、爪の形が変わってきた
- 市販薬を使っても変化がない
- 中高年で、1か所だけ長く治らず、出血やただれをくり返す
イボは小さく数が少ないうちほど治療が短くすみます。「そのうち取れるだろう」と様子を見ている間に広がることが多いので、気づいたら早めに相談してください。
よくある質問
液体窒素はどのくらい痛いですか?
冷たさと、ジーンとした痛みがあり、爪のまわりはほかの場所より痛みを感じやすい部位です。治療後、数時間ほどズキズキすることがあります。子どもで痛みが強い場合は、弱めに当てる、飲み薬を中心にするなど、続けられる方法を相談しながら決めます。
家族にうつりますか?
うつることはありますが、健康な皮膚にすぐうつるものではありません。タオルを分ける必要まではありませんが、イボを触った手で、ほかの傷のある場所を触らないようにしましょう。
市販のイボの薬で治りますか?
市販の角質をやわらかくする薬は、爪のまわりのように皮膚が薄くて入り組んだ場所には使いにくく、まわりの皮膚がただれることがあります。とくに子どもは、自己判断で使わず受診をおすすめします。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A イボとミズイボ、ウオノメとタコ(確認日: 2026-10-01)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 爪(確認日: 2026-10-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

