「夕方になると、自分の頭のにおいが気になる」「枕カバーのにおいが取れない」「毎日洗っているのに、なぜかにおう」。頭皮のにおいは、自分では気づきにくい一方で、気になり始めると人との距離が気になってしまう悩みです。「洗い足りない」とは限らず、「洗いすぎ」や「乾かし不足」が原因になっていることもよくあります。
頭皮のにおいの仕組み
頭皮は、体の中でも皮脂を出す皮脂腺が特に多い場所です。さらに髪の毛に覆われているため、汗や皮脂がこもり、温かく湿った状態になりやすくなります。
皮脂や汗そのものには、においはほとんどありません。頭皮にすむ常在菌が、皮脂や汗を分解するときに、においの成分ができます。時間がたって酸化した皮脂も、においの原因になります。
においが強くなりやすいのは、次のような状態のときです。
- 皮脂が多い — 思春期〜働き盛りの年代、男性ホルモンの影響、脂っこい食事が続くとき
- 洗ったあと、濡れたまま過ごす — 湿った状態が続くと、菌が増えやすくなるため
- 洗いすぎ・強くこすりすぎ — 皮脂を取りすぎると、かえって皮脂が出やすくなったり、頭皮が荒れたりするため
- 頭皮に炎症がある — 脂漏性皮膚炎や頭皮のニキビなど
症状と見分け方(皮膚の病気が隠れていないか)
においだけか、それとも頭皮の症状があるかが見分けのポイントです。
| 考えられるもの | 頭皮の状態 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 皮脂・汗のこもり | 見た目の変化はない | 洗い方・乾かし方の工夫で軽くなる |
| 脂漏性皮膚炎 | 黄色っぽいベタついたフケ、赤み、かゆみ。生え際や耳の後ろにも | カビ(マラセチア)が関係する。治療でにおいも落ち着くことが多い(関連記事: 脂漏性皮膚炎) |
| 頭皮のニキビ・毛包炎 | 毛穴の赤いブツブツ、膿 | 押すと痛い(関連記事: 頭皮のニキビ) |
| 乾燥によるフケ | 白く細かい、パラパラしたフケ | 洗いすぎや乾燥で悪化(関連記事: 頭皮のかゆみ) |
| 粉瘤の炎症 | 頭皮のしこりが赤く腫れる | 中身がにおうことがある(関連記事: 頭のしこり) |
治療と自分でできる対策
皮膚の病気がなければ、まず毎日の洗い方と乾かし方を見直します。
- 洗う前に、ぬるま湯でしっかり予洗いする — 汚れの多くはお湯だけで落ち、シャンプーの量を減らせるため
- 指の腹でやさしく洗い、爪を立てない — 頭皮に傷がつくと、炎症やにおいの原因になるため
- すすぎは洗う時間より長めに — シャンプーが残ると、かぶれやかゆみの原因になるため
- 洗ったらすぐに、根元からドライヤーで乾かす — 湿った状態が続くと、菌が増えやすいため
- 枕カバーはこまめに替える — 皮脂がしみこみ、においの元が残るため
- お湯の温度は38℃前後に — 熱すぎるお湯は皮脂を取りすぎて、頭皮が荒れやすくなるため
フケやかゆみがある場合は、市販の抗真菌成分(ミコナゾールなど)配合のシャンプーが役立つことがあります。コラージュフルフルなどが代表的です。
脂漏性皮膚炎と診断されたら、カビを抑える塗り薬や、炎症を抑える塗り薬(ステロイドなど)で治療します。くり返しやすい病気なので、よくなったあとも洗い方の工夫や薬用シャンプーで維持していくことが大切です。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 1日2回洗ったほうがにおいは減りますか? | 基本は1日1回で十分です | 洗いすぎると頭皮が乾燥・荒れて、かえって皮脂が増えたり、かゆみが出たりするためです。汗をたくさんかいた日は、お湯で流すだけでもかまいません |
| 朝シャンと夜シャン、どちらがいいですか? | 夜に洗って、しっかり乾かしてから寝るのがおすすめです | 一日の皮脂や汚れを落としてから寝具に触れられ、寝ている間に頭皮を休ませられるためです |
| においは加齢のせいですか? | 年齢だけで決まるものではありません | 皮脂の量や頭皮の状態、洗い方などの影響が大きいためです。頭皮に症状があれば治療で変わることがあります |
受診の目安
- 受診を — においに加えて、フケ・かゆみ・赤みがある
- 受診を — 洗い方を見直して2〜4週間たっても、においが変わらない
- 早めの受診を — 頭皮に膿をもったブツブツや、赤く腫れたしこりがある
- 受診を — 頭皮の症状と一緒に、抜け毛が増えてきた(関連記事: 休止期脱毛)
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-27)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-27)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

