「顔に黒いポツッとしたものが増えてきた」「足の裏に黒い点がある」「黒いできものがひっかかって血が出た」。黒い色は不安を感じやすい色ですが、黒く見える理由は「メラニン(肌の色素)が多い」「血液がたまっている」「表面の角質が厚く色づいている」などいくつかあり、その多くは良性です。大切なのは、まれに混じる皮膚がんを見逃さないことです。
黒く見えるできものの仕組み
皮膚の色は、表皮(いちばん外側の層)の底にある色素細胞が作るメラニンで決まります。色素細胞が一か所に集まって増えるとほくろに、表皮の細胞が厚く盛り上がって色づくと脂漏性角化症に、皮膚の浅いところに血液がたまると血豆や血管のできものになり、それぞれ黒っぽく見えます。
症状・見分け方
診察室で見ることの多い順に並べると、次のようになります。
| できもの | 見た目の特徴 | できやすい人・場所 | 注意度 |
|---|---|---|---|
| 脂漏性角化症(老人性イボ) | 茶色〜黒の平たい盛り上がり。表面がザラザラし、貼りつけたように見える | 40代以降。顔・首・背中・胸 | 良性 |
| ほくろ(色素性母斑) | 形が丸く、色が均一。平らなものも盛り上がったものもある | 年齢を問わない | 良性 |
| 血豆・血腫 | 赤黒〜黒。ぶつけた・はさんだ心当たりがある | 指・足の裏・爪の下 | 良性(爪の下は経過を見る) |
| 被角血管腫・静脈湖 | 暗い赤〜紫黒色の小さな粒。押すと色が薄くなることも | 足・陰部・唇 | 良性 |
| 青色母斑 | 青みがかった黒の、小さく硬めの点 | 手の甲・顔・腰 | 良性 |
| 基底細胞癌 | 黒い光沢のある盛り上がりで、縁に小さな粒が並ぶ。中央がくぼんだり、ただれて治らない | 高齢の方の顔(とくに鼻・まぶたの周り) | 受診が必要 |
| メラノーマ(悪性黒色腫) | 形がいびつ、色がまだら、輪郭がにじむ。短い期間で大きくなる | 日本人では足の裏・手のひら・爪に多い | 早めの受診が必要 |
メラノーマを見分ける目安として、次の5つが知られています。当てはまるものがあれば受診してください。
- 形が左右対称でない
- 輪郭がギザギザ、またはにじんでいる
- 色が均一でなく、濃淡がまだら
- 直径がおおむね6mmを超える
- 大きさ・形・色が変化している(いちばん大事なサインです)
検査と治療
皮膚科ではまず、ダーモスコピーという光を当てて拡大する器具で観察します。痛みはなく数分で終わり、色素の並び方から良性か、詳しく調べるべきかの見当をつけることができます。判断がつかないもの、悪性が疑われるものは、一部または全部を切り取って顕微鏡で調べる検査(病理検査)を行います。
- 脂漏性角化症: 良性なので必ずしも取る必要はありませんが、気になる・ひっかかる場合は液体窒素(冷凍凝固)や切除などで取ることができます
- ほくろ: 良性と判断できれば経過観察でかまいません。見た目が気になる場合や、診断を確定したい場合は切除します
- 悪性が疑われるもの: 周りの皮膚を含めて切除し、病理検査で確定します。必要に応じて専門施設へ紹介します
見た目がよく似た良性と悪性を、写真や自己判断だけで区別することはできません。「たぶん大丈夫」と思っても、一度診てもらって良性と分かれば、それ以降は安心して経過を見られます。
受診の目安
- 上の5つの目安のどれかに当てはまる
- 足の裏・手のひら・爪に、新しく黒いものが出てきた、または爪に黒い線が現れて太くなってきた
- 出血する、ジクジクする、かさぶたを繰り返して治らない
- 40歳を過ぎてから急に新しいほくろのようなものが出てきた
- 周りの人に「前より大きくなった」と言われた
診察室でよく聞かれる質問
自分で経過を見るには、どうしたらいいですか?
スマートフォンで、定規や硬貨を横に置いて同じ距離・同じ明るさで写真を撮っておくのがおすすめです。数か月おきに見比べると、変化があるかどうかを客観的に判断でき、受診したときにも診断の助けになります。
ほくろを触ったり、ひっかいたりするとがんになりますか?
触ったりひっかいたりしたことが原因で、良性のほくろががんに変わることはないと考えられています。ただし、何度もひっかかって出血する場所にあるものは、診断の意味も含めて取ってしまうのも一つの方法です。
市販のイボ取りやお灸で取ってもいいですか?
おすすめしません。中に悪性のものが混じっていた場合、検査ができないまま形が崩れ、診断が遅れてしまうためです。取るなら、一度診断を受けてから医療機関で取ってください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ホクロ(確認日: 2026-10-04)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A メラノーマ(確認日: 2026-10-04)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-10-04)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

