「ひじに硬いつぶがあって、押すと痛い」「陰嚢(いんのう)に白いぶつぶつがいくつもある」「指先から白い粉のようなものが出てきた」。皮膚の中にカルシウムがたまる病気は、場所や原因によって見た目がさまざまです。
皮膚石灰沈着症とは(仕組み)
本来は骨や歯にあるカルシウムの成分が、皮膚の中に沈着して固まる状態です。原因によって、大きく4つに分けられます。臨床で出会うことが多い順に並べます。
- 傷んだ組織に沈着するタイプ(異栄養性): けが、ニキビや炎症のあと、古い粉瘤などのあとにカルシウムが沈着する。膠原病(強皮症・皮膚筋炎など)に伴って、指先やひじに出ることもある
- 原因がはっきりしないタイプ(特発性): 陰嚢にできる多発性の白いつぶ(陰嚢石灰沈着症)や、子どもの顔・耳にできる小さな硬いつぶなど
- 医療処置に伴うタイプ(医原性): カルシウムを含む点滴が漏れたあと、くり返しの採血・注射のあとなど
- 血液のカルシウムやリンが多いタイプ(転移性): 腎臓の病気などで血液中のカルシウム・リンのバランスが崩れたときに起こる
症状・見分け
典型的には、白〜黄白色で、石のように硬いつぶやしこりです。皮膚の表面近くにあると白く透けて見え、深いところにあると皮膚の色のまま硬く触れます。表面が破れると、白いチョークや練り歯みがきのようなものが出てくることがあります。指先など圧迫される場所では痛むこともあります。
| 病名 | 硬さ・見た目 | よくできる場所 |
|---|---|---|
| 皮膚石灰沈着症 | 石のように硬い。白いつぶ、チョーク状のものが出ることも | 指先・ひじ・陰嚢・傷あと |
| 石灰化上皮腫(毛母腫) | 硬く、でこぼこした感触。皮膚が青っぽく見えることも | 子どもの顔・首・腕 |
| 粉瘤 | 弾力のあるしこり。中央に黒い点。臭いのある内容物 | 顔・背中・耳のまわり |
| 稗粒腫 | 1〜2mmの白いつぶ。柔らかめ | 目のまわり |
| 痛風結節 | 関節の近くの硬いこぶ。白い内容物 | 足の親指・耳・ひじ |
見た目だけでは区別が難しいことも多く、必要に応じて超音波(エコー)やレントゲン、摘出した組織の検査で確かめます。
治療・セルフケア
治療は、困っているかどうかで決めます。小さく痛みもなければ、様子を見ることもできます。痛み・見た目・内容物が出てくるのが気になる場合は、局所麻酔をして手術で取り除くのが基本です。陰嚢のつぶのように数が多い場合は、一度に取る方法を相談します。
膠原病や腎臓の病気が背景にある場合は、もとの病気の治療が中心になります。皮膚の症状だけを取っても、また新しくできることがあるためです。
自分で針を刺したり、押し出したりするのは避けてください。理由は、硬い石灰は小さな穴からは出きらず、傷から細菌が入って化膿することがあるためです。白いものが出てきたときは、清潔なガーゼで覆っておき、受診時に伝えてください。
受診の目安
- 皮膚の中に、硬い白いつぶやしこりがある
- 白いチョークのようなものが出てくる、そこが赤く腫れてきた
- 指先が痛む、指が冷たく白くなる(レイノー現象)、皮膚が硬くなってきた
- 腎臓の病気で治療中に、新しく硬いしこりが出てきた
診察室でよく聞かれる質問
食事のカルシウムを減らした方がいいですか?
多くのタイプは、食事のカルシウムとは関係がありません。自己判断で減らすと骨に良くないこともあります。血液の数値に異常がある場合は、主治医の指示に従ってください。
取ったあと、また出てきますか?
取り切れたしこりがそのまま再発することは多くありません。ただ、膠原病など原因が続いている場合や、陰嚢のように数が多い場合は、別の場所に新しくできることがあります。
がんになることはありますか?
石灰の沈着そのものが、がんになることは基本的にありません。ただ、硬いしこりにはほかの病気が含まれることもあるため、診察で確かめておくと安心です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-10)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-10)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

