「すねにできたニキビのようなものを潰したら、どんどん穴が大きくなった」「抗菌薬を飲んでいるのに傷が広がる」「傷の大きさに比べて痛みがとても強い」。壊疽性膿皮症は頻度の高い病気ではありませんが、こうした経過で見つかることがあります。
壊疽性膿皮症とは(仕組み)
壊疽性膿皮症は、白血球の一種である好中球(こうちゅうきゅう)が皮膚に集まりすぎて、皮膚を内側から壊してしまう病気です。膿(うみ)のように見えるものが出るため「膿皮症」という名前がついていますが、細菌が原因ではありません。体の免疫の反応が過剰に働いている状態と考えられています。
単独で起こることもありますが、次のような病気と一緒に起こることが知られています。
- 潰瘍性大腸炎・クローン病(炎症性の腸の病気)
- 関節リウマチなどの関節の病気
- 血液の病気
特徴的なのが、「傷がきっかけで悪化する」性質です。小さなけがや、針を刺した場所、手術の傷あとから始まることがあります。
症状・見分け方
はじめは、ニキビ・虫刺され・小さな膿のブツブツのように見えます。それが数日のうちに破れて潰瘍になり、外側へ広がっていきます。
- すね・足にいちばん多い(お腹・お尻などにもできる)
- 潰瘍のふちが紫色〜暗い赤色で、少し盛り上がっている
- ふちが内側にえぐれるように掘れている
- 見た目以上に痛みが強い
- 抗菌薬を使っても広がる
| 病気 | 原因 | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 壊疽性膿皮症 | 免疫の過剰な反応 | ふちが紫色で掘れている。強い痛み。抗菌薬が効かない |
| 細菌感染(蜂窩織炎・せつ等) | 細菌 | 赤く腫れて熱をもつ。抗菌薬で改善する |
| うっ滞性潰瘍 | 足の静脈の血流の滞り | くるぶし周り。足のむくみや静脈瘤がある。痛みは比較的軽い |
| 皮膚がん | 腫瘍 | ふちが硬く盛り上がる。長い時間をかけてゆっくり広がる |
壊疽性膿皮症には「これがあれば確定」という検査がありません。皮膚科では、細菌の検査や皮膚の一部を取る検査で、ほかの病気ではないことを確かめながら診断します。
治療
治療の中心は、免疫の働きを抑える薬です。範囲が狭い場合はステロイドの塗り薬やタクロリムスの塗り薬(適応外)、広がっている場合はステロイドの飲み薬が基本になります。効果が不十分なときは、免疫抑制薬や、注射の生物学的製剤を使うこともあります。
大切なのは、傷を切ったり削ったりしないことです。普通の傷なら壊死した部分を取り除くことがありますが、壊疽性膿皮症では刺激がかえって潰瘍を広げることがあります。処置は皮膚科医の判断のもとで、やさしく行います。
傷の手当ては、潰瘍を乾かしすぎず、こすらないように保護するのが基本です。腸や関節の病気が一緒にある場合は、その病気の治療も並行して進めます。
受診の目安
- 小さな傷やブツブツが、数日で大きな潰瘍になった
- 抗菌薬を使っているのに、傷が広がっていく
- 傷の大きさに比べて、痛みがとても強い
- 潰瘍性大腸炎・クローン病・関節リウマチがあり、足に治りにくい傷ができた
高熱がある、赤みが急速に広がる、ぐったりしているといった場合は、重い感染症の可能性もあるため、その日のうちに受診してください。迷うときは救急安心センター(#7119)に相談できます。
よくある質問
傷口はシャワーで洗ってもいいですか?
基本的には洗って構いません。こすらずに、ぬるめのシャワーで流す程度にしてください。強くこすったり消毒液を何度も使ったりすると、刺激で悪化することがあります。
人にうつりますか?
うつりません。細菌の感染ではないため、家族と同じお風呂やタオルを使っても問題ありません。
傷あとは残りますか?
潰瘍が深いと、治ったあとに薄い傷あとが残ることが多いです。早く治療を始めるほど潰瘍の広がりを抑えやすいため、傷あとも小さく済む傾向があります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-03)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-03)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

