「家族に加齢臭を指摘された」「枕や服の襟のにおいが気になる」「自分のにおいが周りに迷惑をかけていないか不安」。においは自分では気づきにくく、人にも聞きにくい悩みです。皮膚から出るにおいの仕組みを知ると、何をすればよいかがはっきりします。
体臭が出る仕組み
汗や皮脂は、出たばかりの状態ではほとんどにおいません。においのもとになるのは、次のような変化です。
- 皮膚の常在菌による分解: 皮膚にふだんからいる菌が、汗や皮脂、はがれた角質を分解すると、においの成分ができます
- 皮脂の酸化: 皮脂に含まれる脂肪酸が空気に触れて酸化すると、独特のにおいの成分に変わります。年齢とともに増えるとされる「加齢臭」は、この皮脂の変化と関わるにおいで、ノネナールという成分が知られています
- 衣類への蓄積: 襟や脇の部分に残った皮脂は、洗濯で落としきれずに少しずつたまり、においの原因になります
においが出やすいのは、皮脂の多い場所(耳の後ろ・首の後ろ・背中の上の方・胸の中央・頭皮)と、汗がこもりやすい場所(わき・足・陰部)です。
においの種類・見分け方
| におい | 出やすい場所 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 加齢臭・脂っぽいにおい | 耳の後ろ、首の後ろ、背中、胸、枕 | 皮脂の酸化。中高年で目立ちやすい |
| 汗のすっぱいにおい | 全身、衣類 | 汗が菌に分解されてできる。運動後、汗をかいたまま放置したとき |
| わきの強い独特のにおい | わき | アポクリン汗腺(においのもとになりやすい汗を出す腺)の汗。ワキガ(腋臭症) |
| 足のにおい | 足の裏・指の間 | 靴の中の蒸れと菌。水虫などが重なることもある |
| 頭皮のにおい | 頭皮・髪 | 皮脂の多さ、すすぎ残し、脂漏性皮膚炎 |
まれに、体の病気でにおいが変わることがあります。甘ずっぱいにおい(糖尿病のコントロールが悪いとき)、アンモニアのようなにおい(腎臓や肝臓の病気)など、最近急ににおいが変わった、体調の変化も伴う場合は、内科で相談してください。
セルフケア
- においの出やすい場所を丁寧に洗う: 耳の後ろ・首の後ろ・背中は洗い残しの多い場所です。石けんを泡立て、手や柔らかいタオルで洗います。ナイロンタオルでゴシゴシこするのは避けてください。皮膚を傷めて乾燥し、かえって皮脂のバランスが崩れるためです
- 汗はこまめに拭く: かいた汗が菌に分解される前に、濡れたタオルやシートで押さえるように拭きます
- 衣類と寝具のにおいを落とす: 襟や脇は洗濯前に部分洗いをする、枕カバーはこまめに替える、部屋干しは乾くまでの時間を短くする(乾くのが遅いと菌が増えるため)
- 通気のよい素材を選ぶ: 汗を吸って早く乾く素材の肌着を選びます
- 制汗剤・デオドラントを使う: 汗を抑える成分や、菌の増殖を抑える成分のものがあります。かぶれやすい方は、使う前に腕の内側などで試してください
皮膚科で相談できること・受診の目安
体臭そのものは病気ではないことがほとんどですが、次のような場合は皮膚科で相談できます。
- わきのにおいが強く、日常生活で困っている(ワキガの治療には、塗り薬・注射・手術などの選択肢があります)
- 汗の量が多く、においにつながっている(多汗症の治療で汗を減らせることがあります)
- 頭皮や体にフケ・赤み・かゆみがあり、においも気になる
- 足のにおいに、皮むけやかゆみを伴う
- においが急に変わった、体調の変化もある(内科の受診もあわせて検討してください)
診察室でよく聞かれる質問
食べ物で体臭は変わりますか?
にんにくなど、食べたあと一時的ににおいが出やすくなる食べ物はあります。ただ、ふだんの体臭については、食事よりも洗い方や衣類のケアの影響のほうが大きいことが多いです。まずは洗い方と衣類の見直しから始めてください。
周りは気にならないと言うのに、自分のにおいが気になって仕方ありません。
においの感じ方には個人差があり、強く気にするあまり外出や人と会うことがつらくなる方もいます。医療機関で客観的に確かめてもらうと、安心につながることがあります。不安が強く生活に影響している場合は、その気持ちも含めて相談してください。
何度も体を洗えばにおいは減りますか?
洗いすぎると皮膚が乾燥し、かゆみや肌荒れの原因になります。1日1回、においの出やすい場所を丁寧に洗い、汗をかいたらシャワーで流す程度で十分です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 汗の病気(確認日: 2026-10-05)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-05)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

